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真のアーティストは出荷する

初代マッキントッシュを開発しているときに、開発の遅れに対し、スタッフに発破をかけるためスティーブ・ジョブズ氏が口にしたという有名な言葉がある。

「真のアーティストは、出荷する」(Real artists ship)

これを聞いた開発陣は、いろいろなことを思ったはずである。

「そもそも俺たちは、芸術家じゃなくてエンジニアだぜ?」とか、「アーティストは出荷なんてしないだろ」とか。

しかし、Apple帝国において、ジョブズの発言は絶対的なパワーを持つ。

リアル・アーティスト・シップ。もし私たちが「真の芸術家」なら、出荷しなくてはならないのだ、と。

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優れた技術や素晴らしいアイデアを持っていても、実際に世界に出ることがなければ、世界が変わることはない。

アイデア自体に価値はなく、それが実行されることによって「初めて」意味を持つ。

多数の作品を作ること。そして、それを出荷すること。

出荷することで、自分たちのクリエイションと世界との接点が増えていく。そして、世界は変わっていく。

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もちろん「出荷」に重きを置いてしまうと、それほど優れていないものを出荷してしまう危険もたしかにある。もしそれが致命的な欠陥であれば、ブランド毀損につながってしまうだろう。

しかし、批判の声を恐れていても仕方がない。どんな人間にも受け入れられるデザインは存在しない。どれだけ入念な準備を重ねたとしても、事故が起きるときには、起きる。

もし駄作を生み出してしまったのなら、次に傑作を生み出せばいい。

批判を恐れて出荷しなければ、世界も、自分も、何も変わらない。それだったら、早く出荷して、市場のフィードバックを受けて、その声を次の作品なりに活かしていくほうがよっぽど有意義だろう。

それに、次の作品が世界を変えるものだったとしたら、優れていなかった前作なんて忘れ去られてしまうものだ。

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ピカソは生涯で、15万点もの作品を作ったと言われている。

15万点。たった一人で。

もちろん世界には寡作のアーティストもいるけれど、多く作ることによって、自分の作品を好きになってくれる人が増える可能性は、少しずつ高まる。そして同時に、世界を変えられる可能性も、少しづつ高まる。

真のアーティストは、出荷する。生涯を通じて、出荷し続けるのである。

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コボ・コボボ
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