赤閣下
あかっかっ赤っかかっっか閣下あっかああかあっカカか悪化か
そんな夢を見て、私はつい、飛び起きると口を開いていた。
「赤閣下」
ぼんやりした目で部屋の中を見回すと、そこに、赤閣下がいた。
歴史の教科書に載っていそうなおじさん、赤閣下は、閣下らしからぬ雰囲気を背負っていた。
「赤閣下、悪化」
まだ頭の中にあるパーツを繋ぎ合わせて、私がそう呟くと、赤閣下は、じゃはりと崩れて、朽ちた。
無数の因子から形成された赤閣下は、もろかった。
むしろ、そのまま形を保つことができていたのが、不思議なくらいだ。
赤閣下は、所詮、かすかすな垢閣下だったのだ。
事は終わったはずなのに、私の中から、赤閣下が湧き出してくる。
私の口から、耳から、鼻から、赤閣下は因子となって溢れ出す。
「あかっかっ赤っかかっっか閣下あっかああかあっカカか悪化か」
私はそう叫んでいた。
いや、正確には、叫んでいたのは、赤閣下の因子の方だったのかもしれない。