ぼくの話。

ぼくは演じているだけだった。
犬にかじられただけなのに、
大きな狼に噛まれたと泣いて、


そうして、大きくなってしまったんだ。
身体が。



ぼくには自らが出す、
『禁止令』が多く出ていた。

それは、
『ぼくがされたら嫌な事』を人にしない事。
それは、それは、
表向きにはとても良い事だ。
良い事なのだけれど。



ぼくには嫌な事がありすぎた。
あれもされたくない、これも言われたくない
こんな態度を取られた日には。




人は鏡だと、よく言います。
だから、
ぼくへの『禁止令』は
人にも反応するようになった。



自分へ禁止していることを
誰かが平気でしているのを見ると、
不愉快で、怖くて、
そうして許せなかった。


ぼくは傷つくことが嫌だった。
だから『禁止令』の中に、

・人を傷つけない事


あった。



だから、
傷つくことを言われた時、
ぼくはね。
その人を八つ裂きにしたいとすら、
思うようになってしまったんだよ。






自分を許せないから、
人も、許せなくなった。
そうすると、
『我慢』がやって来た。





『我慢』はぼくの心を硬くした。
そして、
もろく、くだけやすくなった。






そんなぼくを
君は見つけてくれたよね。
見つけて、全てを言い当てた。
けれども、

それだけ。


それだけ言い当てると、
君は抱きしめそばにいてくれたね。




いつもは君を助けたいと、
必死なぼくだけど。

たまにはぼくを吐露してみるよ。




そうして、

少しずつで良いから
許せますように。

ちゃんと、
泣けますように。





大きなぼくの中にいる、
小さなぼくを
少しずつ、少しずつ





『愛してあげたい』


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