2021年MLBのMVP投票結果からわかること
既報の通り、現地時間2021年11月18日に本年のMVPが発表され、ALは大谷(LAA)、NLはハーパーが選出された。
MLBのMVPは、シーズン終了直後に各チームの所在する都市から2名ずつ、両リーグ各30名の記者による投票によって決まる。各記者1位票~10位票まで10人に投票する。1位票には14ポイント、2位票には9ポイント、3位票には8ポイント、以降は4位票7ポイント、5位票6ポイント・…10位票1ポイントという計算になる。MVP選出者だけでなく、どのチームにどんな選手が投票されたのかを見るのが面白い。そして、投票の結果、投票者ごとの投票内容もBBWAA(全米野球記者協会)HPで公開されている。
各リーグの投票結果とその特徴は以下の通り。
▼AL
1位票大谷→2位票ゲレーロ(TOR)→3位票セミエン(TOR)の投票記者が24人。1、2、3位がきれいに分かれた。2位にはペレス(KC)、3位にはジャッジ(NYY)も投票を受けている。全員の記者から得票を受けたのは大谷、ゲレーロ、セミエン、ジャッジの4人で、23名が得票を受けた。7位票以降で初めて得票を受けた選手は12名と、下位では大きく選手が割れた。
▼NL
1位票、2位票は、ハーパー、ソト(WSH)、タティスJr(SD)、クロフォード(SF)、T.ターナー(WSH/LAD)の5人に分かれた。3位票、4位票の大半もこの5選手が占め、全体にALに比べ上位得票が拮抗した。全記者から得票を受けたのがハーパー、ソト、タティスJr、クロフォードの4名である。得票を受けた選手は23名とALと同数だが、ALに比べ下位のばらつきが少ない。
チーム別に得票を受けた人数、ポイント数を表にしてまとめると以下になる。赤字は地区優勝で、水色はワイルドカードでポストシーズンに進出したチームである。
▼チーム別の得票者数、ポイント数の比較
チーム成績との相関は、「ある部分もない部分ある」言い換えれば「若干ある」というところか。
得票者が誰もいなかったチームはどこもポストシーズンに進出できていないが、CWS(1人5ポイント)、MIL(2人17ポイント)のように少なくてもポストシーズンに進出したチームもある。ALで勝率が最も高かったTBのポイント数は9位とむしろ下位に入る。そして、人数、ポイントともALで1位となったTORは、ポストシーズンに進出できていない。NLではポイント数上位3位のチームはポストシーズン進出を果たせていない。
MVPの場合、別途サイヤング賞のある投手に得票が集まりにくいので、投手力で勝ったチームはポイント数がどうしても伸びてこない。また、LAA大谷のように、強力なインパクトのある選手が1人でもいればその選手のいるチームにどうしても得票が集まる。このため、「傑出した選手はいなくとも、戦力の穴が少ない上位チーム」の方がこういう集計では下位になりえる。
その中で、不思議なチームを1つ挙げればTOR。サイヤング賞もレイが獲得した。これは個々の選手のレベルの高さを表しているが、それでもなお競争の激しいAL東にいることも影響してポストシーズンには出られない。それでもポテンシャルの高さが生きれば2022年は怖い存在になるのだが…