4.スポーツとダーツとお酒〜ダーツにおける問題点〜
大会規模の問題
○プロとアマチュアが同会場で同時に大会をしなければならない
自分はダーツ以外の趣味として野球をしています。プロが使う球場で試合をすることは稀にありますが、同日にやることはまずありません。おそらく他のメジャースポーツでもないでしょう。(ビリヤードとかはどうなのでしょうか?)メジャースポーツで言えばゴルフはプロアマ戦なんてのもありますが、あれもプロと同じくラウンド出来る楽しさなどを含めてだと思います。
ダーツの場合は会場が同じでも行っている大会自体は全くの別物です。
これはひとえに会場費と時間的な兼ね合いと賞金(プロ活動での収入)の問題かと思います。
ビッグトーナメントにおいては多額の会場費がかかります(前日設営、当日撤収として2日分)。これをプロ選手のエントリーフィー(施設使用料)のみでペイをしようと思っても中々難しいのではないかと思います。
そのため一部の大会を除いてアマチュア大会と同時に開催をすることでそのエントリーフィーを会場費(大会運営費)とし、プロ大会が成立している状態です。
また時間的な兼ね合いというのもあります。もしも同じ会場を使うのであれば、土曜日にプロ大会、日曜日にアマチュア大会という使い方が出来れば理想的ですが、プロ選手もそれぞれに仕事があります。その中にはいわゆる一般職に従事している人もおり、そうなると金曜日に移動→土曜日に試合というのは移動も含めて厳しいものがあるでしょう。
そうなると土曜日に移動→日曜日に試合というスケジューリングになりますが、その場合はプロ大会のみで行うか、プロアマ同時開催をするしかなくなるのです。そして先に述べた通りプロ大会のみで行うには運営費が足りなくなるということが起こってしまうのです。
○飲食の売り上げが収益を賄っている
以前の記事にも書いた通り、ダーツの大会というのは飲食の売り上げで成り立っている部分は非常に大きいです。
それは何もお酒をはじめとしたドリンクに限らず、多数の協力企業による飲食用ブースの売り上げも入ってきます。
もちろんグッズ販売やイベントでの売り上げによる収益もありますが、圧倒的に飲食での売り上げがエントリーフィーに次いだ収益であると言えるでしょう。
この飲食での売り上げというのは大会においてプロであろうとアマチュアであろうとほとんどが競技者が購入した売り上げのもと成り立っております。
一般的な"スポーツ大会"において、『競技者が会場でドリンクを購入し、それが収益として成り立っている』という状態はないと思います。ここにダーツとスポーツとお酒の関係性の破綻してる部分が垣間見えるような気がします。
また購入場所についても、プロとアマチュアが同じ場所で購入をしており(一部の大会を除く)、プロ選手が飲酒をしながら大会に臨んでいるのが間近に見えている状態でもあります。
ここのあたりもダーツをスポーツとすることの難しさがあると思います。
プロ選手の問題行動と運営の体質(飲酒に限らないが)
ここまで様々なことを書いてきましたが、自分が一番書きたかったのはこの点かもしれません。
飲酒に絡んだものだけではありませんが、ダーツの大会、特に"スポーツ"を標榜しようとしているプロの大会において、いくつかの問題や不祥事が起こっています。
例えば試合中の暴言(自分・相手に対してを問わず)や試合中にキレてしまう、細かい点で言えば審判による記入ミスや審判の義務違反など、色々とあります。
(試合中に○ね、相手が投げている途中での暴言、記録の記入ミスによる予選順位の誤りなど)
(その辺はネットで「ダーツ 不祥事」などと検索してもらえれば。。。)
もちろん飲酒による影響だけではない(選手のモラルや性格など)もあると思いますが、飲酒により理性がきかなくなっているというのも一因にあるのではないかと思います。
いずれにしてもこれらの問題に対して、運営側は厳重な処分を下すことなく書面などによる警告のみで済ませております。プロの大会でこの程度なのですから、スポーツとして普及を目指すのであれば競技の中でも"プロ"と呼ばれる全選手がモラルやマナーを徹底して遵守する意識がなければ無理でしょう。
「他のスポーツでもマナーやモラルに反する行為があるじゃないか」という声がそろそろ聞こえてきそうです。
例えば同じイギリス発のテニス。気持ち的にキレてしまってのラケット破壊行為を時折目にすることがあると思います。これらに対して大会主催側はツアーポイントの減点や、罰金などが課せられます。またスポンサーからも違約金を取られたり、あまりに酷い場合は契約解除ということもあるそうです。
プロ野球の場合は試合からの退場や主催であるNPBから罰金の処分、現在はあまり見られませんが数試合の試合出場停止処分なんていうのもありました。
Jリーグでも悪質な暴言や暴力は即退場ですし、後から罰金などの通達もあります。
いずれのメジャースポーツもマナーに関する違反行為があればそれは何らからの厳重処分が下されるのですが、そういったものもなく内々に収めて体裁を整えようとしているうちは"スポーツ"を標榜するのにちょっと無理があるかもしれません。
まあスポーツダーツプロジェクトの主導はメーカーであり、プロの運営体質なんてのは知ったこっちゃないのかもしれませんが、業界内のトップレベルで競技をしている人たちをどうにかしないことにはこのプロジェクトも破綻するのではと懸念されます。これから先、ダーツがスポーツとして認知され始めた時に興味を持った人がたまたま配信している動画であんな問題行動を目にし、その後どういう処分がされたのか調べてみたら特に何も無しだと…思いやられますね。
今回はいつもの倍以上の文章量になってしまいましたが、今回はいくつかに分割する内容ではないと思い、一気に書かせてもらいました。
次回は「問題を解決するためには、ダーツをスポーツとするためにどうするべきか。」を書きたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?