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今いる場所から離れて見えた、「生き方」の幅広さと、人を信じきること。〜CMC7期生振り返りレポートvol.4〜
休学する時、必ず聞かれるのが「休学中何するの?」という問いです。
相手は単純な興味で聞いてくれているのかもしれませんが、それがプレッシャーになってしまうこともあるのではないか。と思う時があります。
休学はあくまでも手段であり、何か目的がないといけない。休学が徐々に受け入れられている中で、そんな見えないプレッシャーが休学すること自体の可能性を狭くしてしまっているかもしれません。
何か行動していないと、何か目的がないと、立ち止まってはいけないのでしょうか?
何か目的を定めなくても、今いる自分の場所からふと離れてみる。それだけで視野は大きく変わり、今まで出会えなかったことにたくさん出会える。
「目的地に行く」だけでなく、「今いる場所から離れてみる」ことも意外と価値あることではないか。と思います。
CMC7期生振り返りレポートも本レポートが最終回です。今回は7期生のこうきとえびちゃんにお話を伺いました。
2人の共通点は休学中にCMCに参加したことですが、2人とも最初はCMC参加の目的が全然明確ではなかったそうです。「目的地」ではなかったCMCで2人が得たのは、想像をはるかに超える生き方の幅広さと、人への信頼だったとのこと。
2人の等身大な言葉から、今いる場所を「離れる」ことのおもしろさが見えてきました。
<こうきプロフィール>
兵庫県神戸市出身。現在は大学生活を送りながら、NPO法人SETの事業であるCMSPのスタッフとしても活動中。最近は小説やnoteの執筆をしつつ、『耐子の日常』に少しハマり中毒にならないよう警戒している。好きなものはクロワッサン。
<えびちゃんプロフィール>
静岡出身。2年間の休学を経て、現在は大学生活をワクワクしながら謳歌している。言葉を磨くことと夕方の空を眺めることがマイブーム。卒論は家父長制と人間の回復について書きたいと思っている。最近は、興味の幅が広すぎてひとつに決められず、モヤモヤしながらこれからを探している。
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CMCにいくタイミングは、向こうからやってきた
ー今日はよろしくお願いします!まずは2人がCMCに行こうと思った理由を教えてもらえますか?
こうき:僕がCMCに出会ったのは、就活が行き詰まり、大学を一旦休学しようと思っていた時でした。他の大学生が休学中に何をしているのかSNSで調べているときにCMCを見つけました。
当時は長期インターンに行くつもりだったのでCMCに参加するつもりは全然ありませんでした。でも行きたいインターン先が見つからず、CMCに興味を持ち始めたんです。
正直4ヶ月のプログラムって結構長いと思いました。でも、とても興味があったし直感的に行きたい!と思ったから行ってみることにしたんです。
ー直感に導かれるようにたどり着いたんだね。えびちゃんはどうですか?
えび:CMCのことは大学の友人と後輩にCMC卒業生がいたので知っていました。CMCに行こうと思った理由は、地元や家から離れたかったからですね。
私は2年間休学しているのですが、明確な目的があったわけではありませんでした。大学をストレートで卒業するのもなんだか面白くないし、就活にも違和感があるくらい。
休学1年目は、ゼミに参加したり、高校で模擬授業したりして、休学前の日々とほとんど変わりませんでした。夏ぐらいになるとコロナがひどくなり、両親から外出することをかなり反対され、夏から冬にかけて引きこもっていました。
このまま復学しても大学に戻れる自信がなかったし、本質的には親から離れることが一番重要だと思いました。離れなきゃ自分の人生変わらないなって。
もっと自分の心理的安全性のためとか、安心がある場所にいかないと自分がダメになってしまうんじゃないか。そう思って、もう一度休学してCMCに行くことにしたんです。
ー休学2年目のタイミングでCMCが自分にとっていい場所じゃないかと感じたんだね。
えび:そうですね。卒業生の話を聞いても、正直あんまりイメージが湧かなかったんです。「何してたの?」と聞いても、「なんもしてないよ〜」って、ふわっとした答えしか返ってこないし。自分にとって安心できると確信はしてなかった。
でも、自分の知っている人や信頼している人が行った場所なら、大丈夫なんじゃないかなと思いました。それ以上に、そこがどんな場所なのか考える余裕もなくて、ただ今の環境から離れられたらいいと思っていました。
ーCMCに「行く」ことが目的というよりも、今いる場所から「離れる」ことが大事だったんだね。
そうですね。あとCMCへの参加を迷っていた時、運営者のこうへいに「親の許可が取れなくてしんどいです」と相談したときがありました。
こうへいは「1人で背負うんじゃなくて、誰かに話すことで、一緒に背負えるかもしれないから話してみない?」と言ってくれて。今まで他人に話したことがなかった家族の話を、初めて人に共有できたんです。
私がCMCに行けることになったと報告したら、こうへいは「よく決断しましたね。大変でしたね。よくがんばりました。」という言葉もくれました。
自分を受け容れてもらえたというか、こんな言葉をかけてくれる人がいるんだと嬉しかったことを覚えています。
こういう人がいる場所なら大丈夫かなと、今思うと判断材料になっていたかもしれません。
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人を信じ自分の気持ちに嘘をつかずに話せるようになった
ー2人がCMCで暮らした4ヶ月を通して感じた変化はありますか?
えび:そうだな……。私は今まで生きてきた中で、CMCほど「人と一緒にいた」と感じた経験はありません。だから、シンプルに人といることに慣れたし、他人に自分のことを話すことにも慣れたと思います。
あと誰かにお願いしたり、頼ることもだんだんできるようになってきましたね。それがCMC期間内に出会った人だけじゃなくて、地元の友達や初めて出会った人にもできるようになったのは、大きな変化だと思います。
ーちょっと肩の力が抜けた印象を受けました。
えび:そうですね。今までは大学の友達や地元の友達に対しても、すごく仲良いはずなのに気を遣っていました。「これって大丈夫かな?」とか、「何言われるかわからないな」と常に怖かったし、人を信じきってはなかったと思います。今思うと、自分なりに自分自身を守っていたんですよね。
でも、今は自分と付き合ってくれている人を信じようと努力するようになりました。この人たちは私のことを好きでいてくれて、受け入れてくれるだろうと。そういう感覚は、体得というか本能的にパッとできるようになってきたと思います。
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生き方の捉え方が広くなり、やりたいと思うことがたくさん生まれた
ーこうきくんはどうかな?4ヶ月通して変わったことはあった?
こうき:うーん。どうだろ……。
えび:こうきは変わったところと変わらなかったところ両方わかりやすい気がする。こうきの変わらない部分は、本当に面白いと思ったところに突き進むところ。変わった部分は、自分のできることやできないことを、行動してきた経験をもとにだんだん掴んでいっているなとは思いますね。
ーこうきくんの魅力がすごくわかるコメントだね。こうきくんコメント受けてどうですか?
こうき:自分では何か変わったかはあまり明確にわからないですね。ただ広田で新しい価値観に触れて、自分の生き方を幅広く考えられた気がします。
自分はCMCに参加する前、ソーシャルビジネスに興味を持っていました。でもCMCに参加してみて、ソーシャルビジネスが本当に自分に合っているのか疑問に思ったんです。だからちょっと時間を置いて考えてみようと思いました。
ー生き方の幅が広くなったから、ソーシャルビジネス以外の選択肢もあるのではと思ったのかな?
こうき:今までは自分に合っているのかどうか、理由もなく決めすぎていたのかなとは思います。でも今はもうちょっとゆっくり考えるようになりましたね。
ー興味に対してすぐ行動できるこうきくんでありつつ、自分に合っているのかを判断するのは時間をかけてもいいと思ったのかな?
こうき:そうですね。CMCで新しい価値観に触れたから興味の幅が広がり、自分に合っていることかを考える前に、やってみたいことがどんどん見えてきたんですね。だから動きながらも、ゆっくり考えていけばいいかなと思うようになりました。
今でもこれからどうするのかは明確に決まっていなくてモヤモヤしています。でもわからないからこそ、いろんなことをやってみて、自分に合っているのか合っていないのか試していくしかないのかなと思っています。
人生実験かなと思っているので、色々やってみたいです。名言っぽくなっちゃいましたけど。
ーいや名言だと思うよ。素敵です。
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安心できる場所で好きを探求する時間。ユニークな考えに触れて自分を広げる時間。
ー今までCMCの時間を振り返ってきましたが、2人にとってCMCはどんな時間だった?
えび:安心できる人たちの中で、好きを探求できる時間だったなと思います。
広田を出てからも度々SET関係の人たちに会う機会があるのですが、広田以外の場所で会っても安心感があるんですよね。それって自分の居場所がいろんなところにある感覚でもあるんです。
だから、CMCでは信頼できるとか頼れる人たちが1人ではなく、いろんな人に寄りかかりながら、自分の状態を保っていく。そういう安心感がある中で、いろんなことを探求し、自分に気づく時間だったと思います。
ーえびちゃんにとっての信頼の形がとても見えるコメントだね。こうきくんはどうですか?
こうき:すごい特殊な時間でした。CMCとかSETの価値観って世の中的にはとてもユニークだし、なかなか出会えないと思います。
だからこそ行ってみてとても面白かったし、すごく楽しかったんです。色々考えさせられつつも純粋に楽しくて、豊かな時間でした。迷ったけど行ってみてよかったなと思います。
ー2人の話を通して、今自分がいる場所から離れてみることの面白さや豊かさを感じることができました。今日は本当にありがとうございました!
こうき・えび:こちらこそありがとうございました!
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執筆/編集 外村祐理子(Yuri)