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ボスがチームに変革をもたらし、チームに根付いた「勇猛果敢」な姿勢(#112)

明治安田生命J1リーグ 第21節
柏レイソルvs横浜F・マリノス
1-2 勝ち

2019年シーズン優勝が決まった時以来ですかね、試合を観終わって自然と涙が出ました。

開始フォーメーション

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前節から
左サイドバックを
 和田拓也→高野遼
へと変更しました。
また、ベンチの控えを
 レオセアラ→實藤友紀
へと入れ替えました。

単純な疲れの問題なのか、戦略的判断かはわかりませんが、ベンチに實藤友紀を置いたことがこの試合の鍵を握りました。

前半の感想

柏は江坂が浦和レッズに完全移籍でいなくなり、クリスティアーノがベンチスタート。
ペドロハウル(ラウール?)という長身ストライカーがスタメンで、3バックで守り、攻めの時はペドロハウルにボールを預けてなんやかんやしようというスタイルでした。

前半途中まではどちらかといえば柏レイソル側に分がある展開でした。
少なくともマリノス側から観て、順調に攻めているとは言い難い状態。

そして32分のプレイ。
前線からのプレスに行ったマルコスジュニオールが柏の神谷選手にアフタータックルで一発レッド。
あのプレイに対してレッドカードは妥当で、マルコスジュニオールには猛省して頂きたい。

柏との試合といえば、2020シーズン(昨シーズン)の対戦でも、松原健が戸嶋選手に大怪我をさせてしまったので、本当に申し訳ない気持ちです。
神谷選手の怪我が大きなものにならないことを願うばかりです。

マルコスジュニオールは熱くなると、それがそのままプレーに出て、良い方向にも悪い方向にもいきます。
その熱さに感化されて彼を応援したくなるのも事実ですが、相手の選手に怪我を負わせてしまうのは話が別です。

マルコスジュニオール退場により10人での戦いを強いられることになったマリノス。

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OUTマルコスジュニオール ※レッドカード一発退場

フォーメーションも4231から441へ。
前線からのプレスをかけると必ず真ん中が空いてしまうため、前線からのプレスはうまく機能せず、ボールを持たれたら引いて守る展開にならざるを得ませんでした。
それでも攻めの姿勢は崩さず、ボールを保持し、崩してゴールを奪う攻めのスタイルのまま。

後半の感想

松永監督は攻めの姿勢を変えませんでした。
それは、選手も同様でした。

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OUT:エウベル IN:喜田拓也

エウベルを下げたのは一見すると攻撃より守備に舵を切る交代に見えますが、意図は真逆。
岩田智輝をアンカーに432でバランスを整え、あくまでゴールを狙いに行きました。

また、この数的不利な状況でチームのキャプテン喜田拓也をピッチに送り込むことは、チーム全員に対して
「まだおれは諦めて無いぞ」
という監督からのメッセージという意図もあったかもしれません。

柏も10人のマリノスに逆にマークが曖昧になったのか、マルコスジュニオール退場以降10人になってからの方がマリノスの攻撃はスムーズになってきた感じもしました。

後半始まってそうそうまた予想外の出来事が。
50分、畠中槙之輔が負傷交代。
チアゴマルチンスと畠中槙之輔が不動のセンターバックなのに…

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OUT:畠中槙之輔 IN:實藤友紀

實藤友紀は今シーズン初のリーグ出場だと思います。
試合に入ってすぐは少し気持ちが浮いてたのか、フリーで流れてきたボールをキックミスがありましたが、その後はすぐに落ち着きました。
逆に、はじめのプレイミスが彼を良か冷静にさせたのかもしれません。

實藤友紀が入って以降、数的不利の中でも
「いつも通りのマリノス」
は変わりませんでした。
前線からプレスをかけ続け、ボールを保持し、攻めの姿勢を貫きました。
後半以降、岩田智輝をアンカーに置いたものの試合中は流動的で、中盤3枚のうち1枚は後ろに控える形でそれぞれが攻撃に絡んでいきました。

62分。
明確に攻撃的に舵を切ります。

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OUT:扇原貴宏 IN:天野純
OUT:高野遼 IN:ティーラトン

天野純が攻撃のフォローに入り、喜田拓也と岩田智輝は適宜どちらかが攻撃に加わります。

そして75分。
守備でボールを奪って低い位置からティーラトンが前田大然めがけてロングフィード。
前田大然は2人に囲まれながらも、走りながら左足でショートバウンドのタイミングで前目に置く大きめのトラップ。
そのまま右足からグラウンダーのクロス。
GKに触られるもこぼれ球をオナイウ阿道がトラップし冷静に蹴り込んだ。

前田大然のプレイは絶品。
左から来たボールを右サイドで受ける際に、自分もスピードに乗っている状態。
半身でボールを視界に捉え、左足で前に軽く蹴るような大きめのトラップをする。
これで自身のスピードを殺さずに、ボールと自分の間にディフェンスも間合いに入れない状態でそのままクロスをあげる。
素晴らしいプレイでした。

直後の79分。
中盤からのパスが通らず相手のDFに渡り、GKへ戻したところを前田大然がプレッシャーをかけボールを奪い、そのままゴールへ流し込みました。

相手GKが前田大然にボールを奪われた際に「なんで?」みたいなアピールをしていたのは、直前のプレイでチアゴマルチンスが足を踏まれて痛めていたので、それを見て外へボールを蹴り出そうしたのかもしれません。
しかしそれがあってもマリノスは攻め続けていました。
前田大然めがけてスルーパスを出したが相手DFに奪われ、そのDFは外に出す素振りなくGKへ戻しました。
その状態でGKだけが、外に出した方がいいかセルフジャッジして悩んだプレイをしたところを奪われたので、あれはGKの判断ミスと言わざるを得ないでしょう。
もちろん、審判も笛を吹いていません。

86分。

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OUT:前田大然 IN:水沼宏太

2点ビハインドになり柏はあからさまにロングボール一辺倒の攻撃。
ペドロハウルを中心に前線の選手めがけてロングボールを蹴り込み続けました。
それでもチアゴマルチンスと實藤友紀が冷静に跳ね返し続けました。

88分に柏に1点取られるも、1-2のままタイムアップ。

試合全体の感想とチームの約束事

ここまで長々と書いてしまいましたが、60分近く11人vs10人でも攻め続け、勝ちをもぎ取りリーグ戦5連勝。
どうしても、冗長的になってでも、書きたい衝動に駆られてしまいました。
これからもう少し続きますのでお付き合い頂けると嬉しいです。

1点目のオナイウ阿道のゴールは
・ティーラトンのロングフィードの精度
・前田大然のスピード
・オナイウ阿道のゴール前の落ち着き
という、個人の長所がうまく噛み合ってもたらされました。

しかしこの直前、72分のプレイ。
前田大然からゴール前へグラウンダーのクロスをあげています。
このプレイは相手DFも準備できている態勢だったためチャンスの形にはなりませんでしたが、チームの約束事を忠実に守って選択したプレイです。

サイドをえぐって、ゴール前の選手めがけてグラウンダーのクロスを入れる

これはボスがいた時にできた攻撃時の約束事です(もちろんどこにも明記されてませんが)。
ゴール前に誰もいなかったら、いない方が悪い。
とにかくゴール前に、ハイボールではなくグラウンダーのクロスをあげることがサイドの選手には求められます。

これを前田大然は忠実に守り、1点目のゴールは生まれました。
それも自分のスピードという特徴を最大限に活かしながら。

昨年の前田大然は左サイドでウイングとしてプレイしながらもまったくフィットしていませんでした。
それが今シーズンはチームに欠かせない存在になり、東京五輪の日本代表にも選ばれました。
また海外挑戦する機会がくる選手でしょうかね。
チームにとっては痛手ですが、そのようなチャンスがあれば快く送り出したいものです。
そのくらいの活躍はしています。

そして2点目もハイプレスから生まれました。
今のチームは
 ハイプレス
 ハイラインディフェンス
 ハードワーク
で成り立っています。
1つでも欠けるとバランスが崩れます。

ハイプレスとは「FWの選手が前線からプレスをかけること」。
これをサボると、ハイラインディフェンスから生まれるDFとGKの間にある広大なスペース(いわゆる裏のスペース)へ相手のDFから正確なボールを蹴り込まれる可能性が高くなります。

一方でハイラインディフェンスをやらないと、いくら前線からプレスをかけてもボールの奪いどころができません。
ハイプレスをかけるのと同時にハイラインディフェンスの状態を作ることで、自チームのFWからDFの距離をコンパクトにし、そのスペースでボールを奪う意図があります。
ハイラインをやらないとボランチの周囲に広大なスペースができ、そこにボールを通されると相手にゴール前で自由なプレイを許してしまいます。

最後はハードワーク。
これは他2つを行うためのベースとなるものです。
とにかく「激しく、サボらず、走り回る」。
誰か1人が一瞬でも「このくらいいいだろう」とサボり始めると、徐々にチームのバランスが崩れてしまいます。

MOM

今日は全員にMOMをあげたいレベルです。
どうしても1人に絞り込めないので、数名ピックアップします。

①小池龍太
②岩田智輝
③松永監督
④實藤友紀

①小池龍太
ミスをほとんどせず、欠点が見当たりません。
唯一あるとすれば低身長くらい。
これは個性のようなものなので改善しようがないので、欠点がないと言っていいでしょう。
ボールを扱う技術が高く、サイドバックとして激しい上下動もして、守備時には低身長ながらヘディングなどは競り負けながらも、自由にプレイさせないようしっかりと競り合っていました。
そしてするするとゴール前に行き、チャンスと見てはミドルシュートも打つ。
また、ビルドアップの際に不用意なパスミスがない。
もう素晴らしすぎる。
日本代表に選ばれてもおかしくないパフォーマンスです。

②岩田智輝
マルコスジュニオールが退場後、攻守のバランスが崩れかねない中で懸命に走り回り、攻守に貢献しました。
一対一のデュエルでイーブンなボールを奪い取る技術?力?はチーム内でもトップです。
前のチームではDFとしてプレイしていたこともあり守備面は完璧で、それを中盤でやれるので相手の選手からしたら厄介な存在でしょう。

攻撃面でもボールに絡み続けていますが、シュートやパスなど最後のワンプレイの精度がまだまだ改善出来るので、そこが良くなれば無敵ですね。
今チーム内で最も成長している選手だと思います。

③松永監督
冒頭に書きましたが、理由はわかりませんがこの試合はCB實藤友紀をベンチに控えさせました。
この判断が今日の勝ちに繋がりました。
また、前半退場者が出て多くの時間帯数的不利で戦わざるを得ない状況下でも、
「あくまで勝ちを取りに行く」
というメッセージを選手に伝え続けました。

ハーフタイムコメントだけでは読み取れませんが、後半スタートにキャプテン喜田拓也を投入し、すぐに天野純とティーラトンという攻撃的な選手を投入しました。
交代選手が活躍するかで采配は運であることは間違いありませんが、この交代が選手に与えたメッセージはちゃんと伝わっていたと思います。

④實藤友紀
畠中槙之輔負傷というイレギュラーな事態であっても、投入されてから畠中槙之輔と遜色ないプレイを見せました。
ペドロハウルのポストプレイでは自由にさせず、ビルドアップの際も安全なプレイを心掛けました。
今シーズン出番がほとんどない中で、急な出番でもしっかり準備をしてきたことをプレイで証明し、チームの勝ちに貢献しました。
このような選手が控えに居てくれることでスタメンの選手がハードプレイをし続けられるのです。

最後に

これでリーグ戦5連勝。
天皇杯とルヴァン杯の敗退、そして監督交代と多くの出来事がありました。
それを乗り越えて、チームとして一皮剥けた感じがします。

Jリーグ中断まで残り一試合。
次の試合も楽しみで仕方ありません。

そして今シーズン最終節はホーム日産スタジアムで川崎フロンターレ戦です。
…わかりますよね?
そこまで勝ちを積み重ねていけるよう、サポーターは精一杯、現地やDAZNなどで応援していきましょう!

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