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きりぎりすりこぎ

きりぎりすりこぎを持っている者は、きりぎり族の長だけだ。

「フォッフォッフォ、奪えるものなら奪ってみるがいいわ」

そう言いながら椅子にふんぞりかえっているきりぎり族の長こと「ぎりす」。
ぎりすは四六時中、きりぎりすりこぎで、きりぎりすを潰して粉末にしている。

それを甘い甘いコーヒーに入れて飲むことだけが、ぎりすの人生の楽しみだった。

「ぎりす様は全く駄目な長だ!仕事もせずに、一日中きりぎりすを潰すなど、信じられん」

「きりぎりすりこぎさえ奪えたら・・・」

そう考える者は少なくなかった。

ある者たちの間で秘密裏に、ぎりすからきりぎりすりこぎを盗むという計画が企てられていた。

「これで準備は万端だぞ!」

皆は力を合わせ、ぎりす邸へと忍び込んだ。

だが、ぎりすはフォッフォッフォと笑いながら、大勢の不法侵入きりぎりすを捕まえると、きりぎりすりこぎで全て潰してしまったのだとさ。


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