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一年越しの大団円/J-Ice North Division2019-2020最終戦 日本製鉄室蘭対DYNAX(前編)

2020.2.16(日)日本製鉄室蘭8-4DYNAX
(3-2、2-1、3-1)

アイスホッケー北海道社会人B級リーグ戦、J-Ice North Division 2019-2020は、2月16日、室蘭市・中島スポーツセンターで最終戦が行われました。

既に今季J-Ice North優勝を決めている日本製鉄室蘭。このホーム最終戦は、社会人アイスホッケーを盛り上げるべく、小さな箱の限界までたのしい!を詰め込んだ、特別な一日でした。
その模様を、「試合」「イベント」の前後編に分けて綴ります。

後編はこちら

これまでのあらすじ

昨シーズン、残り1秒で優勝を逃した悔しさをバネに、J-Ice North Division 2019-2020を無敗で独走してきた日本製鉄室蘭アイスホッケー部こと室蘭スティーラーズ
2020年1月26日、勝ち点差3を追う2位DYNAXとの直接対決を制し、J-Ice North初優勝を果たしました。

八戸国体を挟んだ翌々週・2月9日。
道新杯争奪全道アイスホッケー大会の決勝戦も、日本製鉄室蘭対DYNAX。ここでは、日本製鉄室蘭が息詰まる接戦をものにして優勝。

日本製鉄室蘭の北海道内での公式戦は、J-Ice North Division最終戦となる2月16日のホームゲームが最後。
全勝優勝をかけたその相手は、またしてもDYNAX

わたしは、J-Ice North Divisionの日程を組んだ人は、好きな寿司ネタを最後に取っておく性分ではないかと訝しんでいます。

では、その最終戦の模様を。

第1ピリオド

GK:日本製鉄室蘭 39山口連 / DYNAX 56大澤啓太

この日の1st Setは、
日本製鉄室蘭:DF13玉手大貴/DF81横山恭也/FW16岩槻翔悟/FW61脇本直廸/FW9小泉智也、
DYNAX:DF8大場大/DF77成田祐介/FW15北側勝哉/FW88外崎祐将/FW97府中祐也 でした。

00:31 日本製鉄室蘭ゴール(1点目)
ゴール61脇本直廸、アシスト9小泉智也、16岩槻翔悟

01:38 反則 日本製鉄室蘭 9小泉智也 エルボーイング
(メジャーペナルティ5分+ゲームミスコンダクト、代行14中村謙太)

03:47 DYNAXゴール(1点目、パワープレー)
ゴール62小原卓朗、アシスト92今野友尋、97府中祐也

10:32 反則 日本製鉄室蘭 47末廣直樹 ラッフィング
(ダブルマイナー4分+ミスコンダクト10分退場)
10:32 反則 DYNAX 71牧口大樹 ラッフィング
(マイナー2分+ミスコンダクト10分退場)
10:32 反則 DYNAX 56大澤啓太 ゴールキーパーペナルティ
(代行 62小原卓朗)

遠目にも派手な殴り合いになり喧嘩両成敗。この判定を下すのに10分ぐらい中断しました。
GKペナルティは何種類か細則があるのですが、喧嘩中にクリーズから出てしまったのだと思います。戯れに雪山積んだりはしてない。

13:42 日本製鉄ゴール(2点目)
ゴール4山道翔太、アシスト16岩槻翔悟、14中村謙太

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この日の特別企画の一つ、ファーストゴール投票。最初にゴールを決めるFW・DF各1名を選び、的中させると抽選でオリジナルグッズが当たります。山道選手、大穴として紹介されていたんですよねえ。

17:02 日本製鉄ゴール(3点目)
ゴール61脇本直廸、アシスト72工藤卓磨、16岩槻翔悟

17:37 DYNAXゴール(2点目)
ゴール8大場大、88外崎裕将、97府中祐也

日本製鉄GK山口選手を前に誘き出し、その背後からゴール!
DYNAXが失点後すかさず追い上げます。

日本製鉄室蘭3-2DYNAX
第1ピリオドシュート数:日本製鉄室蘭19、DYNAX9

第1ピリオドの奇妙な中断

第1ピリオド半ばの喧嘩両成敗の際に10分近く試合が中断したことを記しましたが、それとは別に、ビジター側への何かの聴取があり、更に10分ほどの中断が起きました。
またペナルティの確認かなと思ったのですが、特に何事もなく(アナウンスもなく)試合再開。
中断中、ジャッジが両人差し指で口元を指すジェスチャーをしていたので、ヘルメットかマウスピースの確認でしょうか?

1ピリオドの試合時間は20分、ただしプレーが止まる都度時計を止めますから、実際には通しで30分ほどかかります。
この日の第1ピリオドに要した時間は53分。その半分が確認と審議。

限られた人員で試合を運営・進行してくださる連盟の方々には常に感謝しかありませんし、ルールに則り公正な試合を進める上で、状況確認や審議は不可欠なものです。
しかし、あまりに長い…。せっかくの大入り試合で客席の熱も高まっていただけに、この待ちぼうけタイムを短くすることはできなかったか、少し勿体ない思いが残ります。

第2ピリオド

22:02 日本製鉄ゴール(4点目)
ゴール63野澤一矢、アシスト92阿部魁

リバウンドをうまく押し込みました。

26:27 反則 日本製鉄室蘭 13玉手大貴 ホールディング・ザ・スティック

26:46 DYNAXゴール(3点目、パワープレー)
ゴール97府中祐也、88外崎裕将

27:03 反則 日本製鉄室蘭 16岩槻翔悟 ホールディング

31:02 日本製鉄室蘭ゴール(5点目)
ゴール77工藤翔介、アシスト16岩槻翔悟

31:08 反則 日本製鉄室蘭 47末廣直樹 スラッシング

日本製鉄室蘭5-3DYNAX
第2ピリオドシュート数:日本製鉄室蘭10、DYNAX8

第3ピリオド

44:02 日本製鉄室蘭ゴール(6点目)
ゴール63野澤一矢、アシスト92阿部魁

45:18 反則 DYNAX 77成田祐介 スラッシング

48:14 反則 日本製鉄室蘭 13玉手大貴 スラッシング

49:55 DYNAXゴール(4点目、パワープレー)
ゴール22山谷涼介、アシスト21坂本颯、11田中将斗

50:21 反則 DYNAX8大場大 クロスチェッキング

50:50 日本製鉄室蘭ゴール(7点目、パワープレー)
ゴール72工藤卓磨、17村上亮、92阿部魁

54:54 反則 日本製鉄室蘭 81横山恭也 ラッフィング
54:54 反則 DYNAX 15北側勝哉 ラッフィング

55:36 日本製鉄室蘭ゴール(8点目)
ゴール17村上亮、アシスト92阿部魁、8藤浪幹

55:36 日本製鉄室蘭GK 39山口連→89金谷雄樹

日本製鉄室蘭8-4DYNAX
第3ピリオドシュート数:日本製鉄室蘭20、DYNAX5
合計シュート数:日本製鉄室蘭49、DYNAX22

ゲームベストプレーヤー 日本製鉄室蘭 DF4 山道翔太

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お恥ずかしいことに、8点目のあとGKが金谷選手に替わったことに気付いていませんでした…。(出場した4分半、セーブ機会がなかったためか、北海道アイスホッケー連盟発表のGK成績表にも名前がありません)

J-Ice North Division全勝優勝

日本製鉄室蘭アイスホッケー部・室蘭スティーラーズは、この結果をもって、J-Ice North Division2019-2020 全10試合を全勝で走破。
優勝自体は前の試合で決めていましたが、大きな花を添えました。

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J-Ice North以外の道内大会でも、今季は苫小牧市長杯(これは私観ていないので何ともいえません)を除き負け知らず。
その強さの源はどこにあるのでしょう?
J-Ice North全勝優勝を報じた2月17日付けの室蘭民報に、一端を見ることができます。

”精神面で大きな成長を遂げた。シーズン前には、陸上トレーニングの結果を選手ごとに初めて数値化。選手の意欲を引き出すと、練習でも細かなミーティングを増やして結束を強めた。
村上亮主将は「話し合うことで、分からないことが残ったまま練習を終えずにカバーできた。(最終戦は)ベンチでも声を出せてモチベーションを下げなかった」と手応えを語った。”

今季J-Ice North 10試合の合計失点は16。最終戦では珍しく(というか、公式戦で今季初?)4点を失いましたが、たいへん堅い守りが光りました。
また、数多の試合の中には、終始劣勢を強いられながら、土壇場で追いつきひっくり返したものがありました。
自らを分析し、鍛錬で自信を深めて、本番で全力を振るう。最後まで気持ちを切らさず戦い抜く。そういうチームを整えてきたことが窺えます。

余談ですが、同じ日本製鉄室蘭の社会人野球チーム・日本製鉄室蘭シャークスが、長年の貧打を克服して全国大会予選突破を果たした影には、2018年から専属アナライザーを据えてデータ分析と対策を講じてきた成果があったとされます。
社会人だとそこまでする余裕がないチームが多いかもしれませんが、敵を知り己を知れば百戦殆うからずとは真である、と思うところです。

そして、J-Ice North 全勝優勝は通過点。室蘭民報記事にある村上キャプテンの言葉を借りれば「スタートラインに立っただけ」
その真価は3月に行われる全日本選手権B、J-Iceプレーオフにおいて問われることとなります。

ここまで培ってきたものを信じて進めば、きっと大丈夫。

ゆる雑感

ここ2、3試合で怪我人が続出しており、この日は出場しないだろうと思っていた選手が全員顔を揃えたので驚きました。個人的に、うれしい反面、複雑な場面も多かった。(両チーム全国大会が控えていますので、詳細は伏せます。)

日本製鉄室蘭にしてみればホーム最終戦であり、これ以降は全て道外を舞台とするので、ご家族、同僚や知人に勇姿を見せたいという意向があったでしょうか。
後編で紹介するイベントが功を奏し、この日は580名もの観客(マネージャー調べ)がリンクを埋め尽くしました。

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室蘭市長も観戦に駆けつけました。

これだけ多くの観客が密集したのは、昨年のホーム最終戦以来。
昨年は頭数を揃えても応援はまばらだったのですが、今年は強力な応援隊が音頭を取り、更にこの日限定のDJプレイがあり、普段の試合とは一線を画するお祭りめいた熱気がありました。

その熱にあてられてか?室蘭民報では「大勢の観客の前とあって硬さも残り、難しい立ち上がりとなったが集中力を切らさなかった。」と評された試合。
確かに4失点は普段より多いなと。3点は数的不利によるものですが、これもいつもはしっかり守っているだけに、少々浮足立ったところがあったのでしょうか?

攻撃では先制点を含め2ゴールをあげた脇本選手が目立っていました。
最初が駒大苫小牧高-中央大同期の小泉選手と同じセットで、この組合せをもっと見たいな思ったのですが…。やんごとなき理由で即解散になってしまいました。惜しい。

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室蘭での公式戦は12月9日以来。久々のホームゲーム。
そして、ホーム最終戦に対して、私には個人的な思い入れがあります。

私の初観戦となった2018-2019シーズンのホーム最終戦は、残り1秒で初優勝を失う壮絶な試合でした。
そのラストは審議で15分待たされ、最終戦挨拶もままならず、覆らぬ結果を告げられた選手達は、最後まで残った観客に向けて、頭を垂れるのが精一杯。

その姿に胸が詰まり、このチームをしっかり応援しようと決めた、あの日から一年。
勇退者を除く全員がリンクの上に揃い、J-Ice North Division全勝優勝を報告できたことが嬉しかった。感無量でした。

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改めてこのチームに出会えて、応援してきてよかった。
本当におめでとうございます。そして、ありがとうございます。

後編予告:小さなリンクの挑戦

日本製鉄室蘭アイスホッケー部・室蘭スティーラーズは、10月19日のJ-Ice North Division2019-2020開幕戦で、スペシャルイベントを行いました。

私、この予告に半信半疑でした。
あの小さいリンクでしょう?出店置くスペースなんてあった?記念フェイスオフとかハイタッチキッズとか、うん、このへんのささやかなイベントならわかる。

それが蓋を開けてびっくり。
社会人の試合では想像がつかないおもてなしが待っていました。

そのときに相当度肝を抜かれたのですが、迎える最終戦、更にパワーアップした企画の数々が予告されました。
・立ち見のリンクに仮設観客席設置!
・フィギュアスケート選手の演舞!
・専属DJによる試合演出!
・ハイタッチキッズの募集!
・ファーストゴール投票!
・やきとりとパンの出店!
・レプリカジャージの販売!
・試合後の氷上交流会!

ええっ、一体どうなっちゃうの?

思えばSNS告知も回を重ねるごとに洗練されていくなあ…

この企画がどうなったか?
そして室蘭スティーラーズはなぜここまでのファンサービスを行うのか?
後編で詳しくお届けします。

本記事の試合写真はみつる(@k_mitsuru_n )さんからご提供いただきました。いつもありがとうございます!

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