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気まぐれな笛
「この笛を吹くと、猫が飼えるようになるんだってさ」
「へえ。じゃあ、ちょっとだけ」
ピパー
にゃあ。
にゃあにゃあ。
「願いが叶ったよ、ありがとう」
四足歩行の小さいの をぞろぞろ引き連れて、男は去っていった。
「この笛を吹くと、雨に濡れなくて済むんだってさ」
「へえ。じゃあ、ちょっとだけ」
ピポー
ざあ。
ざあざあ。
「余計に降ってきたじゃないか。どうしてくれるんだ」
コウモリ傘を乱暴に開きながら、男は去っていった。
「この笛を吹くと、天から一生分の餅が降ってくるんだってさ」
「へえ。じゃあ、ちょっとだけ」
ピゥ
・・。
・・・。
「何も起きないじゃないか」
笛を投げ捨てると、男は去っていった。