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鼻人
こんばんはと言われるのは、これで何回目だかよくわからない。
大抵、そうして振り返った先に居るのは鼻人なのだ。
とても立派な鼻をしてらっしゃいますね、と、こんばんはの代わりに叫ぶと、鼻人はびくびくっと痙攣して動かなくなってしまう。
また、背後から気配がする。
「こんばんは」
ああ、鼻人だ。
「おやまあ、あなたも、とても立派な鼻をしていらっしゃる」
鼻人は痙攣して青ざめて倒れた。
また、こんばんはと声をかけられる。
お決まりの文句で返す。
鼻人が倒れる。
お気づきだと思うが、僕の仕事はこれだ。
もう今では、鼻人に対する情も湧いてこない。
でもまあ案外、こういうのが天職だったりするのである。