参加動機は人それぞれ。日常を積み重ねて、自分の土台をつくる。〜CMC7期生振り返りレポートvol.1〜
今の現状に何か違和感があるけど、どうしたらいいかわからない。
そんなモヤモヤを持っている人たちが集まってくるのがChange Makers` College(以下CMC)です。
CMCに集まってくる人の動機はさまざま。明確な動機を持っている人もいれば、漠然と面白そうだと思って参加する人もいる。いろんな目線や想いを持った人が一緒に暮らし、対話し、生きることを学びます。
CMCを卒業した人たちは、どんな想いを持ってCMCに辿り着き、どんな時間を過ごしたのでしょうか?そのストーリーを追うべく、これから数回に渡って、CMC7期生のインタビュー企画をお届けします。
今回はCMC7期生のもっちーとさゆりをゲストに迎えました。もっちーは大学生で広田町に移住してみたいとCMCに参加。一方、さゆりはCMCを知った時に「おもしろい景色が見れそう!」と直感し、参加したとのこと。
背景もCMCへの参加動機も全く異なる2人ですが、2人は口を揃えて「CMCは日常がとってもおもしろかった」と話します。
彼女たちは日常のどこにおもしろさを感じていたのでしょうか?
シェアハウスでの生活や何気ない会話、デンマークから来た学生との生活など、いろんな角度から彼女たちの学びを率直に語ってもらいました。
2人が広田にたどり着いた理由
ー今日はよろしくお願いします!まず、2人がCMCに参加しようと思った理由を教えてください。
もっちー:私がCMCに参加しようと思った理由は、広田に移住してみたかったからです。広田町ではSETが運営している学生向けプログラムCMSPの活動に関わっていました。
3年生の時に就活をスタートさせたのですが、自分にとってしっくりこないことが多かったんです。
採用のプロセスで自分が今までやってきたことを、内容をみられるというよりは、表面だけを見て決めつけられるような気がして。参加している学生もみんな同じ髪型で、同じスーツを着ていて、なんだか嫌だなと感じました。
内定した企業へ内定者研修にも参加したけどその違和感は消えなくて。漠然と休学して広田に移住してみたいと思いました。その時にCMCの運営をしているこうへいと話す機会があり、大学を休学してCMCに参加することに決めました。
ー休学することに抵抗はなかった?
もっちー:休学は家族やゼミの先生から反対されていたこともあり、ギリギリまで迷っていました。
でも、自分はどうしても休学して広田に移住してみたかった。迷っている時にこうへいが「その想いは大切にした方がいいよ」と休学するサポートをしてくれて、休学する決断をしました。
本当は広田に移住してSETの活動を手伝う選択肢もありました。でもCMCならいろんな人に出会い、仲間になれて、新しいことを学べるかもしれないと思い、参加することにしました。
ー広田に住みたい気持ちがきっかけだったんだね。さゆりはどうですか?
さゆり:私は大学を卒業して、就職はせずとにかくお金を稼いで好きなことをしようと頑張っていました。でも、体をボロボロにするくらい働くことを繰り返し、社会のことを知っても自分の生活は変わらず、行き詰まりを感じていました。
同じ時期に通事故に遭い、治療のために整骨院へ通院していました。そこで治療を担当してくれていたのが、CMC2期生のつばささんでした。つばささんに今の状況を話してみたら、「一度自然に触れた方がいいよ」とCMCを紹介してくれました。
CMCのことを語っている時のつばささんの目の輝きがすごかったんです。話を聞いて、自分が経験したことがない景色に出会えそうな気がして、参加することを決めました。
ー行き詰まりはどんなところに感じていたの?
さゆり:変化しない自分に嫌気がさしていました。私は新しい発見とか常に面白いことが起きていないと、疲れてしまうタイプなんです。
東京はもう遊びきった感じがあって、もう他に楽しみを見つけられていない時にCMCに出会いました。自分にとって行かない理由はなかったです。
いろいろ起こりすぎる日常のなかで、関係性が変わっていく。
ー2人は全然違う動機でCMC参加したんだね。CMCで印象に残っていることはある?
もっちー:色々あるけど、自分は同じシェアハウスのあるメンバーとよく喧嘩してました。
ーおお。なんで喧嘩してたの?
もっちー;なんでなんだろう(笑)。でも一番最初のきっかけは、シェアハウスのことだったと思います。7期生は2つのシェアハウスに別れていて、私たちは「がばた」というシェアハウスに住んでいました。
みんな最初は家のことをあまりやらなかったんです。私は広田に滞在した経験があったので率先して家のことをやっていました。そのうち周りの子たちも手伝ってくれたんですが、その子だけ全然手伝ってくれなくて。ただ居間でずっと寝てたりするのが、気になるようになりました。
それから日常的に喧嘩するようになって、口きかないこともよくありました。
ーその関係性は変化したの?
もっちー:6月くらいからちょっとずつ変わり始めました。きっかけは「フォレストキャンプ」という授業で、7期生全員で森の中に泊まる機会があったんです。その時に違うシェアハウスのメンバーと仲良くなりました。
その授業以降、もし自分のシェアハウスで何かあっても、もう一つのシェアハウスに行けばいいと思えるようになりました。自分にとって安全な場所が一つ増えたことで、自分も落ち着いたんだと思います。
とはいえ、喧嘩は日常茶飯事で、口をきかなくなることはなくなったくらいです(笑)。
ーそれでも大きな変化だよね。さゆりはCMCで印象的だったことはありますか?
さゆり:私はルームメイトと日頃からよく話していました。だけどある時、その子と関係がうまくいかない時がありました。すると、自分がよく喋れる人が限られていることに気づいてしまったんです。
自分の感情を仲間にも、運営側の人にもうまく話せない。自分の感情をうまく吐き出すことができない環境であることにパニックになってしまって、東京に逃げました。
ー結構逃げたね(笑)。いちど離れてみて変化はあった?
自分のいる場所だけに集中してしまうと、世界はそこだけだと思い込んでしまう。でも一旦離れてみると、自分が今どういう状況なのかを冷静にみることができました。
自分のことをよく認識できたから、落ち着いて広田町に帰ってくることができました。
ー2人の話を聞いていると、自分のいた場所から少し離れる視点を持つことで、自分を俯瞰して日々を過ごしていたんだと感じます。CMCで楽しかったことはあるかな?
さゆり:私は日常がとても楽しかったですね。何が特別とかはあまりないかも。
もっちー:さゆりの言っていることめっちゃわかる!日々の生活はとても楽しかったですね。シェアハウスで暮らしていると、喧嘩とかいろんなことが起きます。でも、その中でお互いの関係性が変わっていくのはとてもおもしろかったです。
ー日常がおもしろいってとても豊かだね。さゆりは何か変化を求めてCMCにきたけど、劇的なことが起こらない日常におもしろさを感じたのはなぜだろう?日常に何があったのかな?
さゆり:なんだろうな…。出来事というよりは、自分のマイナスな感情を吐き出せる環境だったからだと思います。東京にいる頃は、嫌だなと思うマイナスな感情は言わず、もっと高みを目指さないといけないと思っていました。
でも、CMCでは自分のマイナスな感情を一旦吐き出して対話する中で、他の人が自分のマイナスな感情をプラスの表現に言い換えてもらえました。すると、自分が思う感情はマイナスとかプラスとか関係なく、悪いことではないと気づいたんです。
自分にとって嫌な感情や物事から、新しい自分に気づいていく練習ができたから、安心していろんな人に自分の思っていることを話すことができました。だから、対話の中でいつも目新しい発見に出会えて、日常が楽しかったんだと思います。
デンマーク人との共同生活で感じた「愛」と「自由」
ー7期生はデンマークから来た生徒とも一緒に暮らしていたんだよね。国籍が異なるデンマーク人の彼らから学んだことはある?
さゆり:たくさんありますね。一番の学びは「愛の言語」がたくさんあることですかね。
ー「愛の言語」って?
さゆり:彼女たちは自分ができることをよく理解し、自分が持っている全てのスキルを与えることに慣れている気がします。だから、愛って言葉だけじゃないんだなって思いました。
例えば、1人の女の子はすごくクリエイティビティがあって、ちょちょっとブレスレットを作り、私たちにプレゼントしてくれました。そういう場面に何度も出会って、彼女たちは色々な愛の言語を持っているなと思ったんです。
ー愛の与え方は言葉だけじゃなくて、いろんな方法があると。
さゆり:そうそう。結局、愛は人とのつながり方かもしれないですね。つながる方法として音楽を使う子もいるし、ものづくりをする子もいる。人とのつながり方とか、愛の表現の仕方をもっとこれから増やしていこうと彼女たちから学びました。
ーめっちゃいい話だね…。もっちーはデンマーク人と暮らしてみてどうだった?
もっちー:さゆりの話、結構わかるなって思いました。CMCでは月々の生活費を「共益費」としてみんなで使うんです。私たちのシェアハウスには料理が好きなデンマーク人がいて。彼女は共益費からではなく、自分のお金でめちゃくちゃ料理して、みんなにふるまっていました。
彼らを見ていると、この人たちはとても自由に生きているなと思いました。自分は何も気にしないで、自由に生きることは難しいなって思います。でも彼らは自由に生きて、楽しんで、人に与えることを自然にしているなとすごく感じましたね。
ー自分の持っているもので誰かとつながり、楽しみながら生きる。そのヒントを彼らからもらったんだね。
自分の基盤をつくり、自分を開く勇気を持てた時間
ー今までCMCのことを振り返ってきましたが、2人にとってCMCはどんな時間だった?
さゆり:私にとっては対話する時間だったと思います。CMCでは、日常的に自分の思っていることをふわふわと浮かべながら、終着点を探すように話していく。そういう対話ができたことで、自分の基盤をつくる時間になっていたと思いますね。
対話はたくさん話したルームメイトがいたからこそ、できたことかもしれません。だから、これからは自分でも対話できるのか試してみたいと思っています。でも、対話できる環境が1つでもあることを知れて、とてもよかったです。
ーとっても素敵だね。もっちーはどうですか?
もっちー:勇気をもらえる時間だったなと思いますね。CMCは自分の行動や発言は否定されないし、対話を通して自分の意見も自由に言える。自分にとっては、なんでもできる環境でした。
そういう環境だからこそ、自分を開くことができたと思います。自分を開けたからこそ、これからなんでもできそうだなと思います。
ー自分の基盤をつくることができたさゆり。自分を開くことで、なんでもできそうな勇気をもらったもっちー。2人がこれからCMCの期間をまたどう捉え直して、学び直していくのかとても楽しみです。今日はありがとうございました!
もっちー:こちらこそ、ありがとうございました!
さゆり:とても楽しかったです。ありがとうございました。
執筆/編集 外村祐理子(Yuri)