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風が吹けば・・・
風が吹けば桶屋が儲かる。
実は、そんなに難しいことは起きていない。
「ちょいと、そこのからっ風さん。最近どうにも店の売り上げが悪くてな。そこで、お願いがあるんだけどよお」
桶屋の杉松屋の主人がからっ風に何かを囁く。
主人は何やらやけに上底してあるまんじゅうの包みを渡す。
それを確かに受け取り、からっ風は笑みを浮かべて頷き___
びゅう、びゅうう___
「うう、寒い」
びゅう、びゅうううう、___桶__びゅう
「ああ、早く風呂入りてえ。・・そうだなあ、木桶であちい湯をざばーんと」
びゅう、びゅうう__桶___買いに___びゅーーうう
「ああ、でも、うちの桶壊れかけてるんだよなあ。やっぱり新しいの欲しいねえ」
びゅううう、びゅーう___桶__買いに___行け__杉松屋___びゅおおう
「うん、やっぱり買いに行くとするか。・・ああ、ありがてえ、あそこにちょうどある」
意気揚々と、男は「杉松屋」と書かれたのれんをくぐった。