でんぱ組.incから離れそうになった心を『プリンセスでんぱパワー!シャインオン!』が救ってくれた
2021年2月16日。
成瀬瑛美の卒業公演が行われたその日、私は卒業ライブの中継を見なかった。
でんでんバンドを帯同しなくなったでんぱ組.inc
でんぱ組.incにおける私の推しは、夢眠ねむだった。
彼女は2019年1月7日にグループを卒業するが、私はその後もでんぱ組を活動を追っていた。
推しが自身の卒業と共に、ファンもでんぱ組を卒業することを望んでいなかったこと、武道館で6人体制のFuture Diverを見て、「今後のでんぱ組を追いかけないという選択肢はない」と強く思ったこと。
その理由はいろいろあるが、一番の理由は、何よりもでんぱ組.incの楽曲が大好きだったことである。
しかし実のところ、ここ最近でんぱ組に対して以前ほどの熱量を抱くことがなくなっていた。
その大きな理由の一つに、ライブにでんでんバンドを帯同する頻度が大幅に減ってしまったことがある。
事情はよく分からないが、ねむきゅん卒業以降、でんぱ組は基本的にオケでライブを行うようになった。
6人体制になってからでんでんバンド帯同でライブを行なったのは、2019年のROCK IN JAPANと、昨夏のオンラインライブのたった2回だけだったと記憶している。
「さすがにロックフェスに出るときは生演奏でしょう」と思っていたものだから、2019年のCOUNTDOWN JAPANにてオケでライブを行ったことを知ったときは、かなりびっくりした。
そしてでんでんバンドを率いたライブが年1回ペースまで落ち込んだ結果、でんでんバンドファンの間ではおなじみだった「でんでんバンド親衛隊」という非公式のTwitterアカウントは、ついに活動を休止してしまった。
個人的にでんぱ組と出会うまでバンドの音楽しか聴いてこなかったという音源遍歴も相まって、「ライブ=音源とは違うアレンジの妙を聴く場所」という考えがいまだに根強い。
そして、私自身でんぱ組のライブが大好きになったのも、でんでんバンドの存在がとても大きかった。
「全ライブでんでんバンドに演奏させろ」とは言わない。
特に今は、コロナの影響でステージ上に大人数が集まるのが難しいこと、バンドを呼ぶと経費がかかり、十分に観客を入れられない現状ではより収益を上げにくくなること、などなど理解はしているつもりである。
ただ、長年ライブを支えてきたでんでんバンドが軽んじられている現状に、どうしても心もモヤモヤがぬぐえなかった。
新メンバー加入
こうして一人勝手に運営との解釈違いを起こしている中で、えいたその卒業が決まり、2月16日に卒業公演が行われた。
前述の通り、私は卒業公演を見ていなかった。
正直、ここらで私もでんぱ組のファンを卒業した方がいいのではないかと思っていたのである。
でんでんバンド帯同のライブを行わなくなった運営が悪いのではない。
運営の方針についていけなくなった私が100%悪いのである。
そう、変われない私が悪いだけ。
ついていけなくなったコンテンツからは去っていくことが、私にとっても向こうにとっても一番いいんだろう。
そんなことを思いながら、Twitterを見ていると、衝撃のツイートが目に入った。
これまでのグループの歴史を鑑みると、えいたそ卒業のタイミングで、新メンバーが入るんじゃないかな、とはなんとなく思っていた。
しかし、一気に5人とは…。
このお知らせを見て、元来多人数のアイドルグループが苦手だった私の心は完全に折れてしまった。
さようなら、でんぱ組.inc。
運営は悪くない、変われない私が悪いだけ。
『プリンセスでんぱパワー!シャインオン!』のLive Movie
グループの公式Twitterには、新曲のライブ映像が数十秒アップされていた。
だが、見る気にはならなかった。
それから10日後、今後はフル尺のLive Movieがでんぱ組.inc公式YouTubeにアップされた。
「ヒャダインさんが作詞作曲しているし、最後に見るだけ見てみるか。そして、チャンネル登録を解除しよう。」
なんとなく視聴意欲が起き、私はLive Movieを再生した。
歌い出しを任された新メンバーの美しくのびやかな歌声に、心を奪われた。
歌唱力が高く、顔もかわいいなと感じた。
歌い出しから1分24秒間、ずっと新メンバー5人のパートが続く。
どうやら、「女の子が夢をかなえてお姫様になった」というストーリーらしい。
そして、5人が中央にいるみりんちゃんに向かい、ユニゾンで
と歌い上げる。ここでやっと、みりんちゃんが一言。
曲調が大幅に変わる。
ねもちゃんがはちゃめちゃに意地の悪い声色と表情で歌い上げる。
ここからサビに入るまで、従来のメンバーが新メンバーに諭すように、畳み掛けるように、お姫様になってからが"本番"なのだと歌い上げていく。
サビに入ると、10人全員のユニゾンが解禁される。
5人のメンバーが、新しくでんぱ組に入った新人5人に対して、「グループに入ることがゴールじゃない。これから努力してファンの期待に応えていくことが大切なんだよ」と教えているような、はたまた10人体制のでんぱ組の所信表明のような、そんなたくさんの強い気持ちが込められた楽曲のように感じた。
古参メンバーであるみりんちゃんとりさちーが、「変わることを恐れない」と歌う。
と、新メンバー5人が問いかけると、
と、従来のメンバー5人が答える。
「ああ。10人体制のでんぱ組.inc、最高じゃん…」
Live Movieを見終えた頃には、涙が止まらなくなっていた。
歌唱パートの割り振りが素晴らしい
『プリンセスでんぱパワー! シャインオン!』だが、なんと言っても歌唱パートの割り振りが素晴らしいのである。まず、
新メンバーが歌うAメロ→従来のメンバーが歌うBメロ→サビでユニゾン
と、歌割りだけ見ても、全体の流れにストーリーがある。
そして一つ一つのパートにおいても、"この歌詞を誰が歌ったら説得力が出るのか"という意味がしっかり考えられている。
前述したもの以外で例を挙げると、
上記の「プライドを受け継ぐ」という歌詞は、新メンバー5人が決意表明のようなかたちで歌っている。
私は大人数のアイドルグループが苦手だと先述した。
なぜならば、歌割りこそがアイドルソングの魅力であると感じているからである。
10人体制になって、無意味なユニゾンが増えるのではないかと心配していたが、それは杞憂だった。
また、「"この歌詞を誰が歌ったら説得力が出るのか"という意味がしっかり考えられている」ということは、裏を返せば、「歌い手のことを熟知し、考え、思いが込められた歌詞になっている」ということである。
新体制一発目の楽曲が、長年でんぱ組に寄り添ってきたヒャダインさんによるもので良かったと、心から思う。
シンプルに曲がいい
『プリンセスでんぱパワー! シャインオン!』は、もちろん歌詞や歌割りだけでなく、メロディやアレンジも素晴らしいのである。
個人的にメロディで一番好きなのは、ピンキーが歌うBメロの
という部分。曲中にBメロが1回しか出てこないのが本当にもったいない。
また、
Aメロ→Bメロ→サビ→サビ→サビ→Cメロ
という奇特な構成も、ヘンテコな曲をたくさん歌ってきたでんぱ組らしくて面白いなと思う。
あおにゃんが気になっている
ねむきゅんの卒業以降、私は箱推しというかたちででんぱ組を応援してきた。
バンドの曲ばかり聴いてきた私をアイドルの世界に誘ってくれたねむきゅんには、個人的にかなりの思い入れがあり、もうでんぱ組は一生箱推しなんだろうなあとも思っていた。
しかし!!私はLive Movieを見て以降、空野青空ことあおにゃんが気になって仕方がない!!!
澄んだ歌声がきれいで、新メンバーの中で特に歌唱力がずば抜けているのと、顔がとにかく好みなのである。
最近はARCANA PROJECTや過去のソロ曲を聴いたり、あおにゃんちゃんねるを見たりして、少しずつ理解を深めていっている。
先日行われた新譜のオンラインサイン会も、あおにゃんで応募した。
本名バレしてしまうが、この感動を伝えたいので、あえて宛名は隠さない。
宛名のデザイン性が良い…かわいい…!!!
丁寧にサインを書いてくれているのが見ただけで伝わってきて、心の底からうれしくなった。
これからますます、私はあおにゃんのことを好きになっていくだろう。
ああやっぱり、まだまだでんぱ組.incのオタクは辞められないな。