インディアンスの名称変更に向けたステートメント
クリーブランド・インディアンスが、「インディアンス」というチーム名の変更に取り掛かることを正式に発表した。これによると、インディアンスは地域との見直す作業を今年7月にはじめ、多様な関係者から意見を聞いた結果、「インディアンス」の名称がもたらすマイナスの影響を考慮し、未来に向け多様な民族からなるコミュニティを束ねるための象徴として、チーム名の変更に取り掛かる決断をしたとのことだ。
一方で、チーム名の変更は重い決断で、決定には時間がかかり拙速には進めるべきではないとしている。これを踏まえ、新たな名称の決定作業の間、2021年は従来通り「インディアンス」の名称を使うともしている。
本来はもっと早く取り掛かるべきだったのかもしれないが、チームがコミュニティを束ねる力となるべく、多様な民族、地域コミュニティとの関わり方について真剣に考えるようになった結果と言える。その背景は、昨今のBLM運動をはじめとする多様性を保証する動きの高まりがあるのは間違いない。
これから、どのような名称になるのか、またチームが地元とどのようなパートナーシップを作るのか、注目したい。
以下、ステートメントとその私なりの和訳。
■組織としてのステートメント
クリーブランド・インディアンスは、今日、チーム名を「インディアンス」から変更する手続きに取り掛かる決断を発表した。7月以降、我がチーム名が支持者にどう影響を及ぼしたか、また組織価値に沿ったものなのかを知るべく、幅広く手続きを進めてきた。このプロセスの結果、現チーム名を変更し、フランチャイズのために、新しいネイティブアメリカンに立脚しない名前の決定に取り組む決断をした。我々は、コミュニティを束ね人々をまとめられることができるときに組織が最もよく機能すると信じている。-そして、新たな名前によりこれが完全に実現するだろうと確信している。
チームオーナー兼会長のPaul Dolanは語った。「ネイティブアメリカンの方々の話や体験を直接聞くことで、我々は、先住民族のコミュニティがチーム名に対し持った感情やチーム名のコミュニティに対する有害な影響につき深く理解した。我々は、市の多種多様な住民を代表し、コミュニティの幅広い住民や過小評価グループに対し我がチーム名がもたらす負の影響に焦点を当てた地域市民団体のリーダーとも話をした。私は、こうした方々の取り組みや情報提供に本当に感謝している。また、これが啓発的で本質を突いたものだと気付いた。スポーツチームは、コミュニティと協調しているときには、ホームチームへのサポートにより、多様な背景を持つ人々を束ね人々をまとめる力を解き放つ。インディアンスはいつも我々の歴史の一部であり続けるだろうが、新たな名前を通じてステークホルダーやファンをまとめるべく、前向きに取り組む時だ。」
■Paul Dolanオーナー兼最高経営責任者のファンに向けた手紙
2020年12月14日
ファンの皆様へ
今日午後、当組織が、インディアンスの名称変更手続きに着手し、コミュニティの結束や次世代に向けた伝統の構築をより進められる新しい名前の決定に向け動き出す決断をしたことを発表した。
5世代目のクリーブランド市民として、この決定の歴史的な影響や重要性は理解している。あなた方の多くのように、私はこの名前とともに育ち、過去のインディアンスのチームの素晴らしい記憶が多くある。ワールドシリーズの出場、サイヤング賞獲得者、MLB史上最長の連勝記録、そして、我がチーム、ファン、コミュニティを結束させてきた数えきれないほどの忘れがたい瞬間だ。こうした思い出は、我々の心、精神、記録に永遠に残り続けるだろう。そして、我々は、野球チームの素晴らしい伝統を称え続けるだろう。インディアンスの名のもとで、こうした忘れがたい記憶に多く関わってきた一方、私は、チーム名がクリーブランドの最も重要な部分であると心から信じている。
今日の決断は6月に始まったプロセスの結果である。これは、我が社会に影響している多くの社会的課題の解決の支援に向けリーダーシップを取り、クリーブランド都市圏に住むサービスを十分に受けられず過小評価されたグループを支援するという、我々の公約を受けたものである。この誓約をしたのち、私や組織内の多くの人が、組織内部で、我がフランチャイズがコミュニティ全般に果たす役割やコミュニティリーダーとしての責任につき振り返る時間をとった。この結果、7月に、話を聞き、学習したうえで、チーム名に関する最善の方向性に向け行動する手続きにとりかかることを発表した。
ここ数か月の間、我々は、ネイティブアメリカンのグループ、ファン、市民リーダー、ネイティブアメリカンの文化や問題に注力する有力研究者、内部のチームメイト、選手、パートナー企業をはじめとする多様なステークホルダーとの意義のある話し合いを行った。こうした話し合いは、啓発的だった一方、時には困難なこともあった。同一の組織や人種の中でも、個々人ではチーム名に対し異なる見方や意見を持っていたことに気づくことも多かった。すべての見方について話を聞くことを重視するとともに、プロセスを進めるにあたりこれらを考慮した。
最終的に、コミュニティを束ね、我がホームチームへの関心の共有で人々をまとめられることができるときに組織が最もよく機能することに気づいた。-そして、新たな名前によりこれが完全に実現するだろうと確信している。我々は、アメリカンリーグ初のアフリカ系アメリカ人選手であるLarry Dobyや、初のアフリカ系アメリカ人監督であるFrank Robinsonの所属したチームであることをよく称賛する。先人によるこうした将来を考えた行動が、我がチームやコミュニティの形成の力となった。そして、今日の決断が、こうした高い水準や期待にこたえ続ける力となる。
現在の名前を変えるという決断は、多くの段階のプロセスの1つである。新たな名前やブランド形成をはじめとする将来の決断は、複雑なうえ、時間がかかるだろう。新しい名前は、我々を将来へ導き、今後何十年、何世代にもわたりこの名高いフランチャイズの誇り高き象徴となると信じている。この重要性に鑑みて、こうした決断は急がないつもりだ。
新たな名前やブランドを定めるために必要な時間を取る間、チームは、インディアンスという名前やブランドを使用し続ける予定だ。我々はまた、話を聞き、学習したうえで、ネイティブアメリカンコミュニティをはじめとする地域社会のリーダーと協力を続け、過小評価されたグループへの支援を深めコミュニティに意義のある前向きな影響をもたらすつもりだ。
私の家族は、野球、クリーブランドを愛している。我々の組織が都市に前向きな力をもたらすとともに、同じ力をもたらせるよう周囲の人々を連帯させて刺激する力があると信じている。来るべきシーズンや今後何年にもわたって、フィールド内外で、この実現を続けられることを楽しみにしている。
チーム、選手、そしてともにあるクリーブランドのコミュニティへの継続的な支援に感謝する。
Paul Dolan
オーナー兼最高経営責任者
(以上)
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