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島根大学社会教育主事講習の授業を紹介します:社会教育経営論

みなさん、こんにちは!
2022年度の島根大学の社会教育主事講習で実施した「社会教育経営論」(通称「経営論」)のサポーターを務めている竹村ふみと申します。
現在は島根県隠岐郡知夫村で知夫村教育魅力化コーディネーターをしています。

この記事では、2022年度の「経営論」の授業についてご紹介します。

経営論をなぜ学ぶか?

島根大学社会教育主事講習では、社会教育士として身に着けたい資質・能力の習得を目指しています。

経営論では、大きくは以下の2つの資質・能力の習得を目指して学びます。

①コーディネート能力(「つながりづくり」の力)・・・
高校と地域・社会の多様な主体(市町村・NPO・企業・大学・中学・PTA・卒業生・社会教育機関等)と連携・協働する力

②マネジメント能力(「仕組みづくり」の力)・・・
高校と地域・社会の協働による事業(プロジェクト)をマネジメントする力

経営論で何を学ぶのか?

経営論の全17回の授業は大きくは3つのパートで構成されています。
(ちなみに11回がオンライン、6回が対面で授業を実施しました。)

①「セルフマネジメント」パート(第1回~3回)

学習者・実践者としての自分に焦点を当てたパートです。
学習者としての目標設定をしながら、自らが学ぶ人材として実践していく準備をします。

第3回の授業では講習を通して身に着けたい力を設定しました!

②「事業戦略と推進体制づくり」パート(第4~14回)

現場のプロジェクトをいかに推進していくのかに焦点を当てたパートです。ビジョン・戦略立案、評価・PDCAサイクル、体制構築、ネットワーク構築、資源獲得などを学び、現場での事業戦略立案とその体制や基盤づくりについて学びます。

第6回の授業では三菱UFJリサーチ&コンサルティングの阿部剛志さんをお招きし、
「ロジックモデル※」の作り方について学びました。
※施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示したもの
第13回の対面授業では「未来の学校」というテーマで未来の授業や先生、放課後などについて
多様な学習者とともに探究しました。

③「ふりかえりと講習後の学び」パート(第15~17回)

持続的に学ぶ環境づくりに焦点を当てたパートです。
学びの振り返りと、戦略実現に向けた学習者自身の学びの環境づくりについて学びます。

第15回は評価を活用した振り返りについて学びました。

経営論ではどのように学ぶのか?

島根大学の社会教育主事講習の特徴のひとつは、「講習」と「現場」を行き来しながら学ぶことです。
経営論での学びを現場で実践するために、「プロジェクトシート」というものを活用しながら学びました。

講習期間中に達成することを目指した、現場の「課題プロジェクト」を設定します。
課題プロジェクトシートは講習期間中に更新していきます。

学習者自身が講習で学びながら、プロジェクトを進めていきます。
来年度、自分の現場で、事業・プロジェクトを動かせる(プロジェクトマネジメントできる)ようになることを目指しています
自分の現場と紐づけながら講義を受けるからこそ、実践的で深い学びになります!

経営論の授業づくりについて

2022年度の経営論は、以下5名のサポーターで授業づくりをしてきました。
・宮野 準也(島前教育魅力化コーディネーター)
・福島 勇樹(雲南市教育委員会キャリア教育政策課 グループリーダー)
・取釜 宏行(株式会社しまのみらい 代表取締役/一般社団法人まなびのみなと 代表理事)
・大野 公寛(島根大学大学院教育学研究科 講師)
・竹村 ふみ(知夫村教育魅力化コーディネーター)

サポーターもそれぞれの現場を持つ、実践者です。
授業づくりのミーティングでは、話し合いを重ねた結果、授業の方向性が180度変わることもしばしば。
互いの強みを活かし合いながら、よりよいものを追求していけるチームです。

対面授業の前日に最終確認をする経営論チーム。

2022年度の経営論は、以下のような方針に基づいて授業づくりを行ってきました。

「我々がまず、学修者であること」という講師・サポーターの姿勢は
島根大学の社会教育主事講習らしいところだと思っています。
講師・サポーターと学習者は、「教える・教わる」という関係ではなく、互いに「学び合う」関係です。

具体的に授業で行ったことをご紹介します。

「極上のチェックイン・チェックアウト」

経営論チームの授業づくりのミーティングでは、毎回開始30分ほどを「チェックイン」(互いの近況などを話すアイスブレイク的な時間)の時間として使ってきました。丁寧なチェックインによってチームづくりが上手くいったという実感と、誰も注目していなさそうな「チェックイン・チェックアウト」を探究していくと面白いのではないかという挑戦心から、あえて「チェックイン・チェックアウト」にこだわるようになりました。
「本当にこれは極上なのか?」という問いを持ちながら、「チェックイン・チェックアウト」を考えてきました。

今日一日のチェックアウトでもありながら、明日へのチェックインでもある・・・!?
チェックイン・チェックアウトは意外と深い!

「経営論グループ」

約60人いる学習者一人ひとりの状況を把握することは難しい・・・。それでも学習者にとって最適な学びをつくりたい。
そんな思いからできるだけ学習者の状況を把握するために約10人の経営論授業内のグループをつくりました。

オンライン授業の最初の5分程度しか話し合う機会のなかった約10名のグループメンバーですが、授業を重ねるごとに関係性が深まっていったようです。
ようやく対面授業でグループメンバーで集まれた時には安心感があった様子。

「サポーターよがりの授業」

経営論の授業はどちらかというと「論理」的で「左脳」的な授業が多いです。ですが、事業も人も論理だけでは動かない!「感情」も必要だ!ということで、サポーターが想いを語る授業を実施しました。
(通称「エモ」回です。)

「学修者の授業づくりへの参画」

通常は経営論サポーターのみで授業づくりを行っていますが、ラスト2回は学習者と共に授業づくりをすることができました。
講師・サポーターと学修者の垣根を越えて、学びの場をつくれたことが非常にうれしかったです。

また、授業を進めていく中で「極上ラジヲ」と「公開チェックアウト」という取り組みも生まれました!
この2つは授業開始前と授業後の10分間を活用した、取り組みです。
授業時間外の参加自由な時間の中での学びづくりも大事ですね。

「サポーターが送る、授業前にゆるっと聞けて、ちょっとためになるラジヲ」です。
授業前の気持ちを整えてもらえたでしょうか?
こちらは録画はしないので、リアルタイムで参加した人しか聞けません。
授業後にサポーターが授業設計のポイントや授業実施後に感じていることを語る時間です。
授業設計の意図や反省点、こだわりや事前のミーティングで議論したことなどを話しました。

以上、授業づくりの方針や具体的に実施したことをご紹介しましたが、
授業づくりへの想いやこだわりなどお伝えすることができたでしょうか?

2022年度島根大学社会教育主事講習のサポーターを終えて

現在、自分の現場の次年度の事業方針や活動計画を考えるために、経営論の授業資料を見返しています。
授業実施時は、内容が難しく、理解しきれないことがたくさんあったのですが、今すごく役に立っています。現場で実践してこその学びだということを実感しています。

現場での悩みはつきませんが、自分と似たような環境で、本気で日々挑戦されている学習者やサポーターの皆さんの姿に力をいただいた講習期間だったなと思います。

講習でお世話になった皆様、そして記事を読んでくださった皆様、
ありがとうございました!

竹村ふみ

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