ミスがないならサッカーなんてつまらない(#92)
明治安田生命J1リーグ 第14節
鹿島アントラーズvs横浜F・マリノス
3-5 敗北
開始フォーメーション
前半の感想
今シーズンで最もヒリヒリした45分。
お互いにハイプレスをかけ、お互いに思い通りにボールが回せなかっただろう。
鹿島のやり方としてはサイドから崩そうとしていたし、自陣でボールを奪ったとしても一本で裏を狙うようなプレイは決して多くなかった。
数本はあったものの、ちゃんと崩そうとしてきていた印象だ。
まず先制したのはマリノス。
エウベルのクロスをオナイウ阿道が合わせる。
しかし、前半終了間際にGK高丘陽平のミスから追い付かれる。
ポゼッション率はマリノスが優位に立っていたものの、感覚としては試合を思い通りに進められていたわけではない。
よくある形として
サイドバック
ボランチ または トップ下
ウイング
で三角形を作り崩す形。
しかしこの試合は三角形をうまく作れていなかった。
鹿島の中盤が機能していて、ボランチやトップ下に対して前を向くいい形でボールを預けることが出来なかった。
結果として「3人目の動き」を試みようともボールを奪取されてしまうため、リスクを追うことになる。
やりたいことはできていなかったのだろう。
もしくは三角形を作らずにどう崩すか、外側からの攻撃を試していたのか?
中盤のフォローを作らずに試したことがあったのかはわからない。
後半の感想
1-1で折り返したので、これからの45分、またヒリヒリするゲームが観れると緊張していた。
しかし訪れたのは悪魔の10分間。
10分間で3失点なんて、ボスが着任してから観た記憶がない。
「集中力の欠如」といえば簡単だが、相手のやり方が一枚上手だったと言わざるを得ない。
後半の鹿島は、常にハイラインの裏を狙っていた。
それもシンプルに。
前半と戦い方を変えてきた印象を持った。
それに対応しきれなかった10分間で、試合を決められてしまった。
2失点目。
アンラッキーなこぼれ球から松原健とGK高丘陽平の判断ミスが続き失点。
高丘陽平はDFラインがハイラインを敷いてるからこそ、もうちょっと前でポジショニングできていれば、シュートコースを消せたかもしれないシーンだった。
とはいえ高丘陽平を責めるのは可哀想なシーンだ。
むしろその前の松原健のプレー。
自チームが攻撃に行くところで奪われた直後なのだから、守備の人数が少ないことはわかっていたはず。
あそこはディレイするプレーを選択するべきで、ボールを奪いに行く必要はなかった。
3失点目。
中途半端なマークからハーフレーンに鹿島の選手が浮いた状態になり、CB2枚の間にスルーパスを通される。
カバーに入ったティーラトンが倒しPK献上。
このシーンはみんながボールウォッチャーになり、「プレスをかけて取りに行こう」としたことが裏目に出た。
4失点目。
うちがやりたいことを相手にやられたが、このシーンは扇原貴宏のカバーが遅かった。
左サイドを崩され前田大然が追うも剥がされ、真ん中に絞っていたティーラトンがカバーに入る。
このシーンでは扇原貴宏はまだ軽いジョギング状態で、真ん中にはレオシルバがフリーの状態。
それにつられて喜田拓也がレオシルバのカバーに入ることになる。
それを察知したレオシルバは後ろから走ってきてる荒木の気配を感じ自らシュートは打たずポストプレーのように落とし、荒木がシュート。
ここも扇原貴宏が最も荒木の近くにいたものの後ろから緩く追っている状態で、荒木の前に立ちシュートを阻止することは出来なかった。
この3点でほぼゲームプランが壊れたと言っていいだろう。
そして最後の5失点目。
GK高丘陽平のミスであることは間違いない。
ただマリノスのGKである以上あのプレー選択は正しい。
ミスしたことは仕方ないが、
「Brave&Challenging」
という
「勇猛果敢に挑戦し続ける」
ことをチームとして掲げている故、1失点目のプレーから萎縮することなくプレーし続けたことは素晴らしい。
むしろこの試合で起きて良かったとさえ思えるミスだった。
攻撃面は4人同時の選手交代や、交代選手含め攻めの姿勢を最後まで見せ続けたことは良かった。
ただ一つ、采配面で気になったこと。
4人同時交代で中盤をごっそり入れ替えた。
これはプレーしている選手達にはどのように受け取られたのだろうか。
言い方は悪いが「この試合はもうダメだ」と監督が匙を投げ、選手を温存するようにも受け取れる交代に見えた。
この点は少し心配だ。
OUT:喜田拓也 IN:渡辺皓太
OUT:扇原貴宏 IN:天野純
OUT:マルコスジュニオール IN:レオセアラ
OUT:松原健 IN:小池龍太
OUT:エウベル IN:水沼宏太
OUT:畠中槙之輔 IN:岩田智輝
※6人目の交代は特例によるもの。
最後に
驚くほどに簡単に負けるもんだと拍子抜けした。
前半は今シーズンで最もエンターテイメント性の高い、両チームが存分に良さを発揮するいい試合だった。
後半は虚を突くようにミスから一気にたたみかけられて試合を決められた。
マリノスの自滅とも言えるが、鹿島の「ミスを見逃さない姿勢」を褒めるべきだろう。
サッカーにミスはつきものだ。
「あんな失点続きでミスされたらそんなこと言ってられるか」
と言う人もいるだろうが、ミスしないなんて無理だ。
あのイニエスタでもミスはするものだ。
この試合は上記で挙げた通り、GK高丘陽平を始め多くの選手が、目に見えるミスのみでなく、様々な判断ミスをしていた。
私はミスした選手を攻めるつもりは毛頭ない。
そこは理解いただきたい。
それは、感情的に
「ミスしやがってコノヤロー!!」
という個人攻撃は誰も得しないからだ。
そういうことは選手のためにも控えてほしい。
「サッカーにミスはつきものだ」
ということを理解してほしい。
チームとして
「ミスが続いたから仕方ないね」
で終わらせることなく、ミスが起きたときのフォローやリスク管理について分析や話し合いが持たれるだろうから、それを期待して、次のゲーム、誰が出ても精一杯応援しよう。
最後にこの名言を。
2021/05/17 誤字修正