◆凸凹ギフテッドの生態◆ 創造性-文章 「スペーストマト」
宇宙を調べる会社「スペーサル」で一人の男が青ざめながら走っていた。
「大変です!謎の光の筋が、宇宙に裂け目のようにできているのです!
それもどんどん広がっていっているのです!」
「な、なんだと!柵林!それは本当か!」
「本当です!!福田先輩!嘘だと思うならこれを見てください!」
柵林はモニターを取り出し、福田に見せた。
「む、むむ」
そこに写っていたのは全くその通りのことだった。
本来なら真っ暗のはずの宇宙に、痛々しい傷のように光の筋が刻み込まれている。
「おい、何が原因なのだ。いや、それ以前に、地球はどうなるのだ!」
「わかりません。とにかく、国民に知らせて・・・」
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ」
「わああ!」
「グアあああ!」
ものすごい爆音がした。その音はすぐに止んだが、
二人の鼓膜はどこかに吹っ飛んでいってしまったらしい。
もう二人とも何も聞こえなかった。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
ーー「ザクッ」
「ねえねえ、ママ!今日の朝ごはん、もしかして「スペーストマト」?
「ええ、そうよ。あなたの大好物だから買ってきたのよ。」
「やったあーーー!ありがと!」
スペーストマトとは、トマトの中に宇宙が入っている、新食感野菜として人気な食材だ。
「あら、このスペーストマト、特に新鮮で美味しそうだわ。」
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2023年4月9日より、1日1話ずつ執筆し、ブログに投稿。
主にショートショートや掌篇に自作のイラストやオリジナル写真を添えて。
小学生で自費出版。中学1年生になった今も連日投稿記録更新中。
こあの掌篇集「こあのみずたまり」/note(中1)編 2024年11月現在で500作以上!
*今作は、小学生時代に執筆した、こあの掌篇集「こあのみずたまり」/Fc2編 2023年6月投稿文より抜粋。
写真・文・絵/ coaqua