◆凸凹ギフテッド◆ 「加速」〜小学生時執筆掌篇
僕は絵を描くのがとっても好きだ。
絵の具が足りなくなったので、行きつけの文房具屋さんに出かけた。
カランカラン。
「いらっしゃい」
僕はこの文房具屋さんの匂いが好きだった。
絵の具売り場についた。
「ん?」
いつも買っている絵の具の横に、みたことのない絵の具が置いてあったのだ。
「『うごテル』あなたの書いた絵が動く⁉︎さあ、これであなたもアニメーター!」
うさんくさいと思ったが、気になったので、青色を一本だけ買ってみた。
カランカラン。
帰り道、僕はこの絵の具を使ってみたくてたまらなくなってきた。
せめて家まで我慢!と思うのだけど、
どんどん気持ちは加速してきて、もう我慢できなくなった。
僕は何かに取り憑かれたように勢いよく青の絵の具の蓋を開けた。
そしてそれを指に落とし、塀に勢いよく擦り付けた。
カラスの絵を描いた。
すると、描きおわった瞬間
パタパタと青色のカラスが飛んでいってしまった。
僕は面白くなって、いろいろなものを描いた。
ネコ、人間、魚、ゾウ、キリン・・
みんな、エネルギーを発散したかったとばかりに、嬉しそうに動いて去っていく。
僕はサメとゴジラを描いて戦わせてみた。
バシン、バシン。
大迫力。僕は時が経つのも忘れてその光景を見ていた。
ーー「おい!そこで何してる!あ!落書きしやがったな。
うちの塀になんてことを!ええい!今すぐ消してやる!」
「・・あっ」
男は怒って、ブラシで先にサメを消してしまった。
続いてゴジラの方も消そうとしたが、それはできなかった。
戦う相手を失ったゴジラが
この二人を見つけ、ニヤリと舌なめずりをしたからだ・・・