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編集者に「なんか良くわからない本」と言われた「システムを外注するとき読む本」の正体

ちょうど、noteで、この本のセルフ書評を書こうと思っていた矢先、「日経東テレ大学」というYouTubeチャンネルの「ラーメンdeビジネス名著」という"授業"でこの本の紹介をいただきました。リンクをページ最下部に貼りましたので、ご興味のある方はご覧ください。ラーメンを食べる女の子の意味が不明ですが、担当編集者さんが本のポイントをきちんとご紹介いただいております。

なんだか良くわからない本?

この本について、ダイヤモンド社の担当編集者さんが、あろうことか、「なんだか良くわならない本なんですけどね・・・」と、サラっと言ってのけました。アマゾンとかのレビューならともかく、あろうことか一緒に本を作った編集さんが、全世界に向けて、そんなことを言うわけですから、著者である私の心理的な痛手・・・お察しください。

でも、そんな「良くわからなさ」が奏功してか、はたまた、やまもといちろうさんが再び褒めていただいたお陰か、この本も大層なご指示をいただき、既に第5刷までいっており、感謝に絶えないところです。

何が「なんだか良くわからない本」なのか。これは、やはり、ITを外注するにあたって"ユーザーサイド" がなすべきこと、持つべき心構え、それに関する方法論という、お堅い話を、結構に柔らかい小説仕立てにしてしまったことでしょうかね。二人いる主人公のうちの一人、ある化粧品会社の営業担当者 白瀬 (体育会出身の30過ぎ男) が自社の営業支援システム企画を任されて、大弱り。。というところから始まります。最終的なシステム開発はベンダーに外注するにしても、その前におこなうべきシステムの企画や要件定義なんて何をすればよいのかサッパリ分からない。案の定、苦し紛れで作った企画書は取締役会議で袋叩きに会います。そんな彼のところに、やってきたのがITコンサルタントの美咲。美しい容貌とは裏腹に、超Sの彼女は、年上の白瀬を罵倒し、ときにはリアルに手が出ることも。。。

白瀬は、そんな彼女の態度に腹を立てながらも、彼女の教えるリアリズムのある業務フローの書き方や、契約の目的に根差した要件定義の仕方に関心して教えを請います。ただ、彼女が、白瀬の会社にやってきた真の理由は別にあって。。。まあそんな感じで物語は進みます。

その後白瀬は、美咲の弟子となり、システム開発を"賭け"にしない良い外注の見分け方や、プロジェクト管理の方法、情報漏洩に備えた体制作りなどを、(やはり私が書くので) IT紛争の事例なども参考に教わっていきます。LGBTの"ママ"が経営する "バー・フェイクローズ" の場面などは、私の一番好きなシーンでもあります。

ポイントをいくつか。

本の中身を紹介しきってしまうと、誰も買ってくれなくなりますので、いくつか、私のこだわったポイントについてだけ、お話しておきます。

まずは、下の図。フィーリングマップと呼んでますが、業務改善やシステム導入をするとき、社員達は、それをどう受け止めているか、モチベーションを持ってくれるかを、部署と職位毎にまとめましょうということを紹介しています。

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業務であれ、システムであれ、何かを抜本的に変えようと思えば、社内の反応は各部署、各層によって様々です。これを可視化すると、この改革を本当に行うべきかを検討するのに役立ちます。もちろん、みんながみんな笑顔になる改革ができるわけではありません。でも、例えば、当面の経営の目的が営業力強化であるなら、営業部門周辺は、笑顔でいてくれないとやっぱりうまくいきません。営業部門が笑顔でいてくれて、他の部門の不満が許容範囲であるなら、プロダクトオーナーや社長は、この改革にGoを出すという具合です。

上の絵には、あまり細かく書いていませんが、この図をいったん作ったら、それぞれの人がなぜ、笑顔なのか、なぜしかめっ面なのかも書き込んでいきます。この理由や意見は、改革を成功させるための啓蒙や研修、つまり、チェンジマネジメントに活かせます。例えば、しかめっ面の理由が、自分の部署のことばかり考えて全体を見据えていないなら、この改革がもたらす全社的な効果について啓蒙教育をしたり、社長からのメッセージングが有効ということになります。営業部門を助けようとするあまり、他の部署の負担が過大になるなら、他の作業の効率化のため、組織変更やアウトソーシング、省力化に資するツール類の導入が必要と思いつくかもしれません。一方笑顔になっているところも、その理由を把握することが大切です。もしかしたら、「システム改革でAI入れたら、売り上げが倍になるぞ」なんて、過度な期待を寄せている人がいるかもしれません。そういう人は期待を裏切られたとたんに反対派に回るので、早期に妄想を断ち切っておく必要があります。

まあ、大体、こんな風にフィーリングマップを使って、改革を成功に導く方法なんかも、美咲が思い切り上から目線で教えてくれる、そんな本です。

この本には、他にも、業務フローは汚してナンボ!、とか良い外注は良いプロセスを自分のモノとして持っているとか、、、システムを外注する上で、しっかりと押さえておきたいポイントを書いています。エピローグで、これまで知らなかった世界に引き込まれつつあった白瀬を、元に戻す美咲の行動には、「またかよ!お前」という声が聞かれそうですが、まあ、それはわたしのキャラということで、ご容赦ください。(了)

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