『人生って、"ややこしい"。でも、』-生きることの"明"も"暗"も、のぞむところな学び舎が東北にある。【後編】
"自然"の中で「暮らす」こと
「丁寧な暮らし」とよく耳にするけれど、
「暮らす」って、いったい何でしょうか。
暮らしの基本にある、「食」。
得意なひとも苦手なひともいる、
自分たちで毎日、料理する。
作り手が、「ご近所の誰々さん」なキャベツ。
海から上がり、磯の香りのする人から受け取るウニ。
目に映る人や自然から、
台所へつながれて来た食材は、まさに”恵み”。
泥を落として、いやな虫を拾って
やっと形になる食材は、手間はかかるし。
同じ野菜が続くと、レシピを組むのも一苦労。
でも、
「旬」のある野菜が移ろっていくのを
口にして感じることで、”今”を味わう。
時の流れはここにあるのだ、と感じさせる。
毎日の中にある、人と自然の、”命”の営み。
その中にいる自分。
繋いでもらったことへの
感謝を胸におきながら食べるごはんは、
ほんとうの「栄養」になる。
波の音や広がる野畑に囲まれた
この町で過ごしていると、
急ぎ足になりそうな自分を、
自然が引き止めてくれるのを感じる。
古民家の縁側に座ると、
ゆっくりと呼吸ができる。
陽のひかりが、あたたかい。
澄んだ空気が、からだに入ってくる。
目に入る緑と青が、自分を包み込んでいる。
尽きることのない、先の不安や悩みに、
心を埋め尽くされそうになっていたけれど。
自分は今、ここにいる。
そんな当たり前を、おだやかな時間で確かめる。
すこし歩けば辿りつける海は、
厳かで、時におそろしい存在。
それでも、どこまでも大きくて。
行き場のない気持ちも、受け止めてくれる。
仲間と語りながら歩く夜には、
解像度の高い、星空が広がっていて。
きっと何年か後、
思い出しては胸が締め付けられる。
雨の日も、嵐の日もある。
でも、
晴れの日も、風そよぐ日もある。
穏やかに包み込んでくれることも。
日々を立ち行かなくさせるくらい、
大きな力をみせることもある。
それでも、この世界はうつくしい。
そして、わたしはここで生きている。
ちゃんと「暮らす」っていうのは、
あるべき時の流れにのること。
この世界のうつくしさに気づくこと。
かもしれない。
共に在ること
クラスに集まって、学んで。
一緒にご飯をつくって、食べて。
時には、手を取り合って、旅に出る。
仲間との日々は、充実している。
しかし、
生きることに向き合う学びには、
困難が訪れることもあります。
押し込めていたはずの、コンプレックス。
抱え続けてきた大きすぎる、悩み。
うまく言葉にできない、生きづらさ。
人と共にいることで、
自然な時の中で、
なぜか、不思議とあふれ出す。
それはなくした方がいい、
なんてことは、ない。
大丈夫。計画通りに、進めなくても。
ここには、受け止める余白が、いくらでもあるから。
自分の弱い所を見せるのは、怖いことかもしれない。
脆い表現をすることで、誰かに嫌な思いをさせるかもしれない。
それでも、
ありのままの感情はあっていい。
うれしい時も。
しんどい時も。
うれしい時だからこそ。
しんどい時だからこそ。
言葉を交わそう。
発散が何かを壊してしまうかもしれなければ、
傷つけ合うかたちじゃない
共にいられる表現を、一緒に探そう。
言葉にならなかったら、ただ隣にいよう。
ひとりでいたかったら、海にでも行っていい。
それでも、"独り"じゃないから。
あなたの帰りを、待っているから。
力が足りなければ、誰かに頼ってみていい。
あなたも、どこかで、
かならず誰かを支えてくれているから。
むずかしくても。
格好良くなくても。
立派じゃなくても。
あなたは、自分自身を生きていい。
一人じゃないから。
ここでの暮らしは、思い出す。
自分がいて。
誰かがいて。
ここに共に在って、
そうして、生きているのだと。
「人生って、"ややこしい"。でも、」
「人生って、ややこしい。」
明るい日も、暗い日も。
良いことも、悪いことも。
どっちも、あるから人生だ。
そんなの、「のぞむところだ」。
この学び舎で暮らす、
にぎやかな毎日が、お手上げになりそうな自分に
そう言ってる気がする。
ちょっと、
おせっかいにも感じるけど。
それでも、
諦めないんだ。
希望をみているんだ。
だから、あなたは、ここにたどり着いて、
ここで、わたし達は出会えたんだ。
そうも、言ってくれてる気がする。
人生ってややこしい。
でも、
人生ってすばらしい。
人生ってうつくしい。
そして、
あなたは一人じゃない。
だから、共に生きてみよう。
いろんな色をもった仲間で、待っています。
生きることに希望をみる、あなたに、
このまちで出会えることを。
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