誰があなたの「重要」を決めたのか？

人生を丸ごと変えてしまうコーチング

トライアルコーチングとして一度だけコーチングを受けたクライアントから、

「頭が整理されてスッキリしました」
「目標が少し具体的に見えて来た気がします」

という感想をもらうこともありますが、１回のコーチングセッションで得られるこのような効果だけがコーチングの効果ではありません。

私はコーチングを受けてみたいと相談に来る人から「コーチングにはどんな効果がありますか？」と聞かれると、

「人生まるごと変えてしまうものですよ」

と答えます。ちょっと前向きになれるとか、ちょっとモチベーションが上がるとかいうレベルではなく、実際に見える世界が一変するようなことが起こるからです。

では、なぜコーチングはそのような強烈なインパクトのあるメソッドなのでしょうか？

その理由のひとつは、ゴールを現状の外側に設定するからだと思います。

現状の外側のゴール設定。

言葉にすると簡単そうに見えますが、実際にゴール設定しようとするとかなり難しいと感じるはずです。

そもそも「現状」とは何でしょうか？
さらに、その「現状の外側」とはどんな場所なのでしょうか？

それらが普通はよく分からないと思うので、ゴール設定は難しくて当然です。

現状とは何か

「現状」とは、今あなたが生きて認識している世界のことです。ただし、「いまこの時」のことだけを言っているのではなく、今の社会構造やあなたの在り方が変わらなければずっと続く未来の「いまこの時」も含みます。

また、「現状」とは、

「私って、こういう人間だよね」
「理想的な家庭って、こういう風だよね」
「働いてみたいのは、こんな会社」
「社会って、こんな風に機能しているよね」
「世界って、今どんどん変わってきているよね」

などと、あなたが認識している物理的、心理的な空間とも言えます。

ところで、例えあなたがこれらの空間についてよく知っているといっても、そこに存在するすべての情報を認識しているわけではないでしょう。自分の家庭や職場、さらに社会や世界で起こっている様々な出来事について、すべて把握しているわけではないはずです。要するに、限られた情報を元に分かった気になっている空間だということです。

さらに、たとえあなたがそこで発生する出来事のほとんど全ての情報にアクセス出来ていたとしても、それをすべてきちんと認識できるかどうかは別問題です。多分、普段から自分にとってさほど重要ではない情報についてはスルーしているのではないでしょうか？

元々、あなたのマインドは、自分にとって重要な情報しか認識できません。たとえ光や音、においなどの情報があなたの感覚器官で捉えられ、脳に信号が送られても、そのすべてを認識に上げているわけではないのです。脳ではRAS（Reticular Activating System、網様体賦活系）が情報フィルターの役割をしていて、その瞬間瞬間に自分にとって重要な情報しか認識に上げません。

例えば、あなたは結婚して3年目の夫婦で、まだしばらくはお互い仕事をして将来のための資金を貯めようと思っているとします。そして普段、街を歩いている時に赤ちゃんを見かけることはほとんどないと思っています。

ところが、昨夕、（あなたが妻なら）病院で妊娠を告げられ、もしくは、（夫なら）妻から妊娠を知らされると、今朝、出勤のため家を出てから帰宅するまでに、乳母車に乗った赤ちゃんやお母さんに抱っこされた赤ちゃんを何人も見かけたのです！そこで「こんなに赤ちゃんがいたんだ！」と驚くわけですが、きっとこれまでも赤ちゃんはあちこちにいたのです。ただ、あなたが気づかなかっただけです。

これまであなたにとって赤ちゃんは、自分とは無関係で無関心な対象でした。ところが、自分に子どもが出来ると分かった途端、たとえそれが他人の赤ちゃんであっても、赤ちゃんという存在に対する重要度が上がったのです。

その結果、RASが働いて、今までは認識に上げていなかった赤ちゃんに関する情報を認識に上げるようになったということです。

こんな風に、あなたはその時に自分にとって重要なものしか認識していません。そうだとすると、いま見ている「現状」は、あなたにとって重要なもので出来上がっている空間と言えるでしょう。いま重要でないものは、あなたの「現状」にはないのです。

そのままでは見えない現状の外側

では、「現状の外側」はどんな所でしょうか？

あなたにとって重要なもので出来ている「現状」の外側なので、「現状の外側」というのは今のあなたにとっては重要度が低いところであり、それゆえ、RASの働きにより現状の中からは見えません。

コーチングでは、そのような現状の外側の見えもしないところにあるゴールを設定してください、というのです。普通の人は、「見えないところに、どうやってゴールを見つけて、ゴールとして設定するの？」と困惑してしまいます。

だから、自分一人でゴールを設定するのはとても難しいのです。

では、「現状の外側」にゴールを設定するのが難しいからといって、現状の中にゴールを設定してしまったらどうなるでしょうか？

この問いに答えるために、さらに「現状」について考えてみましょう。

誰があなたの「重要」を決めたのか？

先ほど、RASはあなたにとって重要なものだけを認識に上げている、と言いました。そこで問題となるのが、その重要なものの判断基準はどこから来たものなのか、ということです。

現代に生きる私たちは、生まれてから大人になるまでの間に大量の情報に触れ、取捨選択をしながら、吸収していきます。当然、その中には、社会的な習慣やルール、ものの見方なども含みます。よくよく考えると自分でも納得していないのに受け入れていることが、多分たくさん見つかると思います。けれども少なくとも受け入れた時には、親や先生、政府やメディアなど、あなたにとって権威のある存在が言うことだからと受け入れたのでしょう。

社会的な習慣やルールはこの世の中で円滑に生きていく上で必要なものなので、あなたにとっては重要なものと言えます。それ以外にも、友だちとうまくやっていく、もしくは、嫌われないための術として知っておいた方が良い知識や立ち居振る舞い方なども重要なものでしょう。

このように、これまでに受け入れて身に付けてきた、物事に与える意味、評価、価値、捉え方、考え方などがあなたの信念となっています。そして、さらにそれらが束になり、あなたのマインドの働き方をコントロールしています。

あなたのブリーフシステムは大丈夫？

その信念の束のことをブリーフシステムといいます。

あなたが見ている世界は、あなたのブリーフシステムによって決まります。なぜなら、ブリーフシステムはあなたが重要だと思うものを選び出す関数のようなものだからです。

だから、もし誰かがあなたに「これが重要だ！」というものばかりで、あなたのブリーフシステムを作り上げていると、当然、いま見ている「現状」はあなたが本来見たい世界ではなくて、誰かに見させられている世界になってしまうということです。

ということは、もし現状の中にゴールを設定してしまったら、それはあなたの唯一無二のゴールになりません。どこかの誰かに決められた、もしくは誘導されたゴールを目指すことになってしまいます！

あなたの人生を左右するブリーフシステム

他人が決めた重要なものが、どれくらい自分のブリーフシステムに入り込んでしまっているのかを、あなたも一度、じっくり確かめた方がいいかもしれません。

（「現状の外側のゴール設定」についてのつづきは、以下の記事で！）

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