嫌いなIT部門へ異動!さあ、どうする?
はじめに
先ごろ出版した自著のまとめを章ごとに8回ほどつづります。
タイトルは「エンジニアじゃない人が欲しいシステムを手に入れる為にすべきこと」・・・長い!でも、だいたいこんな内容を小説風に書いてます。
心ならずもDX室に異動となったIT素人の主人公が、どのように覚悟を決め、システム企画やプロジェクト計画を行い、欠落したシステム化要件への対応ややる気のないベンダー、大幅な手戻りなどにどう対応するか、そんなことを追体験しながら、IT素人の方がDXに取り組む上でのポイントをまとめています。終盤にはAIに対する向き合い方についても触れながら、今後の人間に求めれることについての問題提起なども少しだけ。。。
人の不幸が大好きな魔女系女子、古テレワークで誰も顔を知らない入スキルエンジニア、プロマネのあるべき論命のがちがち原理主義者などなど個性的な登場人物のオンパレードで少し軽く見えるかもしれませんが、よく読んで考えていただければ、エンジニアじゃない人はもちろん、いやむしろ経験豊富なエンジニアやプロマネさん達こそ、色々と考えてみて欲しい。。。そんな思いで書いています。
そんな著書のポイントをネタバレを最小限に書いていきます。どうぞお付き合いを。。。そして興味が湧いたら、実際の本を読んでみてください。
ITなんか全然分からない、興味ない!
今は多くの企業や組織が「やれデジタル化だ、DXだ」とIT部門の充実を図っていますが、組織内にそれほどのIT人材がいるわけでもなく、またそもそも自組織の業務に精通していなければ、ろくなITなどできっこないという訳で、社内の他部門から人をかき集めることも多いようです。確かに、そういうやり方自体は全体最適として一つのあるべき姿ではありますが、ミクロ的つまり異動させられる社員としては正直、大いに抵抗感のあるところかもしれません。別に、コンピュータでカチャカチャやるような仕事がしたくて、この会社に入ったわけでもない。こんなところで何年も暮らしていたら、自分のキャリア形成が止まってしまうし、そもそも仕事自体つまらない。IT知識も全然ないし、いっそのこと会社辞めちゃおうかなんて考える人も、きっと少なくないでしょう。この物語の主人公も正に、そんな感じの元営業職員でした。
私も会社を辞めてやろうかと思ったクチです。
この設定は、まさに私自身の経験からヒントを得て書いています。私の場合は真逆で、プログラミングやシステム設計がしたくて会社に入り、数年間、楽しく過ごしていたのに、ある日突然、営業をやれと言われて、相当に憤慨し、また落ち込んだ経験が私にもあります。本当に会社を辞めてやろうかとも思ったのですが、当時、結婚して子供も生まれたばかりの私にはそんな勇気もありませんでした。
そんなヘタレな私と同様に主人公のマサト君も会社を辞めるでもなく、さりとて仕事にはモチベーションも持てずと言った具合ですが、この本の第一章では、そんなマサト君を通して、無理やりIT部門に"飛ばされた"社員の心の作り方をメインに書いています。
将来だの君の為だの、ウソクサイ!
気にいらない部署だって自分が興味を持てること、役に立てること、キャリア形成にだって効果があるし、人間の幅も広がる。。。異動を命じる上司だったらそんなことを言うかもしれませんね。無論、そうしたことは確かにあります。ただ私の経験から言えば、そういうメリットというのは比較的中期的というか、後々になって享受できるものであり、たった今、落ち込んでいたり、イラついていたりする心を前向きに立て直してくれるものでもありません。今日会社に行くのが嫌だ。分けわからんIT用語に翻弄されてちっともつまらない。そんなことを考える人には、そんな先のことより今が大切です。興味だって、役立つ充実感だってキャリアだって今までの職場で十分じゃないか。なんで自分だけがこんな目に遭うのか、そんな思いは消えないケースの方が多いでしょう。
でも文句ばっかり言ってても不幸になるだけ
私も自身の経験を含めて気に沿わない異動をした人は数多く知っていますし、ITなんて知らない人がDX担当になって目を白黒している様もよく目にします。そんなとき、周囲からアドバイスされたり自分自身で考えた対処はどのようなものだったか、あまり詳しく書くとネタバレになってしまいますが、キーワードは”シャットアウト”だなと当時の私は考えましたし、今でもそう思っています。過去の自分と今の自分の比較、未来の自分と今の境遇の比較、楽しそうに仕事をしている以前の職場の友達と自分の比較、仕事によっては自分のやっていることを他人に自慢できないという辛さもあるし、理想の自分とのギャップ、嫌な部署での仕事の辛さというものの大部分は、そうした周囲との比較やギャップから生まれるような気がしています。ですから、そうしたものをとりあえず全てシャットアウトして今、目の前にあることをとにかくやるしかない。そんな風に心を作ることが結局、一番つらさを軽減することなんじゃないかと思ています。
主人公には舞台俳優の彼女がいます。彼女は芝居で人に見られたくないような役を言い渡されますが、とにかく全てをシャットアウトすることで少し心が救われたとマサト君にアドバイスをします。それで、全てが解決するほどマサト君はおめでたい人間でもないのですが、そんなアドバイスを契機に心を作ってみようかと考え始めたことは確かなようです。
とりあえず過去も未来もおいといて
もちろん、気に食わないITの仕事なんてとっとと切り上げて元の職場に戻りたい、そんな焦る気持ちもあるかもしれませんが、例えばとりあえず一年間、周囲をシャットアウトして自分にはこれしかないと決め込んでしまうというものありかと思います。長い社会人人生、一年くらいそういう時期があっても良いでしょう。だってそうでもしなければ周りも迷惑だし、結局自分も不幸です。一年間一生懸命やって、それでも嫌なら異動の希望もいいでしょうし、転職活動も良いでしょう。しかし、異動になってすぐに逃げだすようでは、きっと転職活動もうまくいかないのではないでしょうか?
とりあえず、自分にはこれしかない。そんな覚悟をするしかないのですが、さて、主人公のマサト君はどうだったでしょうか?人の苦しみを見るのが何より好きという異常系の女性や一年中テレワークで誰もその顔を知らない社員とか、おかしな登場人物も色々出てはきますが、内容としては私の経験も踏まえて、結構リアルに描いたつもりです。
次回 「業務フローってどう描くの?」に続く。
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