【感想】ヨーロッパ企画第40回本公演『九十九龍城』広島公演を観て
2022年の観劇始めは、ヨーロッパ企画40回目の本公演「九十九龍城」でした。
いや~~~!観劇後の充実感及び満足度が半端じゃなかったですね!
さすがヨーロッパ企画!!
早速ネタバレ込みの感想を書いていきたいと思います。
はじめに~ヨーロッパ企画の観劇歴~
高校生の頃、図書館で「曲がれ!スプーン」の戯曲を読んだことをきっかけに、ヨーロッパ企画のファンに。
それから2016年の本公演「来てけつかるべき新世界」以降、本公演とイエティは毎回観ています。
また、以降のプロデュース公演や主要な映像作品も大体チェックしています。
ファン歴7年目といったところでしょうか。
コロナ禍では映像作品やオンライン配信を中心に活動を追っていたので、生での観劇は前回の本公演「ギョエー! 旧校舎の77不思議」以来2年半ぶりとなります。
また、ヨーロッパ企画のお芝居を見始めたのは大学進学を機に上京してからということもあり、地元・広島で本公演を観るのはこれが初めてでした。
影ナレ
近年の本公演ではおなじみになりつつある、世界観に寄り添った影ナレは、今回も健在でした。
今回の影ナレ担当は、理子ちゃん。
「九十九龍城は魔窟で異臭を放っているので、鼻までマスクで覆ってください」(セリフはニュアンス)など、コロナ禍ならではの影ナレもありました。
九十九龍城の秘密
もちろん前半の展開も面白かったのですが、九十九龍城の秘密が明かされて以降、加速度的に面白くなっていったな~!と感じました。
(※ネタバレが駄目な人はもう読んでいないとは思いますが、以下物語の核心に迫るネタバレがあります。)
実際、「九十九龍城は、プログラミングで作られたゲームの世界」という設定が明かされたときは、「きたきたきたきた!これぞ理系演劇!!これぞ上田誠!!!」と、かなりテンションが上がりました。
「だからキービジュアルのキャラがドット絵だったのか…!」と、劇の解像度が上がっていくこの感じがたまりません。
また、「ゲームの世界だから、同じような顔のアバターが何人もいる」という設定により、兼ね役に意味を見出す演出も素晴らしいなと感じました。
個性的なキャラクター
今回の公演では、今までの本公演以上に個性的なキャラクターがたくさん登場し、とても印象的でした。
特に心に残ったキャラを、以下に挙げていこうと思います。
サプライヤー
本多さんが演じるなんともうっさんくっっさいサプライヤー。
サプライヤーが出るたびに、私は大爆笑してしまいました。
うっさんくっっさいカタコトの話し方が本多さんの独特な声質にぴったりで、これぞハマり役!と感じました。
いまだにふとした瞬間、思い出し笑いをしそうになってしまいます。
ばあさん
続いては角田さん演じるばあさん。
こけるシーンで、パンツが丸見えになっていたのが印象的です笑笑。
また、パイフォンを投げ捨てるシーンや、出稼ぎ男を裏切るシーンの所作がファニーで、愛くるしいキャラだなと感じました。
角田さんは男性のはずなのに、どうしてこんなにも高齢女性が似合うのでしょう…笑。
踊り子スー
とにかく理子ちゃんは、ダンスもカンフーもお上手!!
この一言に尽きます。とっても感激しました。
「来てけつかるべき新世界」以降、ほぼ劇団員と言っても過言ではない活躍をしてきた理子ちゃんが、今回正式な劇団員として舞台に立っている姿を見られて、本当にうれしかったです。
郵便夫
出番は少ないけれども、今回永野さんが演じたキャラの中では、郵便夫が一番好きでした。
陰ながらスーを見守り、思い続けて、最後はスーのことを身を挺して守る…。
私の好みである陰キャヒーローの要素がたくさん詰まっていて、最高のキャラでした。
モブキャラだって活躍できる
物語の終盤、土佐さんが演じる看板民・上以外のキャラクターはRPGのモブキャラ、いわゆるNPCであることが明かされます。
それでも、モブキャラでも、モブキャラにだって、一人一人物語はあるんですよね。
事実モブキャラたちの生活を描くだけで、公演時間の半分以上が経過していましたし、クライマックスではモブキャラの力を結集させてドラゴンを倒しました。
モブキャラでも、誰だって主人公になれる。
クライマックスの展開は、上田さんからそんなメッセージが込められているように感じました。
また、諸々生じた問題を解決したのは、モブキャラたち自身の力ではなく、メンテだったというオチも非常に好きでした。
何か困ったことが起きても、結局外部要因でなんとかなることってありますよね。
この妙なリアルさがいいなあと感じました。
余韻の残るエンディング
エンディングはプロジェクターにエンドロールが流れるのですが、これがめちゃくちゃ良かったです。
後日談のようなシーン(かと思ったら、NG集らしい)を演じているのがプロジェクター越しに見え、エンドロールと一体化する演出が、まるで映画のよう。
無知ゆえ存じ上げなかったのですが、どうやらこれは香港映画のパロディーらしいですね。
観劇から1日経った今でも、その余韻にひたっています。
カーテンコール
界隈で物議をかもしている、中川ストップは今回出ませんでした笑。
ヨーロッパ企画のカーテンコールは、石田さんが客演を紹介した後、物販などのお知らせがあるという流れで、何度も出ハケをせず1回でスパっと終わる印象でした。
しかし今回客演の紹介はなく、カーテンコールも3回ありました。
客演の紹介はイツメンなのと、コロナ禍ということもありカットされ、その分カーテンコールを複数回やるようになったのでしょうか…?
これはあくまでも個人的意見ですが、ヨーロッパ企画の1回でスパッと終わるカーテンコールが好みだったので、今後の本公演のカーテンコールがどうなっていくのか気になっています。
最後に
まん延防止が発令され、残念ながら石田さんの凱旋公演となるはずだった愛媛公演は中止となってしまいました。
感染対策に細心の注意を払い、今回の広島公演を実現させてくださった関係者の皆さまには本当に感謝しかありません。
コロナ禍、そして広島という地方都市で演劇が見られることに改めて感謝し、これからも観劇を続けていきたいと思いました。
今後は数日後にロッキー・ホラー・ショーの広島公演を観に行き、コロナ禍が収まっていれば、3月には大阪にチコステを観に行く予定です。
また配信ではありますが、最近気になっているダウ90000の第3回本公演を観てみようかなと思います。
2022年も、たくさん演劇を楽しみたいと思います!