見出し画像

【映画鑑賞】世界一キライなあなたに(#156)

世界一キライなあなたに

たまたまAmazon primeで見つけて鑑賞した映画。
テーマは「尊厳死」。
障害者と死について真正面からぶつかる映画で、日本では取り上げにくいテーマでもあり見入ってしまった。
感想はネタバレを含みますのでお気を付けください。

どんな人向けの映画?

○オススメする人
・ラブロマンスが好きな人

○向かない人
・「世の中は金で成り立つ」ことを受け入れられない人

感動するか、こんな現実は甘くないと思うか。
観る人によって色んな感想を持つだろうが、一度は観ていただきたい。

感想

この映画のテーマは「尊厳死」だろう。
後天性障害を持つことになった人間が「自らの命に終わりを望む」時、周囲の人間はどのように対峙するのがいいのか?
答えはないからこそ考えさせられるテーマだ。


映画のあらすじを簡単に説明する。
----------
おてんばなヒロインが、家庭を助けるために偶然見つけた高給な仕事に就く。
その仕事の内容は、途方も無く金持ちな家庭にいる「首より下が動かない、後天性の障害を持つ男性の相手をする」こと。

男性は障害を持つまではとてもアクティブで、すべてを手に入れた所謂「成功者」だった。
それが不慮の事故をキッカケに首から下が動かなくなり、パートナーだった女性を友人に奪われた。

彼は落ち込み塞ぎ込んでいて、家からほとんど出ない生活を送っていた。
自ら死を選ぶために、尊厳死の許されている国への航空チケットを手配する。

それを知ったヒロインは思い止まって貰おうと、障害を持つ前には当たり前に行けていたであろうコンサートや旅行に連れ出し、彼の気持ちが変わることを願って行動し続ける。

強引なヒロインとのやりとりをキッカケにお互い恋をした。

彼は、障害を持つ自分に縛られずに、彼女がよりアクティブに生きることを望む。
彼女は、彼が生き続けることを望む。

結局、彼は彼女のためを思って、自ら死を選んだ。
----------

この映画を観終わって、最初の感想は
 結局、世の中金かい!
ということ。

映画とはいえ、後天性障害を持つ男性の家が超金持ち。
金がないと、死ぬ前の旅行やコンサートなど自由に動けることはそうそうないだろうし、ヒロインを雇うことになる話し相手を雇うことすらできない。
金がないと、この映画は存在し得ないのだ。
悲しいかなこれが現実だ。

だってヒロインの父親が無職でいる時に、家が所有する城?のような広大な土地の管理をする仕事を与えるなんて、全く訳がわからない。



結局全ては金が解決する、という身も蓋もない事実は置いておいて…

障害を持つ方が自ら死を望むときに周囲の人はどうすべきか?
望み通り死を選択させるべきか?

この映画の妙は、ヒロインに出会う前と後で、男性が「尊厳死を選ぶ理由は変わる」が、最終的には尊厳死という選択肢を選んだことだ。

ヒロインと出会う前は
「後天性の障害を背負ったことで今までの自分が築き上げてきた人生が全て崩れた絶望感」
だったはず
ヒロインと出会って恋に落ちた後は、
「彼女が自分の世話に付きっきりになることで、彼女の人生を狭い世界に閉じ込めてしまうことを避けたい気持ち」
が理由になるだろうか。

自分の気持ちを優先しても、好きな人のことを想っても、どちらから考えても「最終的に自ら死を選ぶことになった」という事実がとても辛い。

映画を観終わって、何にかわからないが感動している自分もモヤモヤしている自分もいた。
こんな死を綺麗に描いていいのか?とも思う。
わたしはまだ、死はもっとドロドロしたものだと勝手に思い込んでいる。

この映画を観た感想が、家族であっても友人であっても意見がバラバラになるような興味深い映画だった。


以上、終わりっ。

いいなと思ったら応援しよう!