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バックバンドに吸い寄せられて、吉川晃司40周年ライブ広島公演を見に行った感想【セトリネタバレあり】


吉川晃司との出会い

※結構長いので、ライブ本編の感想だけ読みたい人は、目次から「ライブ本編」に飛んでください。

SUMMER SONIC2019でThe Birthdayのライブを見て、ミッシェル・ガン・エレファント熱が再熱した私は、ウエノコウジ氏の活動を気に掛けるようになっていた。
ウエノさんが吉川晃司氏のサポートをしていることを知ったのは、そのタイミングだった。

吉川晃司。
もちろん存じ上げている。地元の大スターだ。
しかし、1997年生まれの私にとっては正直まあ直撃世代ではなく、知っている曲は『モニカ』とCOMPLEXの『BE MY BABY』程度。
ドラマもあまり見ないため、私の中での吉川さんの印象は「チョコモナカジャンボと広島ガスの人」だった。

当人にとっても同郷の先輩である吉川さんのライブで、ウエノさんはどんな演奏をしているのか。
気になった私は、当時YouTubeにアップされていためちゃくちゃ違法動画のライブ映像を再生した。

衝撃だった。
その映像は2018年のライブのうち、『恋をとめないで』『The Gundogs』『GOOD SAVAGE』が切り抜かれていた。
ウエノさんの野太いベースから始まるアレンジになっていた『恋をとめないで』、一聴してすぐ「何この曲!??めちゃくちゃかっこいいい!!」と特に気に入った『The Gundogs』、そして何よりギター3人が集結する『GOOD SAVAGE』のズバ抜けたかっこ良さ。

バンドメンバーも衝撃だった。
「え、ギター、ウブちゃん……だよな……?もう一人はEMMA……で……合っているよな……?そしてこの力強いドラムは……ミナティー……!??」
そう、この時のバンドメンバーは、

Guitar:菊地英昭
Guitar:生形真一
Bass:ウエノコウジ
Drums:湊雅史
Keyboards:ホッピー神山

という布陣。
これにVocal:吉川晃司が加わるのである。
ELLEGARDENやNothing's Carved In Stoneはどちらも複数回ライブに行った経験があり、ウブちゃんのギターはもちろん大好き。
また「20代で吉川晃司は世代ではない」とかほざいた一方で、私はユニコーンのファンクラブ会員な程度には奥田民生氏のファンなので、ミナティーの演奏はMTR&Yでなじみがあった。
私にとって、本当に嘘みたいなバンドメンバーなのである。

こんな素晴らしいライブ映像を違法で視聴してしまったことを激しく後悔した私は、手始めに元のBlu-ray映像を購入した。

KIKKAWA KOJI LIVE 2018 “Live is Life”【通常盤】
名盤

「ライブにも参加しよう!」と2020年のツアーの広島公演のチケットをゲットしたものの、コロナであいにく開催中止。
その後はコロナ禍で私自身、吉川さんに限らず全般的に「ライブに行きたい」という意欲が失われてしまっていた。
(そしてThe Birthdayのライブに行かず、後々後悔することになる……。)

なんだかんだで吉川さんのライブをやっと初めて見たのは、ライブ映像を見た4年後、2023年の中津川ソーラーであった。
バンドメンバーは、私が初めて見たライブ映像と全く一緒。
遠目からの鑑賞、短い時間ながらも、念願の吉川晃司初ライブは本当に楽しく、「今度は絶対にワンマンに行くぞ!」と強く誓ったのであった。

それから10か月後。
私の元に衝撃のニュースが飛び込んできた。

KIKKAWA KOJI 40th Anniversary Live サポートミュージシャン
Guitar:藤井謙二
Guitar:生形真一
Bass:ウエノコウジ
Drums:湊雅史
Keyboards:ホッピー神山

KIKKAWA KOJI 40th Anniversary Live サポートミュージシャン決定

ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギターがフジケン!??????????????????????

そう、私はサマソニでThe Birthdayのライブを見る→ついでにミッシェルも恋しくなる→ウエノさん今何してんのかな?で、吉川晃司にたどり着いた訳である。
そのThe Birthdayのギタリストであるフジケンが吉川さんのバックでギターを弾くだって!????

もはやこのバンドメンバーは、「好きな日本人ミュージシャンで勝手にバンドを組ませようドラフト会議」での私の第一巡選択指名ミュージシャン一覧だった。
酒飲んで夢でも見てんのかと錯乱した。

これはなんとしてでも、ライブを見に行かなければならない!!!!!!!
デビュー日に地元に凱旋するということで、ファンクラブに入っているわけでもない私はチケット確保に難儀した。
なんとかチケトレのリセールで2階席最後列の席をゲットし、やっとワンマンライブへの初参加が決まった。

ライブ本編

セトリ

  1. TARZAN

  2. SPEED

  3. You Gotta Chance ~ダンスで夏を抱きしめて~

  4. MAJESTIC BABと

  5. ROUTE 31

  6. El Dorado

  7. Honey Dripper

  8. ソウル・ブレイド

  9. ロミオの嘆き

  10. ギムレットには早すぎる

  11. Love Way

  12. サラマンドラ

  13. タイトロープ・ダンサー

  14. プリティ・デイト

  15. LA VIE EN ROSE

  16. 恋を止めないで

  17. GOOD SAVAGE

  18. The Gundogs

  19. Juicy Jungle

  20. 終わらないSun set

  21. フライデー ナイト レビュー

  22. せつなさを殺せない

感想

開演時間の5時ちょうどにライブがスタート。
バンドメンバーが続々とステージに登場し、「マジでこの6人でライブをやるんだ……」という実感が湧いてくる。
何度見ても夢のようなメンバーだよ、本当に。

ライブは『TARZAN』から始まり、2曲目の『SPEED』で早速シンバルキックを披露。いや~~かっけえ!

最初のMCでは、当然と言うべきか、どぎつい広島弁で吉川さんがバンドメンバーを紹介。
当然ながらウエノさんもがっつり広島弁。
デビュー日に凱旋ライブということで、吉川さんが終始ハイテンションでうれしそうにしていたのが印象的だった。

「ウブちゃんは3月からELLEGARDENでワールドツアーに出る」「湊は奥田民生でもたたいている」など、バンドメンバーの他現場での仕事を紹介する吉川さん。
フジケンは渡辺美里氏のツアーと吉川さんのツアーに並行して参加した後、今度は沢田研二氏のツアーに帯同するらしい。さすが売れっ子……。
渡辺美里氏のツアーと吉川さんのツアーの公演日が重なった際は、吉川さん、ウブちゃんの二人体制でライブを行ったらしい。
「一部公演に参加できないと分かっていたけれども、オファーを出した。一緒に演奏したかったから」とおっしゃる吉川さんに、フジケンへの熱い思いを感じてちょっとウルっと来そうになった。
オファーを出してくれた吉川さんも、受けてくれたフジケンも、本当にありがとう。

また、「そのELLEGARDENのボーカルとウエノが一緒にバンドをやっとって、ややこしいのう」「それを言うたら、あれ(フジケン)は昔の俺のボーカルと一緒にバンドをやっとるんよ」と吉川さんとウエノさんが話しており、改めて細美武士とチバユウスケに縁のあるバックバンドだなあと感じた。

デビュー日凱旋公演でいつも以上にハイテンションな吉川さんを、ウエノさんが「はよ次の曲行こうや」となだめ、ライブが再開。

『You Gotta Chance ~ダンスで夏を抱きしめて~』の後、COMPLEXから『MAJESTIC BABY』を披露。
吉川さんは、フライングVでかっちょいいギターソロを披露。
「おまえと一緒なら……」をシンガロングできて楽しかった。

以降、『ROUTE31』『El Dorado』『Honey Dripper』が演奏される。
ライブ5~7曲目あたりはどうしても記憶が薄れがちなのが悲しいが、『Honey Dripper』のフジケンソロはマジで最高だった。もう1回聴きたい。

続いて最新アルバムから『ソウル・ブレイド』。
クールだけども熱くて、静かな闘志を感じる大好きな楽曲。
セトリ入りしてくれてうれしかった。

ここでバックバンドがホッピーさんのみになり、『ロミオの嘆き』をバラードアレンジで披露。
このアレンジがとっても素敵で良かった!!!
ホッピーさんの抒情的なピアノアレンジに、バンド編成時に比べると甘めの吉川さんの歌声がのっかるのが、本当に最高で……。
最後の最後にミナティーのドラムがちょこっと入る細かいアレンジも良くて、曲が終わった瞬間に「はぁ……♡♡♡」というため息が思わず出てしまった。

吉川さんが一度はけ、バンドメンバーのみでのインストソロを披露。
わぁ~い!!私、ボーカルの衣装直しの時間稼ぎのためのインスト曲大好き~~~♡♡(言い方)
特に、ウブちゃんとフジケンがステージ中央に集まり、向かい合ってギターを弾く姿がたまらなかった。

満を持して主役再登場の後に披露されたのは、『ギムレットには早すぎる』。
フジケンのギターで聴くことをめちゃくちゃ楽しみにしていた曲。
『Red Eye』が好きなThe Birthdayファンには、この曲のフジケンの演奏をぜひ聴いてほしいなと思う。
ジャジーなフジケンはいいぞ……。

とにかくウエノさんのゴリッゴリのベースがたまらない『サラマンドラ』。
アウトロのミナティーのドラムソロもとってもパワフルで、リズム隊の演奏が特に印象に残る楽曲だった。

『タイトロープ・ダンサー』『プリティ・デイト』と新旧織り交ぜ2曲披露した後は、鉄板曲連続投下ゾーンへ!

まずは『LA VIE EN ROSE』。
私は新参者だからよく知らないのだけれど、印象的なコーラスを引用したSEをイントロに持ってきたり、めちゃくちゃかっこいいギターリフを考案したりと、いい意味で原曲からかけ離れたゴリゴリのロックアレンジは、どんな経緯で完成されていったのだろうか。
ギターがEMMAウブになってからなのか……?
特にあのギターリフを考えた人は、本当に天才だと思う。
このバージョンのライブ音源が聴きたい。

そこからノンストップで『恋をとめないで』。
言わずもがな名曲。
やっぱり布袋さんのリフって天才的だなと、イントロを聴いて改めて思う。
間奏中にウブちゃんとウエノさんが前に出てきて、向かい合って演奏。
ウエノさんが、顔をウブちゃんのギターにかなり接近させていて、だいぶ絵面が面白かった
「Don't stop my love」の大合唱は本当に楽しい。

フジケンとウブちゃんにアコギ、吉川さんにエレキがセッティングされたということは、もちろんこの曲『GOOD SAVAGE』。
やっぱり布袋さんのリフって天才的(n回目)。
多分この曲で、吉川さんは上着を脱いで黒タンクトップ姿に。
最初はウブちゃんがリードでフジケンがバッキング、2度目からはフジケンもウブちゃんと同じ旋律を弾くというアコギのフレーズのアレンジが本当に素敵。
見せ場である竿隊大集結のギターソロでは、吉川さん、フジケン、ウブちゃんの3人に、ウエノさんが途中から近付こうとして一旦離れるという茶番も笑。
最終的に、下手からウエノコウジ、生形真一、吉川晃司、フジイケンジの4人が並んでソロを弾く姿は、まさに圧巻だった。

一瞬暗転して吉川さんが水分補給を行った後、すぐに『The Gundogs』へ。
息つく間もないセトリ~~~!
ウエノさんも上着を脱いで、白タンクトップ姿になっていた。
吉川さんソロ曲の中ではトップ3に入るくらい大好きな曲なので、やっと生で聴けてうれしかった、最高。(中津川のセトリには入っていなかったので。)

本編ラストは、『Juicy Jungle』。
「Jungle!」と全力でコール&レスポンスしたり、吉川さんと一緒に踊るのが本当に楽しい!!!
あとフジケンが手を挙げて~振って~というダンスをやっているのがめちゃくちゃ新鮮で面白かった笑。
他の現場では、あんなフジケンはなかなか見られないぞ……!笑

「楽しい~~!」という高揚感の中、最後はシンバルキックがビシッと決まり、あっという間に本編が終わってしまった。

アンコールは、結構早めに吉川さんが再登場。
ミカサとコラボした水球ボールを2階席遠くまで投げ込み、さすがの肩の強さに改めて驚かされた。
椅子に座り、相変わらずのきっつい広島弁で楽しそうにおしゃべりする吉川さん。

  • 筋力と体力は年齢に関係なく、トレーニングで鍛えることができる

  • ただ内臓は鍛えられない(数週前に食中毒になり、福岡・熊本公演が延期になってしまったことを詫びる)

  • ケガの治りは、若い頃の3倍時間がかかるようになる

ということを、教訓として覚えて帰ってほしいとのことだった笑。

ウエノさん、ウブちゃん、フジケンを一人ずつ呼び込んでいく吉川さん。
ウエノさんは、「お客さんが車椅子に乗ったり、杖をついたりするようになっても、吉川さんのことをよろしくつかあさい」とおっしゃっていた。

吉川さんはウブちゃんが海外ツアーに出ることをうらやましがり、「ワシの海外ライブは、ファンクラブイベントのグアムしかないんよ」とおっしゃっていた。意外。

フジケンとは、世良公則氏や寺岡呼人氏など、福山出身のミュージシャンも結構おるんのよ~という話題に。
「きょう福山から来た人~」と吉川さんが呼び掛けたところ、一定数の手が挙がり、「結構おってですね」と本日唯一フジケンが広島弁を発していた
そんなフジケンは、終始どぎつい広島弁をしゃべり続ける吉川さんとウエノさんに若干引いていて面白かった。

アンコール1曲目は、竿隊3人+吉川さんで『終わらないSun set』をアコースティックアレンジで披露。
個人的には、原曲よりもこちらのアレンジの方が好きかもしれない。

演奏終了後、ミナティーとホッピーさんを呼び込まれる。
ステージ袖や裏に手を振るボケをするミナティーに対して、「ずっとそのボケしかやっとらん。そろそろ新しいのを考えんと」と、手厳しい吉川さん笑

そして、隣のアステールプラザで岡村靖幸氏がライブをやっている(同日じゃなかったら行きたかったよ~!)話題へ。
ただ広島に入ってからは、翌週の武道館ライブの打ち合わせで忙しく、岡村ちゃんに連絡を取る暇はなかったそう。

その後、吉川さんとウエノさんでカープ話に。
9月の大失速について一通り嘆いた後、「また始球式やってくださいよ~。今度はワシがキャッチャーやりますけぇ」とウエノさん。
ウエノさんは吉川さんの始球式話が好きね笑。

「あと2曲。なつかしい曲をやって、最後は大合唱して終わりましょう。」と、披露されたのは、『フライデーナイト レビュー』と『せつなさを殺せない』。
大合唱&シンバルキックで大団円の後、「『すいばり』が通じんのがショックでのお~~」とボヤきながら、吉川さんはステージを去っていった笑
いや、2時間半のかっこいいライブの最後がそれ?wwww
※「すいばり」:広島弁で木や竹のささくれを指す言葉

総括

"凄腕ミュージシャンの寄せ集め"ではない吉川晃司バンド

吉川さんのサポートメンバーは、私の大好きな、そして世間的にも評価されているミュージシャンばかりで構成されている。
しかし、彼らは単なる"凄腕ミュージシャンの寄せ集め"ではないのだ。
"バンド"としての一体感を吉川晃司バンドからはひしひしと感じるのである。

皆さん多忙なため、ギターは特にツアーによって若干の入れ替わりがあるが、ウエノさんとミナティーのリズム隊は固定で安定されており、それを吉川さんと一番長い付き合いであるホッピーさんがバンマスとしてまとめ上げてくれている。
ウエノさんも方々で「吉川さんの"サポート"ではなく、バンドを組んでいると思って演奏している」とおっしゃっており、そんな心境で各々がライブに向き合っているからこそ生まれるグルーヴ感があるのではないかと私は思っている。

また、こんだけの凄腕ミュージシャンをバックに据えたら、普通はボーカルが食われて、存在感ゼロになってしまう。
しかし当然ながら、吉川晃司はバックバンドに食われない
なぜならば、吉川晃司だからである。

映像ではMCはカットされがちで、中津川ではバックバンドがしゃべる時間がなかったため、今回バンドメンバーが話す姿を私は初めて見ることができた。
吉川さんのウエノさんは、演奏面だけでなくMCとしても名コンビっぷりを発揮しており、なんだかその姿がとてもうれしく感じられた。
吉川さん、バンドメンバーにウエノさんを呼んでくれて、本当にありがとう。
これからもお二人のいにしえ広島弁トークを楽しみにしています。

還暦企画(民生さんも絡む?)も楽しみ

今回のライブMCで、吉川さんは二つ気になる発言をしていた。

一つ目は、還暦の企画では広島が盛り上がるとおっしゃっていたこと。
二つ目は、先日奥田民生と一緒に仕事をしたとおっしゃっていたこと
である。

何を隠そう、民生さんも今年で還暦。
民生さんとのお仕事は、還暦にまつわるものではないかと予想している。

ちなみに民生さんとの仕事中に、「ムーンサルトって、一時期河合楽器が猛プッシュしとったけど、あんなどこにも置けんようなギター誰が買ったんかね」と話していたところ、野村のよっちゃんは所持していることが判明し、二人で大爆笑したとおっしゃっていた。
会場も爆笑の渦に包まれた。

2025年の還暦イヤーは、吉川さんもたくさん広島にいらっしゃるということで、私もまたライブを見られる機会があるかな?と楽しみにしている。

当面は、5月末に行われる藤井一彦(フジケン兄)withウエノコウジのライブを楽しみに、日々を過ごしていきたいと思う。

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