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ほめてもいけない,しかってもいけない。のさらに続き
保護者の方との面談とか,親子コーチングのセミナーとかで,ほめてもいけないし,しかってもいけない,と言うといろんな反響がきます。
まぁ,「いけない」ということはないのですけれど,そう言わないとメリハリがつかないのでそんな説明をしています。
基本,子育てに限らず人間を扱う分野においてはバランスが大事なのです。だから何かしらの考え方を絶対的な指標とするよりは,対極にあるような考え方も知った上でバランスをとりつつ自分の行く方向を探っていく方がよいものです。
なにかに偏ってしまえば,それ以外のものを排除することになりやすいし,万が一偏重している何かが大きな課題を抱えていることに気が付いたときに修正しにくいからです。
まぁ偏重してる考え方に「課題」を見出すことができるということは,依存しきっていなかったことの証左なので,この場合は偏ってたとは言いがたいですね。
偏りきってしまったら,きっと課題や疑問に達することはないんでしょうね。外側から指摘されたり,やんわり否定されたりなんかして,ようやく「あれ?」ってなるのかもしれませんね。
ともかく,僕は「アドラー」や「7つの習慣」に偏重している自覚がありますが,一方でこれらはすべてではないことも知っています。世界には知っていることよりも知らないことの方がはるかに大きいのですから,それがすべてであるなんてことはありません。
それでも時に,そう感じてしまうこともあると思います。
僕自身もそうです。
そういう自分に気が付いて,問いかけるのです。
「もしも,それが全てではないとすれば,他にどんな考え方や感じ方があると思いますか?」
叱ってはいけない,は割とスンナリと受け入れられます。
一方で,褒めてもいけないは,「褒めて育てる」を信条としているひとにはなかなか理解してもらえません。
でも無理に理解する必要はありません。
褒めてあげると子どもたちが喜ぶことは間違いのない事実です。きっとモチベーションもあがるでしょう。
実際には僕も褒めることはたくさんあります。
親やコーチという立場を差し置いて,横の関係(ひととして対等な関係)で「本当にスゴイ!」と感じる時は素直に「スゴイ!」と言えばいいのだと思っています。
親が子どもに対して,縦の関係性で「スゴイ」と言うのは,たとえば「できないと思っていた」ことを裏メッセージとして伝えてしまうことに問題があります。
宿題やった?
忘れ物ない?
テスト勉強ちゃんとしてるの?
という質問が,単なる質問ではなく,「やってないんだよね?」という前提を含んだ質問なのと同じです。
最初っから問題なく「できる」と信じているひとに,「スゴイね!」って言いませんよね。
100点とったからスゴイ!とすると,100点とらなかったらスゴくないってことになりますし,そもそもスゴイのとスゴくないの境界は誰が決めるのかというと,褒める人の裁量です。
そうすると
褒められるか褒められないか,すなわち評価者の基準に達するか達しないかというところに焦点が当たりやすく,褒められることが目的になってしまいかねないと心配するのです。
だから褒めるのではなくて,勇気付けることが大事なのだと考えています。
まぁ似たようなもんと言えば似たようなもん,なので「褒めてはいけない」をあんまりセンセーショナルにとらえない方がもしかしたら心穏やかかもしれませんね。
子どもたちががんばるのは,多くの場合褒めてもらいたいからなのだそうです。
その目的が,できる限り「自分のため」に変わって欲しいと思っています。「自分のため」にがんばることが,すなわち「みんなのため」にがんばることでもあるんだと気が付いたとき,その貢献感に気が付いて「うれしい」と感じることができたらそれがいちばん素敵だと思っています。
褒められる必要なんかない。
僕は僕のためにがんばって,それがみんなのためになったらそんなにうれいしいことはない。
そんなふうに気が付いてくれれば,家族はとても居心地が良い場所になると思います。お互いに思いやりをもって,お互いがお互いに貢献しあう家族。それは褒めてもらいたい気持ちから生まれるものではなく,純粋に家族に貢献したいという想いから生まれるものだと信じています。
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