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それ、大事ですか?
コーチングの場面に限らず、より良い人生を全うするためには、「やりたいことを目一杯やりましょう」などとよく言います。
「やりたい」にはいろいろなレベルがあると思いますが、苫米地式コーチングでは、職業も趣味も、生涯学習も社会貢献も、さらにはファイナンスに関することについても「やりたいこと」だけやりましょうと言います。
要するに、やりたくないことは、24時間365日、一切やらないという事なのですが、果たして自分自身がやりたい事だけやって生きていけるのかと考え出すと、「う〜ん」と考え込んでしまうのが普通です。
コーチングのクライアントの場合は、
やりたいことが分からない
もしくは、
やりたいこと、成し遂げたいことはあるが、ちょっとまだ迷いがあったり、達成する自信は少しはあるが、確信までは持てない
ということで、コーチングを受けに来られることが多いようです。
一見すると、この二つは大きな違いがあるように見えますが、実は大差ありません。なぜなら二番目の「やりたいことはあるけど自信がない」という方も、「今の自分」がやりたいと感じているだけで、まさにその自分に価値観がひっくり返るような事が起こったら、あっさりやりたい気持ちが失せてしまうかもしれないからです。その程度の「やりたい」だとしたら、本当に心からやりたいものが見つけられているとは言えないわけです。
「何を極端なことを言っているんだ!」と非難の声が聞こえて来そうですが、私は大真面目です。
そもそも、それをやりたいと思ったあなたの価値観や常識はどのようにして、今のようなものになったのでしょうか。あなた「らしさ」や、あなたが自分はこういう人間だと思っている自己イメージはどうやって出来たのでしょうか。
たとえば、価値観や常識について言えば、次のようなことを聞いて、あなたはどう感じますか。
1日3食を食べないと健康に悪い。
毎日、働かないと生きていけない。
学校はできるだけ休んではいけない。
将来のために、貯金すべきだ。
虫歯になるのが嫌なら、寝る前に歯磨きをする。
嘘はつかない。
税金はきちんと期限までに収める。
大企業は信用できる。
国が私たちの生活を守ってくれる。
平凡で穏やかな毎日を過ごせるのが幸せだ。
ここでは何が正しくて、何が間違っているのかということを仕分けしたいのではありません。あなたが普段、どのような信念を持って(どんなことを信じて)、毎日の生活を送っているのかを確認してみて欲しいのです。
現代は科学の著しい進歩により、人類はたくさんの新しい知識を得ました。それに加えて、ググったりSNSや動画サイトで検索したりすれば、簡単に最新の情報に触れられるようになりました。
そして、そのような世界で生きているあなたは、何かの拍子により正確な事実に気付いたり、もしくは新しい知識を獲得したりした結果、これまでの信念が大きく崩れ去るような体験をすることが増えているのではないでしょうか。
自分の信念が変わってしまえば、自分自身も変わってしまうものです。それくらいあやふやな所があるのが、自分なのです。
また、信念が変わるというのを別の言い方をすれば、あなたが重要だと思うものが変わる、もしくは、あなたが重要だと思うものの優先順位が変わるということです。
すると、あなたに見える世界が変わりますが、同時に自分自身に対する見方も変わります。これまでマイナスだと思っていた面が、とてもプラスに感じられたりする事は普通に起きます。
そんな風に自分の内面(ブリーフシステム)が書き換わった後に、あらためてやりたい事を探したら、どうなるでしょうか?
今までやりたいことが見つからなかった人は、急にやりたいことが見つかるかも知れません。
すでにやりたいことがあると思っていた人は、やりたいと思っていた事に急に興味がなくなって、全く別のことがやりたくなるかも知れません。
自分にとって重要だと思うものが、すっかり変わってしまったのだから、これくらいの変化があっても当たり前なわけです。
そうだとすれば、闇雲にやりたいこと探しをする前に、まず、自分が何を重要だと思っているのかを点検してみるのが良さそうです。さらに、誰かが重要だとあなたに教えたからではなく、自分自身で考えて重要なことだと判断しているのかも確認してみてください。
コーチングを受けると、これまでの常識や価値観が揺さぶられて、あなたのブリーフシステムが書き変わってしまうということが起こります。
ということは、コーチングセッションの中で「現状の外側のゴール」を探すプロセスが、すなわち、自分の内面(ブリーフシステム)を見直すきっかけになっているのです。