彼らの音楽に出会えてよかった。スコットランドのバンド LAU(ラウー)の話【前編】
2024年10月18日(金)現在、実は私の大好きなバンドが来日中です。しかも二組も! 今回はそのうちの一組についての記事です。
LAU(ラウー)というスコットランドのバンドです。私は2007年にカナダで出会って以来のファンです。もう二十年近くに及ぶんですね。
この記事には、2010年と2013年の私が自分のブログに残していた文章を引っ張り出してきて、載せています。私自身にとっての備忘録のような記事になります。
ラウーについては、とりあえず Wikipedia のリンク貼っておくので良かったらご覧ください。British folk band らしいです。ジャンルは Folk と Celtic folk らしいです。私はこういう音楽のジャンル分類には疎くて、うまく説明できないのです。ごめんなさい!
日本人のファンにとっての一番の定番曲は、恐らく『Hinba』だと思います。2007年のファーストアルバムに収録されています。これまでの来日ライブでも欠かさず演奏してくれました。
この『Hinba』のパフォーマンスを見ると、音楽ジャンルってなんだっけ?と混乱するのです。フォークなのか、ケルトなのか、ロックなのか、はたまた別の何かなのか。
音楽ジャンルどころか、その時々に気にかかっていることとか、悩んでいることとか、イライラしていることとか、その場に一緒にいる人とか、どんなところにいるのかまで、何もかも一気に吹っ飛んでしまいます。異次元に連れていかれたみたいに。びっくりします。
まあ、そんな彼らの音楽が好きなのです。彼らの音楽に出会えてよかった。
では、ちょっと過去の私がどう感じていたのかを振り返ってみようと思います。いずれも当時ブログに載せた文章そのままです。
2010年12月22日のブログより
スコットランドから来たバンドです。LAU(ラウー)といいます。フィドル(バイオリン)のエイダン(Aidan O’Rourke )と、アコーディオンのマーティン(Martin Green)と、ギター&ボーカルのクリス(Kris Drever)の3人組。かっこいい。
とにかく凄くいいのです。ここ数年、私が出会ったなかで、間違いなく一番。2007年にカナダで彼らを知って以来、ずっと Best of my favorite をキープしています。
ジャンルはなんでしょう。ケルトとフォークに、何か彼らのオリジナルスパイスを加えたような。スリリングな演奏をします。激しくて、美しくて、切なくて、高揚感があり、感傷的な気分にさせる。
彼らのライブでは、本当に心臓が脈打つし、手足は震えるし、喉の奥がぐっと詰まったように苦しくなるし、ほとんど泣きそうになります。
そんなわけで、日曜の夜に横浜で彼らのライブを見たあとに、彼らを追って京都まで行く決心をしたんです。来年も来日してくれるか分からなかったし、スコットランドまではさすがに追えないし。
前述したように、彼らのことを知ったのは2007年にカナダに滞在中のことでした。ノヴァ・スコシア州ケープブレトン島で毎年開催されるケルト音楽のフェスティバルで、彼らのパフォーマンスを目の当たりにしたのでした。
カナダに行ったことは、私に色々な何かをもたらしたけれど、ラウーに出会えたこともその何かのうちのひとつで、断然素晴らしいことだったと言えます。
追記:LAUの今回のJapanツアーの動画もアップしておきます。彼らの曲にのって彼らの視点で切り取られた日本の映像がとてもクールです。
2013年7月18日のブログより
もう、うっかりびっくり一ヶ月も前の話になりますが・・・
私がここ数年で最も敬愛するバンドがスコットランドから来日してまして、彼らの日本ツアーの一部を大阪→名古屋→東京と追っかけたのでした。6月の17、18、19日三夜連続ライブを。
彼らは、LAU(ラウー)といいまして、前回の来日時は京都まで追っかけました。
2年半ぶりの来日が分かったとき、即「全てのライブを追っかけよう」と決めました(笑) 残念ながら、仕事とチケット売切れの憂き目にあい、2つのライブを逃してしまい、大阪→名古屋→東京の3つのみ行くことができたのでした。
三夜連続ライブのチケットを押さえたところ、思いがけないプレゼントが待っていました。LAUのWelcome Partyとやらの参加権が当たったのです。ありがとう、プランクトンさん。これで、私は渋谷→大阪→名古屋→渋谷と彼らに会うことができたのでした。
Welcome Partyでは、彼らのセッションを超至近距離で体験することができました。ちょっと手を伸ばせば掴める位置で、演奏しているんです。渋谷のごく小さなお店で、当選もしくは招待された少数のお客さんのみで、アーティストと過ごすなんとも贅沢な時間でした。
LAU作成の動画も貼っておきます。自分たちで撮った動画を、ツアーの途中にさくさくっとまとめてアップしていました。こんな素敵な映像センス&編集センスがあるのもかっこいいです。
ちなみに私もたくさん映り込んでいまして、恥ずかしいやら嬉しいやら。物凄い記念になりました。
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さて、いざ大阪へ。
大阪でのライブの感想は割愛します。次の名古屋で長く語っているので。ただ、やっぱり彼らのライブは凄かった。これをあと二回も体験できるんだと思うと、とても嬉しかった。
(中略)
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名古屋の夜は最高でした。
大阪・名古屋・東京の中で一番だと思いました。もちろんどの夜も甲乙付け難く、良かった、凄かったことに変わりはありませんが。
ライブはその名の通りナマモノだな~と感じました。ステージ上の彼らもナマモノですが、ステージの下の私たち客もナマモノなんです。
名古屋はお客さんの雰囲気がとても良かったです。お客さんの発する雰囲気というかオーラというか姿勢というか、ポジティブに楽しんでいる感じがとてもしました。
LAUの3人は大阪のときと変わらず、というか、いつもと変わらずいい感じでした。セットリストは大阪と同じでしたが、アンコール2つ目に切望していた"Frank and Flo's"をやってくれて大感激でした。
それより、アンコール1つ目の"Hinba"の導入部分で、実は私はもう泣けてしまって大変でした。
マーティンがせっせと色んな人にお礼の言葉を述べている傍で、クリスがさりげなくギターを弾き出して、その旋律がまた切ない感じで、合わせてエイダンがポロッポロッとフィドルの弦を爪弾いていて・・・
聴いているうちに、なんだか目頭が熱くなって、喉の奥がぐぐぐっと苦しくなって、胸が痛くなって。もう目から涙が一粒ポロッと落ちたら、するする目から涙が・・・
感動、というか、心動かされる、というか、心の中をすっと触られた気分でした。英語の「touch」=「感動させる」という表現が頭に浮かびました。
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最後の渋谷の夜は、まず会場の渋谷クアトロに入ったときから、びっくりしました。人がいっぱい!!! 立ち見の方も沢山いらしてましたね。座り席もぎっしり詰まっていました。
Sam Leeというイギリスの不思議なお兄さんと、ユザーンさんというこれまた不思議な日本人のタブラ奏者のお兄さんが、前座だったりゲストだったりして、大阪・名古屋にはなかった雰囲気が漂うライブでした。
開演前にエンジニアのティムさんとお話しできて、なんか心が和みました(笑) 指と胸元にばっちりタトゥーが入っていて、かっちり整えられた髪型で、優しい語り口なんです。2枚目の写真右上の方です。ティムさんがLAUと一緒に来日するようになってから、ライブの音が安定しました。凄いエンジニアさんです。
セットリストは大阪・名古屋と違っていて、正直なところ多少違和感がありました。アルバムの途中から聴き始めちゃった・・・みたいな。追っかけの宿命でしょうか? また、新作から始めるより、馴染みのあるちょっと古い曲から始める方が好きだな、と思いました。
でもでも、やっぱり彼らのライブは凄い。LAUの曲はとてもドラマティックな展開をするので、聴いているだけで何か情景が浮かんできたり、気持ちが高揚したり、涙が浮かんできたりするんです。
それに、彼らの音楽は私が初めて彼らに出会った2007年から、どんどんどんどん何というか“進化”をしていて、リリースされるアルバムごとに“新しい音楽”を聴かせてくれるんです。ケルトとかフォークとかトラッドとか、そんな枠組みから飛び出しているのに、しっかりケルトもフォークもトラッドも感じさせるという。
今回の来日では、3人とももはや楽器(アコーディオン・ギター・フィドル)の演奏のみならず、ありとあらゆる機器をステージ上に持ち込んで、主に足を使って操っていました。
マーティンのアコーディオンには、ピアニカみたいな鍵盤がくっつけられていて、アコーディオン弾きつつピアニカも弾いて、足元では機器の操作、傍らに置いたマックブックでまた何かする・・・といった、信じられない動きをしていました。
彼らの来日を待つ間、ほぼ毎日のようにアルバムを聴いていたわけですが、あの複雑で繊細な曲をこうもライブで再現してくるとは思ってもみませんでした。
また次の来日まで、もしくは私がスコットランドに飛ぶまで、ライブの余韻に浸りながらアルバム聴いて待ってます。
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最後の最後、渋谷の終演後は、LAU追っかけ仲間の皆さんと中華料理でシメました。なんと、LAUご一行様が2階で打ち上げをやっているお店でした。
プロモーターさんが私たちの席にちょっと顔を出して下さり、びっくりしました。
そこでプロモーターさんがポロッとこぼした一言が印象的でした。「いいな~、私も好きなバンドを追っかけて、ライブを一番前で見たい」って。えええっ!!!
LAUとずっと一緒にツアーして、リハから本番までバッチリ見て、もちろんご飯も一緒で、お出迎えからお見送りまで、プロモーターさんの方がずっと羨ましいです! ・・・って思いましたけど、そういうことじゃないですよね^^; 仕事なんですものね。
好きを仕事にするってことと、好きのために仕事をするってことについて、うむむむむと考えてしまいました。
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最後に、私にとってお宝な写真を・・・
これは、彼らが初来日したときに私が撮った写真です。今回は、彼らのサインを貰っちゃいました。私の部屋のデスク前に貼ってあります。
この写真は、以前の来日(いつのだったか忘れた)時に3枚プリントして、彼らにもプレゼントしていました。・・・今思えば、ちょっと変なファンですよね(笑)
それが、今回この写真にサインを貰うために3人に差し出したところ、3人とも「この写真持ってる!」「君がくれたよね!」「デスクの前に貼ってあるよ!」と、とっても嬉しい反応をしてくれました。3人とも覚えていてくれたし、持っていてくれたし。あー、嬉しい^^
一番最後の渋谷公演後、彼らはぎゅうぎゅうにハグしてくれました。音楽だけでなく人柄も凄く魅力がある3人でした。また早く日本に来てくれるといいな、本当に。
・・・というわけでした。
自分で書いた過去の文章を久々に振り返ってみて、「変わっていないな、私。今読み返しても、同じ思いがあるな」と思いました。だからこそ、こうして今現在の私がやっている note に持ってこようと思ったんです。
さて、前回の来日から11年の時を経て、彼らはやっと再来日を果たしてくれました。11年も待つことになろうとは、2013年の私は全く想像していませんでした。もっと早く再来日してくれると思っていました。
でも、冒頭に書いたように、今現在、待望の来日中です。
実は昨夜、さっそく一つ目の公演を見に行ってきました。今回の彼らの来日中に全部で3つの公演を見る予定です。うう、もうあと二回しかないのか。
フィドルのエイダンには実は今年の1月に単独で来日しており、その時以来の再会でした。昔からの追っかけの私をちゃんと覚えていてくれて、ハグして喜んでくれました。
11年ぶりのライブは素晴らしかったです。Twitter(Xですね)では、軽い感じで「かっこよかったあああ」とか呟いちゃいましたが、いやあ、そんな言葉では全く足りないです。本当は。
ただ、やっぱり彼らの音楽に出会えてよかった。
アンコールの選曲も秀逸でした。こちらも日本人ファンにとってはお馴染みの古い曲『Gallowhill』です。『Hinba』は強烈で刺激的な曲ですが、こちらはアンビエントな曲です。目を閉じて聞いていると、広い広い草原にいるような気持ちになります。
さて、もっと語りたいところですが、あと残り2つの公演を見てからにしようと思います。というわけで、いつ投稿することになるか分からないけれど、ご興味のある方は【後編】をお待ちください。
ここまでお読みくださった方ありがとうございました。
ちなみに、冒頭に「実は私の大好きなバンドが来日中です。しかも二組も!」と書きましたが、もう一組の方は Dreamer's Circus(ドリーマーズサーカス)です。私は今年の5月にデンマークまで見に行ったバンドです。その時の記事も紹介させてください。
この二つのビックバンドが同時期に来日するとは! 嬉しい気持ちではちきれそうですが、正直なところ、彼らを追っかけるお金も時間も体力も感受性もいっぱいっぱいです。
今回の来日中の思いを note の記事にして残すのは、恐らく LAU の方だけになると思います。それだけ特別な存在なんです。次に会えるのはいつになるか分からないし。
というわけで、また【後編】で。