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MLB、ついにロックアウト…

MLBがついにロックアウト…現地時間12月1日11:59で失効の旧労使協定に代わる新協定が合意できず、ついにロックアウトに突入した。

まずは両者のステートメント。
MLB機構のマンフレッド・コミッショナーより。

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全文は以下のサイトにて。

https://www.mlb.com/news/featured/a-letter-to-baseball-fans

この訳は以下(Google翻訳を私なりに修正しています)。

ファンの皆様へ:
素晴らしい野球の試合を支え続けていることに、まずは感謝申し上げます。昨シーズンは、世界的パンデミックという困難な課題のさなかでも、ナショナルパスタイムが、いかにして私たちを結び付け、希望を取り戻せるのかを思い起こさせました。私たちが歴史上最も暗い時期の1つから立ち上がる中、球場にはファンで埋まりました。ゲームは興奮に満ち、そして何百万もの家族が一緒に野球を見る喜びを感じました。素晴らしい野球の試合を支え続けていることに、まずは感謝申し上げます。昨シーズンは、世界的パンデミックという困難な課題のさなかでも、ナショナルパスタイムが、いかにして私たちを結び付け、希望を取り戻せるのかを思い起こさせました。私たちが歴史上最も暗い時期の1つから立ち上がる中、球場にはファンで埋まりました。ゲームは興奮に満ち、そして何百万もの家族が一緒に野球を見る喜びを感じました。
だからこそ、今日我々のゲームが置かれている状況にとても失望しているのです。選手会との合意に向けリーグは最善を尽くしたにも関わらず、26年間にもわたった労使協調の歴史を続けることができず、現在のCBAの満了までにMLBPAと合意に達することができませんでした。そのため、12月2日の東部時間午前12:01に、メジャーリーグの選手のロックアウトを開始せざるを得なくなりました。
この結果に至った過程、今日この行動をとらなければならない理由を説明したいと思います。簡単に言えば、オフシーズンのロックアウトは2022年シーズンを守る最良のメカニズムであると確信しています。ロックアウトが交渉の開始を促し、予定どおりシーズンを開始できるための合意につながってほしいです。選手会のMLBへのビジョンは、ほとんどのチームの競争力を脅かしえることから、この防御的なロックアウトが必要でした。この(選手会の)ビジョンは、とても実行可能なオプションではありません。 MLBPAは当初から、解決に向けて、最初の立場を変えて、妥協し、協力しようとしていませんでした。
新しい合意について交渉を始めた際、選手会には、すでにスポーツ界にある他の何物とも取引しないという契約がありました。野球選手にはサラリーキャップがなく、契約の最長期間ないしは最大金額の制約を受けません。実際、MLBだけが10年以上、3億ドルを超える契約を保証しています。こうした根幹を変えるようなものは何も提案していません。11月に17億ドルがFA選手につぎ込まれ、これまでの記録が4倍近くも破られたことで、フリーエージェントは「崩壊した」と何度も耳にしてきました。オフシーズンの終わりまでに、各クラブはMLB史上どのオフシーズンよりも多い金額を選手に支払うことになる見込みです。
選手会が提起した懸念に対処することで、システムを選手にとってよりよいものにしつつ、妥協点を見つけるために一生懸命努力しました。私たちは、野球史上初めて、すべてのクラブに対する年俸総額の最低限の設定を提案しました。サービスタイムが操作されているという苦情を解消しえる年齢ベースのシステムを通じて大多数の選手が早くFAになれること、最低サラリーの引き上げをはじめとするすべての若い選手の報酬引き上げも提案しました。交渉の進展が見られないときは、ユニバーサルDHの受け入れ、他のリーグと同様のくじを使用した新しいドラフトシステムづくり、少数のチームにのみ影響するぜいたく税の基準値の引き上げを提案して、交渉の進展に努めました。
私たちは以前から、労使協定の合意に関して課題を抱えており、私の任期中は毎回それらの課題を克服してきました。残念ながら、選手会は、妥協ではなく対立する戦略で交渉のテーブルについたようです。彼らは、収益分配システムの大幅な削減、ぜいたく税の効力の低下、選手のチームへの拘束期間の短縮など、史上最も極端な一連の提案を決して取りさげようとはしませんでした。これらのすべての変更ほど、ゲームの競争力を低下させるものはありません。
誤解のないように言うと、この困難だが重要なステップは、必ずしも試合が中止されることを意味するわけではありません。実際、我々がこの手段を取っているのは、できるだけ多くの交渉を行いつつ合意をする切迫性を高め、2022年シーズンへのダメージを回避するためです。このプロセスをさらに遅れれば、スプリングトレーニング、開幕戦、その後のシーズンがさらに危うくなります。また、1994年に経験したように、協定の期限切れの結果、シーズン中のストライキとワールドシリーズの中止とになることは、断じてあってはなりせん。我々は皆のよりどころは、あなたやファンです。これ以上のものはありません。
今日は野球にとって困難な日ですが、1年間言い続けてきたように、公正な合意へ向けた道があります。これは見つかるでしょう。リーグと選手が、根底となるこのゲームへの感謝とファンへのコミットメントを共有していることは間違いありません。私は、双方が協力して、愛するゲームを育て、守り、強くする機会をつかみ取れるものと楽観視しています。 MLBは、その目標の達成に向け、24時間体制で作業する準備ができています。選手会には我々と交渉に加わってもらいたいと思います。

対するMLB選手会のステートメント。

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私なりの訳は以下の通り。

MLB機構は選手のロックダウンを発表し、我々の業界を閉じた。
タイミングに関わらず、この閉鎖は劇的な手法だ。法律ないしは他の根拠により必要とされたものではない。これはオーナーの選択であるのは自明なことだ。権利や利益を放棄するよう具体的に計算されたもので、選手だけでなく試合や業界全体の利益となる誠実な交渉上の提案を見捨てたものである。
こんな戦略は今に始まったことではない。前にも目にしたことである。選手は何度も何度も―何世代にもわたり作り上げた連帯により―これを乗り越えてきた。今回もまた同じことをするだろう。
すべての組織に公正であり我々の愛するゲームの最も素晴らしいバージョンをファンにもたらす、交渉を踏まえた包括的な労使協定の条項のもとで、フィールドに戻ってくるという決意に変わりはない。

失効直前の機構、選手会間の交渉は、何と7分であっさり物別れに終わったそうだ。

この労使協定の交渉による主な両者の提案や主張点を取り急ぎ整理すると以下になる。

【機構】
・NBAのようなドラフトでのくじ導入
・両リーグでのDH導入
・選手年俸の最低額の引き上げ
・ぜいたく税発生基準額の引き上げ
・クオリファイングオファーの廃止
・14チームでのポストシーズンフォーマット

機構は、最初は、贅沢税の基準の引き下げかつ各チームの年俸の「最低限度」の導入を提案していたが、これはなくなったようだ。

【選手会】
・贅沢税の基準のさらなる緩和
・収益分配制度の緩和
・14チームでのポストシーズンフォーマット

贅沢税の基準額主張の相違は、以下の通り。まだ25~31Mの隔たりがある。
・機構:214~220M(直前は210M)
・選手会:245M(直前は248M)

12月失効の旧協定の基準だと、2017年195M→2021年210Mと段階的に引き上げ。その前の協定による2016年の基準額は189M。現在の機構の提案は、旧協定の引き上げペースを踏襲した感じだ。

「贅沢税の基準」「収益分配制度」これがどうも対立の火種のようだ。これは現在のMLBの閉鎖系、戦力均衡型のビジネスモデルの根幹をなすものである。

そして、MLBの公式HPから、現役各選手の具体名や写真が、完全に消えた。載っているのは交渉の情報や過去の選手の写真やトピックのみ。ロックアウト期間中はこれらを全く載せるつもりはない。federal labor lawに準拠するためだという。


今野球に必要なのは、サステナブルな発展、他競技に流出するZ世代などの若いファンを取り戻すこと。あまり長期化し、契約ひいてはシーズンに影響するような動きは、こういう理想像から全く逆行することは言うまでもない。

MLBがロックアウト…長期化して試合ができなくなり、ファンを失う事態は絶対に絶対に絶対に絶対に避けてほしい。こうなりそうなら、SNSなどでマンフレッド、クラークとも痛烈に叩かせてもらう。英文でダイレクトメッセージで批判することも辞さない。


「三方よし」MLBをめぐるすべてのステークホルダーに言いたいことだ。

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