女社長
先日、2日間の安全講習セミナーに参加した。組織の管理者が安全に関する基本的な考え方と関連法規について学び、講義終了後にテストを行い、合格証を労働局へ届出て完了という法律の要求事項である。テストと言ってもテキストを見ても良いという緩さが実にタイらしい。
2日目の講師がとてもユニークな人だった。パワポは殆ど使わず、タイと日本及びアジアの近隣諸国の例を取上げながら話しを身近なところまで掘り下げて行く。親日家だと公言するだけあって昨今の日本の社会問題もよくご存知だ。我々受講者が飽きて来ると、講義は脱線し企業研修やセミナーでタイ各地の日系企業を回った時のエピソードを話してくれる。先生は未だかつてタイの日系企業で女性の社長を見たことがない、女性は海外出張や海外赴任は禁止されているのですか?と首を傾げた。
セミナーを終え会場を出た所で先生に、あなたはタイ語を話せますね?と呼び止められた。さっきの質問が私に対して失礼だったのでは?と気にしていたらしい。(50名の参加者の中で女性は私一人だけ)失礼ではありません、先生のご指摘は事実ですよ。女性は創業者の娘か、或いは自ら起業でもしない限り社長にはなれません。法律を改正しても、マニフェストに掲げても、人事権を握るおじさん達の古めかしい考え方が変わらない限りね!と答えると、先生は「男性よりも優秀な女性が多いのに勿体ない。」と言い残し迎えの車に乗り込んだ。