MLB再開に向けた私の「折衷案」-機構、選手会の亀裂解消、持続可能なMLBに向けて

サラリーをめぐる労使対立で開幕の見通しが立たないMLB。その原因はコロナウイルスであることは言うまでもない。より具体的に落とし込めば、
(1)試合数自体の減少
(2)無観客試合化が収入の減少に追い打ち
といったところか。

MLB各球団のチケット収入、球場での売店収入の合計は、球団の総収入の4割。下記記事の入場料とその他に相当するようだ。無観客となればこれがごっそり消える。

このスタジアムの関連する収入割合についていえば、MLB、NBAを若干上回るようだ。(参考記事のNBAの「その他」が不明だが、入場料に関しては、確実にMLBの方が割合が高い)その上に、シーズン途中で中断になったNBAの場合、すでに2020-2021年のレギュラーシーズンの大部分は消化しており、その分の入場料収入は入っていた。MLBは、今季丸ごとこれがなくなりそうなのは、確かに痛い。

(参考)
https://note.com/hisashi_ito/n/n063846751892
https://note.com/hisashi_ito/n/n4fed2ff3537d

MLBは、他の競合スポーツと比較して大きなハンデを背負ってしまった。でも2020年MLBを前に進めるためには折り合わないといけない。ここで、私なりに「折衷案」を出す。これは、単に目先の数字をやりくりするのではなく、MLBをより持続可能なスポーツにするための、新規事業の提案も含んでいる。

<前提>
1)3月の当初の契約:2020年予定サラリーから実際に行った試合数で案分して支払う
2)機構・球団が払う意思のある分:2020年予定サラリーの30%のよう
  (これが最近考えているとされる「50試合案」の根拠に。試合数按分での支払いでは、この試合数で2020年予定サラリーの約30%になる)
3)選手会の逆提案による希望試合数は114試合(3月契約の按分では、2020年予定サラリーの70%になる)

【折衷案】
1.レギュラーシーズンは82試合とする
2.これに基づく選手のサラリーは、3月契約で基本とする案分とおり、2020年予定サラリーの50%
3.ただし、そのうち選手が2020年にもらえるサラリーは、2020年予定サラリーの40%となり、3月契約の10%減。
4.球団の2020年の年俸負担は、2020年予定サラリーの40%と、払う意思のある額を10%上回る

5.では、選手がもらうはずの「2020年予定サラリーの残り10%」はどうなる?
 うち5%は後払い
 うち5%はMLBが主導して立ち上げる感染対策、地球環境対策に関する事業「MLB環境事業」(仮)に一旦出資
 なお、この分は、一旦外部のベンチャーキャピタルに投資してもらう

6.「MLB環境事業」が成長して利益を出すようになった時の利益配分は以下の順:
 (1)投資したベンチャーキャピタルに配分
(2)選手側に、「2020年予定サラリーの5%」を返還
(3)残りは、機構ないしは球団が全部持って行っていい
※(3)で残る利益が「2020年予定サラリーの残り10%」を超えれば、むしろ球団にはプラスになる。

イメージをグラフにすると、以下のようになる。

画像1

画像2


なぜ「MLB環境事業」なのか?
・今回の騒動のほか、MLBの事業を毀損したそもそもの原因はコロナウイルス。この対策や、新たなビジネスモデルに対応した新規投資が必要。この投資は、地球環境に留意したESG投資に根差したものでなければならない。
・また、コロナウイルスに次ぐ感染症を根本から断つためのスポーツ界からの取り組みも必要。特にスポーツ、そのうち野球は、これまで自然の恩恵を受けて利益を享受してきたきた業界であることから、「恩返し」も必要である。

最近の感染症の多発は、森林の乱伐などの地球環境破壊により、ウイルスが人間界に接触する機会が増えたのが原因。これを防ぐための地球環境保全のために、MLB、選手会も出資すべき。具体的には、乱伐が進むアマゾンなどの森林資源の保全のための土地の買取があげられる。
これを機に、MLBがSDGsの実現、公正で平和な社会づくりに積極的に寄与することが求められる。これがMLB、選手会双方の長期利益にもなる。

この「折衷案」新たな情報が入り、新たな展開があれば修正したい。というよりは、早々に合意して、この「折衷案」がいらなくなるのが一番なのだが…

(注)選手、球団の希望額、2020年当初サラリーの割合は、この記事を参考にした。
https://www.espn.com/mlb/story/_/id/29252811/sources-mlb-mulls-shorter-season-full-prorated-salaries-players

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