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箱の中で

地球上の、全ての蟻を集めて、閉じ込めた箱がある。

それは、誰も開けてはならぬ禁忌の箱として、山の中に長年放置されていた。
ただ、十年に一回、その箱の様子を見てきて、様子を報告する仕事をしているものもいる。
その人によると、「見るたび、大きさが小さくなっている気がする」のだとか。
それは気のせいでもなんでもなくて、確かに、十年に一度、見にいくと、必ず、ひとまわり二回り小さくなっているという。

今では、もう、片手に乗るほどの大きさに縮んでいた。

何が箱の中で起きているのか、さっぱりわからないということで、決死の覚悟でついに箱を開けて見ることになった。

全員が、宇宙服のような服に身を包み、覚悟を決めて蓋を開けた。

すると・・

そこには、たった一匹の蟻が、ぽつんと佇んでいた。

その蟻は、しばらくその場で立っていたが、やがて黒光りする表面はしおれ、ぱらぱらと音を立てて、骨だけになった。

蟻に骨などないはずという考えなど、誰の頭にもなかった。






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