2021年、7つのRTAイベント運営に関わって思うこと
こんにちは。Cma です。
この度、こみゅリポAdvent Calendar 2021 の12日目担当として参加させていただきました。
本職の都合上、普段は技術的な情報発信をすることが多いですが、今回は #こみゅリポ ということで、RTA コミュニティにおけるイベントについてご紹介します。そして、私自身が多くのイベントに運営として関わる中で感じた、 RTA イベントの特徴や独特の良さをお伝えできればと思います。
軽く自己紹介
初めましての方も多いと思うので、軽く自己紹介をさせていただきます。
Cma (シーマ と読みます) という名前で活動している RTA プレイヤーです。プレイヤーとしての活動のほか、2019年からは日本最大級の RTA イベント RTA in Japan の運営もしています。
プレイヤーとしては主に「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の RTA をしていますが、最も顔を見られたのは 街へいこうよどうぶつの森 をプレイした 第2回借金返済王決定戦(RTA in Japan 2019) ではないかと思います。
下の動画で怪文書を 書いていない 方が私です。
この企画中に Twitter で #RTAinJapan がトレンド入りし、切り抜きのツイートがバズったりもしたので、見たことある方も多いかもしれません。
こんな感じで、そこそこガチめな RTA プレイヤーとして活動しつつ、RTA イベントの運営をしている人です。よろしくお願いします。
そもそも RTA イベントとは?
ここまで、「RTA」という言葉を普通に使っていますが、 RTAPlay! から引用して説明しておきます。ご存知の方がほとんどかもしれませんが、念のため。
RTA の対象となるゲームは、
「スーパーマリオ64」のようなアクションゲーム
「ドラゴンクエスト」のようなRPG
「どうぶつの森」のようなスローライフシミュレーション
など、ジャンルを問いません。多少の向き不向きはありますが、ジャンルを問わずにチャレンジすることができる、やりこみの形のひとつです。 自分の好きなゲームを少しでも速くクリアするために日々練習し、何十回、何百回(人によっては何千・何万)とチャレンジし続ける、そんな遊びです。
個人技の側面が強い RTA においては、複数のプレイヤーで様々な RTA を連続で披露する形式のイベントが一般的です。RTA in Japan や、海外のイベントである Games Done Quick などをご覧になったことがある方は、まさにそれです。
プレイヤー間の勝敗という概念がなく、プレイングを魅せることを主要な目的としているのは、 RTA イベントの大きな特徴ではないでしょうか。
なお、RTA イベントにおいても、同じ RTA を複数のプレイヤーがプレイするレース形式の演目もありますが、それもレースで勝ち負けを決めることが本質ではないと思っています。
抜きつ抜かれつの白熱する展開や各プレイヤーの豊富なストラテジーなど、あくまで魅せ方がレースという形式なだけ、と私は考えています。事実、レースが行われたイベントにおいて、チャットや SNS でプレイヤーの勝ち負けに言及されることはほぼありません。
ちなみに、「駅伝」と呼ばれる複数チームでレースをする形式のイベントもあるのですが、こちらは発展の歴史なども異なりますので、今回の記事の対象からは外します。興味ある方はこちらも調べてみてください。
2021年、関わった RTA イベントたち
では、私が 2021 年で運営した RTA イベントを挙げてみます。
なお、ここからご紹介するイベントは全てオンラインイベントです。オフライン開催におけるノウハウなどは今回のお話にはありません。ご了承を。
RTA in Japan 運営として
RTA in Japan Summer 2021
RTA in Japan Winter 2021
イベント主催
Glitch Outbreaking
OME Speedrun
運営・技術支援
Meme RTA Marathon
INDIE Speedrun Summit I
Puzzle Game RTA Festival 2
その他レイアウト開発色々
主催として企画の段階から始めたものや、提案いただいた企画の運営のみという形で携わったものまでありますが、振り返ってみると7つのイベント運営に関わっていました。
それぞれのイベントについて少し掘り下げてみましょう。
なお、レイアウト開発だけお手伝いさせていただいたものもありましたが、運営の部分にはあまり関わっていないので今回は省略します。
国内最大級! RTA in Japan
こちらはご存じの方も多いかもしれないので短めに。
(アドベントカレンダー明日の記事で詳しくわかるかも…?)
国内のオフライン RTA イベントの先駆けであり、プレイヤー・期間・視聴者数ともに最大規模である RTA イベントです。
前述した通りのイベント形式で、その規模は応募されたゲームの採用倍率が10倍以上になるほどです。
年2回の開催期間も相まって、RTA in Japan を目標に RTA に励むプレイヤーも見られるほどとなりました。RTA コミュニティ内外ともに、RTA イベントといえば RTA in Japan という認識も広がっているような印象です。
個性豊かな「テーマ制」イベント
RTA in Japan が国内の RTA イベントの代名詞として成長していく一方で、RTA コミュニティでは様々なイベントが生まれています。
特に多いのが、RTA の対象ゲームに一定のテーマを設けたイベントです。ここでは便宜上「テーマ制」イベントと呼びます。
私が運営したイベントも、このテーマ制イベントが多く、
Glitch Outbreaking: バグ技が活躍する RTA 限定イベント
Meme RTA Marathon: 比較的マイナーな RTA カテゴリ限定イベント
INDIE Speedrum Summit I: インディーズゲーム限定イベント
Puzzle Game RTA Festival 2: パズルゲーム限定イベント
のように、多種多様なイベントがありました。
これらのイベントに関わる中で、テーマ制イベントの特徴として感じたことですが、「運営・プレイヤー・視聴者に優しいフレームワーク」になっていると私は感じました。
まず「運営に優しい」についてですが、一言でいうと「運営がイベントの方向性を決めやすい」点です。主催を中心に複数のメンバーで構成されるイベント運営ですが、そもそも何を重視したイベントなのかを明確に決めることはなかなかないと思います。
そこで一つ、例えば このイベントはバグ技を披露してもらう場にする! とイベントテーマとして決めることで、運営が同じ方向を向きやすく、決め事も進めやすいです。
「プレイヤーに優しい」についてはもっとわかりやすいです。応募できるゲームが絞られることで、イベントの応募数が減り、採用倍率が上がります。採用されやすい=優しいイベント とする論理には賛否あるかもしれないですが、より参加しやすいイベントを作ることには意義があると思っています。
最後「視聴者に優しい」ですが、2つの観点があると思っていて、
イベントの見どころがわかりやすい
バグ技を集めたイベントなら、「大幅短縮のバグ技があるだろう」
興味関心のあるイベントかどうかがわかりやすい
パズルゲームが好きだから、パズルゲームの RTA イベントなら見よう
といった優しさがあると感じています。RTA イベントではプレイされるゲームのスケジュール表が公開されますが、しっかり目を通して興味あるゲームの時間に配信を開いて… とするのは大変でしょう。それが不定期に、なんでもない週末に行われるイベントとなったらなおさらです。
テーマ制イベントが多く開催されている背景には、このような運営のハードルが下がる事情があるのでは?ということを、数々のイベント運営を通して感じました。
あえてフリーテーマ、OME Speedrun
そんな中で、あえてフリーテーマで主催したのが OME Speedrun というイベントです。
前述した RTA in Japan 以外のいくつかのイベントは、私を主催としたイベント運営「Online Marathon Eventers」によって運営・支援されていました。いくつかのイベントを経て、あえてフリーテーマで開催することにしたのが、「OME Speedrun」というイベントです。
なぜあえてテーマ制を廃止したかという話ですが、テーマ制イベントが多く開催されていく中で、「こんなに色々なテーマイベントがあるなら自分が企画しなくてもよいのでは?」と思ったからです。いわゆる逆張り的精神もちょっとありました。
テーマなしで募集したところ、やはり募集ゲームは非常に多く、採用倍率も高くなりました。「プレイヤーに優しく」はなくなったわけですね。
ただ、採用倍率が高くなったことで、自ずと採用される RTA のレベルも上がりました。これは主観的なものではなく、経験の豊富なプレイヤーや世界レベルの記録保持者など、採用ゲームの内容を見れば明らかなものでした
(もちろん、ハイレベルで採用したいゲームの中にも、他ゲームとの兼ね合いで心苦しくもバックアップや不採用としたゲームもあります)。
結果として、OME Speedrun は「ハイレベルな RTA を披露するイベント」という裏テーマのもと開催し、チャットや開催後アンケートでも、プレイヤーのプレイングを称賛する声を多くいただくことができました。
プレイヤーにとってはあまり好ましくない、高い採用倍率を勝ち抜かないとイベントに出られない という障壁ですが、イベント全体をみると実は大きな価値を生んでくれるのかも、そう感じたイベントでした。
まとめ
この1年を振り返って、 RTA イベントについて長々と語ってしまいました。
RTA in Japan しかイベント見たことないよ!という方は、ぜひ他の RTA イベントを覗いてみてください。Oengus というイベント管理プラットフォームがあり、こちらに掲載された日本語開催される( JA と書いてあるもの)ものを追ってみるのが良いかもしれません。
この記事を通して、新たな RTA イベントに出会っていただけたら、私としても嬉しい限りです。
こみゅリポAdvent Calendar 2021
こみゅリポ アドベントカレンダー、次の寄稿者は Keyn Naka さんです。
RTA in Japan 運営としては私より先輩であり、Japanese Restreamという海外イベントの国内向け再配信チャンネルの主催でもあります。
RTA in Japan についてもう少し皆さんに知ってもらえることを期待して、次の Naka さんに繋げたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ご意見等 Twitter にいただければ大変ありがたいです。