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これからNPOを立ち上げるのですが、ティール組織にしたいなと思い、勉強中です。生命体のように一人ひとりが有機的に動き、その統合体として組織が進化していく。ピラミッド型に対して「自主経営」とも言われています。

しかし、従来型組織に染まりきった私には理解できないこともたくさん。その一つが「意思決定の方法」です。大型投資案件の判断は「経営者がしないとまずいでしょ」と思うし、製造業だと集中購買のような横串をさす部門がないと「無駄が多いでしょ」と思うわけです。

これへの答えとして有効だと紹介されているのが「助言プロセス」です。

(1)助言プロセスとは

「その決定に関わる、すべての人の助言をもらわないといけない」という決まりごとが「助言プロセス」です。これがあることで、ティール組織は成り立つといわれます。

助言プロセスで相談する人数は、通常、金額が大きくなるほど増えます。

ただし、コンセンサス(同意)を求めるものではありません。その案件を持ち出した人が責任者になり、反対意見も踏まえた上で、決定を下します。全員合意だと責任の所在が曖昧になったり、当たり障りのないものが出来上がってしまう課題がありますが、助言プロセスは一人に責任を持たせることで課題を解消しています。

そして、この助言プロセスには全員が従うといいます。工場の現場作業員も、経営者も、取締役会も例外なく決裁金額の違いもありません

「???」

ますます、わからなくなってきました(汗水)
これだけを聞いて、「よし! ティール組織にしよう!」と思う人は、かなりレアだと思います。

(2)前提の違い:不安か信頼か?

MITの教授だったダグラス・マクレガー氏が提唱したX・Y理論からの引用がわかりやすい。

①従業員は本来怠け者で、なるべくなら仕事をサボりたいものだ(X理論)
②労働者は意欲的で、自発的で、自制心を発揮できる(Y理論)

X理論とY理論は正反対のことを唱えていますが、実はどちらも成り立つといいます。それはなぜか?

命令、規則、罰則が必要な組織をつくると、従業員はそれらを出し抜こうとし、経営者は統制が必要という考えが間違っていなかったと認識する。一方、信頼し、自主経営に任せると、その期待に応えてくれるようになるからです。まさに「人は鏡」

「我々が刈り取るものは、撒いた種から育ったもの」
「恐れは恐れを生み、信頼は信頼を生む」

(3)助言プロセスの事例

【事例1】
パキスタンの発電事業に2億ドルの出資を行ったAES社の事例。

相談を受けたCEOは否定的意見を伝えていました。しかし、起案者は実現に向けて動き、首相とCEOの会談を実現させ、2億ドルの出資を決定したといいます。決定したのは、この担当者です。

2億ドルということは約200億円。大企業といえど、取締役会で審議するような案件ではないでしょうか。しかし、ティールにこの常識は通用しないのです。ティール恐るべし…。

【事例2】
市場環境の悪化から経営状況が悪化し、臨時社員の解雇に迫られたFAVI社。

決定を悩んでいたFAVI社のCEOは、助言プロセスに従い、その対象となる社員に相談したといいます。その人を解雇するかどうかの相談を、本人にするなんてことは普通では考えられません。

しかし、相談された従業員は自分たちで提案を出し合い、「今月は3週間だけ働き、給料もその分カットする」という案を出してきました。

普通は、というか私の常識では、経営陣はいくつもオプションを用意し、納得を得られる準備を最大限するものです。それに対して、FAVIのCEOはノープランで臨んだといいます。

「自分たちのほうが良い決定がくだせる」という思い込みに対して、「自主経営による判断のほうが優れている」というティール組織のあり方が、簡単に問題を良い方向へ解決した事例です。

まとめ

ここまで見ても「よし! ティールだ!」とはならないと思います。私もなっていません。

「井の中の蛙」という言葉がありますが、私たちは「オレンジ色」とアンバー色」の池しか知らないのです。すぐ隣に「ティール色」の池があると言われても想像できないのです。

「ティール色」の池に行きたい私は、もう少しティール組織の理解を深めていこうと思います。

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