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プリンストンオフェンス 日本一わかりやすく解説しました
こんにちは、三原です。
バスケ大好きなあなたなら「プリンストンオフェンス」という言葉を一度は聞いたことがあるはずです。
・世界で最も有名なオフェンス
・弱いチームでも勝てる戦術
・対策が立てられない魔法のセット
こんなイメージで語られることが多いオフェンスです。
でも、同時にこのように言われることもあります。
・めちゃくちゃ難しい
・高校生以下にはムリ
・今のルールには合わない
プリンストンオフェンスは、どうしても難しい印象が強いんですね。
この本ではわたしなりに、プリンストンオフェンスをかみくだき、できるだけシンプルにしてまとめたものです。
中学生や高校生でも、プリンストンオフェンスができるように工夫しています。
そして、わたし自身が現役の高校チーム指導者です。
ただのプリンストンオフェンスのまとめ本ではなく、わたしが実際にチームを指導して気づいたこと、感じたこと、思ったことを語っています。
わたしはバスケットボールが大好きで、どうやったら生徒たちがよいプレイができるのか、試合に勝てるのかを、1日中考えています。
でも、不思議なことに、バスケは考えれば考えるほど、何が正しいかよくわからなくなります。
そんなとき、わたしを助けてくれるのが、先輩指導者たちの声です。
・自分もそんな悩みあったよ。
・そのときはこうしたよ。
・その考えでいいよ。
指導者として先に経験した方々の声が、わたしに勇気をくれるのです。
もし、わたしと同じようにバスケが好きで、それゆえに悩む指導者がいれば、自分の体験も誰かの役に立つかもしれない。
そう思ってネット上に「バスケの大学」を立ち上げ、ブログやYouTubeなどで情報発信をしています。
この本はプリンストンオフェンスをまとめ、わたしの体験をギュッとつめこんでいます。それが特徴です。
今までにない、ふつうじゃない戦術解説書が完成しました。
ほんの少しでもあなたのお役に立てたらうれしいです。
ぜひお楽しみください。
プリンストンオフェンスの歴史
プリストンオフェンスとは、その名の通り、プリンストン大学で行われていた戦術です。
プリンストン大学とは、かんたんにいうと「勉強できるエリート大学」ですね。
ウィキペディアから引用します。
アメリカ合衆国ニュージャージー州プリンストンに本部を置くアメリカ合衆国の私立大学である。1746年に設置された。
アイビーリーグと呼ばれる名門8大学の1つ。
構成大学はブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学。いずれも各種ランキングで全米トップクラスに位置する難関校とみなされている。
まあ、こういう大学ですから、運動能力が高くて「バスケだけやりに来ました!」「NBAに行くことだけ考えてます!」みたいな選手、いないわけですよ。
そんなチームの監督に、伝説の男が就任します。
その男の名は、ピート・キャリル。
「大きくて強い者は、常に小さくて弱い者を支配している。しかし、賢き者は強き者をも支配できる」
— NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) March 6, 2018
Pete Carril(元プリンストン大学HC) pic.twitter.com/M0TAl8P4Gm
この先生が、すごかったんですよね。
1967年から1996年まで、プリンストン大を指導しました。
そして考えたんです。どうやって勝つかを。
どこにでもあるチーム、ふつうの選手たち。頭はいい。
このプリンストンを勝たせるためにはどうしたらいいか。
試行錯誤で行き着いたのが、そう。プリンストンオフェンスです。
・パスを回して時間を使おう
・ノーマークがシュートしよう
・バックドアに抜けよう
こういったことを徹底させて、独自のバスケをしたわけです。
最高の試合といわれるのは、1996年のUCLA戦。
UCLAは前年度優勝チーム。しかも主力がそのまま残っていて、2連覇間違いなし!といわれていたチームでした。
そのチームがやっとこさトーナメントに出場したプリンストンと初戦で戦うことになったのです。UCLAが勝つのは当たり前で、注目はUCLAが何点差で勝つかだけでした。
でも、試合が始まると、おやおや?様子がおかしい。なんか点差がつかないんです。めちゃめちゃロースコアのまま、気づいたら残り1分を切って41−41の同点。
そしたらプリンストンが最後のオフェンスで、伝家の宝刀バックドアをかまして逆転!勝っちゃたんです。
これはNCAA史上のアップセットとして、今での話題の試合です。いつ見ても、いやーすごい。
プリンストンオフェンスのすべてがつまった試合の動画はこちら!
なおピート・キャリルは、プリンストン大学を勇退したのち、NBAサクラメントキングスのアシスタントコーチになりました。
これをきっかけに2000年ごろ、プリンストンオフェンスはNBAから世界に広がり、現在では世界一有名なオフェンスになったのです。
プリンストンオフェンスの本質
さて、プリンストンオフェンスとは何かをわかりやすく言います。
この本のいちばん大事なとこです。
プリンストンオフェンスのルールはたった2つ。
・ディフェンスをよく見る
・守られたらバックドアに抜ける
オフェンスの型を覚えるのではなく、常にディフェンスを見るのです。
オフェンスがどう動けばいいのか、それはディフェンスが教えてくれます。
そして、ディフェンスがあなたを守ってきたら、バックドアに抜けるのです。
このバックドアこそがプリンストンオフェンスの代名詞であり、最大の魅力です。
バックドアに抜ける意味
1がボールを持っていて、2がゴールに向かってカットするとします。ふつう2はBの前を通ってカットします。フロントカットです。パスをもらったら、ゴール下で1対1ですね。
でも、プリンストンではフロントカットをしません。背後を通るバックドアに抜けます。
バックドアすると、パスが通れば1対0ですね。パスを出すのが難しくなるデメリットがありますが、通せればかんたんな2点になるわけです。
一方でフロントカットすると1対1ですから、そこでは能力の差が出ます。パスが通ったとしても、1対1で弱ければ、点数は取れません。
「能力の低いチームが勝つ」ってことに徹しているプリンストンでは、ノーマークのシュートのためにバックカットを優先するわけです。
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