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「悩むな、動こう」– 角谷ヨウスケプロが語る、aikoへの愛と麻雀【取材•執筆:橋本るみ】 

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角谷ヨウスケプロ(以下、角谷) ここ1年くらいで、最も嬉しかったできごとを挙げるとすれば、歌手のaikoのお父さんのお誕生日会をしたことですね。

 今年の夏、茅ヶ崎で行われたaikoの野外ライブに参加した人どうしの打ち上げを何人かで計画して、ライブ当日に開催したんですよ。そして、そこに誕生日が近かったaikoのお父さんもお招きしました。

 僕はaikoのデビュー前からaikoを応援していて、年20回くらいライブに行きます。ライブの会場によってはチケットの倍率が500倍の時もあります。そういった戦いにも何とか勝ち抜いて、ライブに参戦しています。

ライブ当日に角谷プロが購入したカラフルなグッズ



――角谷ヨウスケ。日本プロ麻雀協会関西本部所属、3期後期入会。大阪の進学校である北野高校、そして京都大学経済学部を卒業するも、麻雀プロの道へ。現在、雀王戦A1リーグ、関西雀王戦Aリーグ所属。2016年には第15期雀王を獲得、その年の麻雀最強戦では決勝戦に進出。
 対局のみならず、ゲスト活動、麻雀教室の講師、協会関西本部所属の若手プロ向けの研修担当など、その活動は幅広い。家に帰れば優しい2児の父である。
 そして、協会noteのインタビューでいきなりaikoについて熱く語りだすほど、aikoの大ファン。aikoファンのことを「お花ちゃん」と呼ぶそうなのだが、前述の話からもわかるように、角谷プロは「お花ちゃん」たちの中でも一際目立つ大輪のヒマワリのような存在なのだ。そんな角谷プロにインタビューを行った。


〇大成功のお誕生日会


角谷 「ライブの打ち上げ」には、合計で70人くらいのファンが集まりました。大人数だったので、場所などの調整は大変でしたね。ライブ当日は大型台風が来た日で、新幹線も止まってしまう可能性があるほどでした。ライブ自体も含めて、本当に開催されるのかと心配していました(笑)。

 最終的にはライブは開催されました。途中で雨が降り出して、会場が野外だったのでaikoもバンドメンバーも、もちろん僕たち観客もずぶ濡れになりましたが、ライブも楽しめ、お父さんのお誕生日会も無事開催されました。来てくれたお父さんも本当に喜んでおられました。

 ここ数年のコロナ禍ではこうやって大人数が集まることもなかなかできなかったので、今回打ち上げもお誕生日会も開催できて本当に良かったですね。

どこまでも広がる茅ヶ崎の空と海、そしてライブ会場

〇aikoを語る、そして麻雀プロ観を語る


角谷 そもそもaikoを好きになったのは、とっかかりとしては家が近かったからです。僕がaikoを知った時、まだデビュー前だったし、当然まだ売れてはいませんでした。「家が近い」っていうのは大きいです。麻雀界でも、「同郷の麻雀プロだから応援しよう」と思ってファンになる人がいますよね。それと似ています。誰かを好きになるのに、共通項って結構大事だと思います。

 でも共通項があればいいわけじゃない。僕がaikoに惹かれるのは、もちろん圧倒的に歌が上手くて、歌に真剣なところ。そして、常にファンと近い距離でいられるよう努力しているところです。

 aikoは、こんなに売れているも今でも、ファンレターに返事を書いたり、ファンのXの投稿に返信をしたりします。麻雀プロとして、僕自身もaikoのようにありたいと思っています。「僕のファンになってくれる人」つまり「僕のことを好きである人」のことを好きでありたいです。空き時間にXで自分の名前を検索して、誰か何か書いてくれていないかな、ってよく探していますよ。

 もともと僕は健康麻雀の講師をすることが多かったのですが、最近は「角谷塾」「角谷ゼミ」といった僕の名前を冠した教室の講師もしています。初心者向けの教室もありますし、競技麻雀の大会に参加する人向けの教室もあります。勉強会に来る人の数も、また来る層も増えたのは本当に嬉しいですね。
特に僕の名前を冠した教室については、「角谷先生が講師なので来ました」と言ってくれる人が多いです。ファンの方に「僕じゃないとダメ」って感じてもらえるようなプロでないと、と思っていますし、そうあれるように日々頑張っています。「僕じゃないとダメ」ということを意識しているのは、もしかたら僕自身も僕のことがすごく好きだからなのかもしれませんね(笑)。

「角谷プロ」だけでなく「角谷先生」としても活躍

〇僕はポジティブ、そして悩まない


――「自分のことが好きなのかもしれない」いうことを言語化できる角谷プロ。かなり自己肯定感が高く、ポジティブな性格なのだろう。実はインタビュー時点では、角谷プロは自身の所属するA1リーグで約600ptのマイナス、16人中16位。苦しい位置で戦う今期、対局に臨む心の在り方についても尋ねてみた。

角谷 自己肯定感ですか?高いと思います。そして、基本的には何事に対してもポジティブです。落ち込んだり、ネガティブになったりすることは、ほとんどありません。嫌なことがあっても、寝たらたいていは忘れます。他人に嫉妬することもありません。

 今期、A1リーグで負けていることについては、俗な言い方にはなってしまいますが、「激オコ」ではあります(笑) が、「しんどいわー、悩むわー」みたいな感覚はありません。

 確かに、対局中に勝負手をあがれなかったとか、相手のリーチに放銃したら裏ドラが乗ってしまったとか、そういう時は腹立たしい気持ちにはなります。でも腹立たしさは「その時だけ」という感じで、すぐに過ぎていってしまいます。

 僕自身、何事においても「悩むよりまず動いたほうがいい」と考えています。悩むこと自体は、問題に対する直接的な解決策ではないので、僕にとっては何だか無駄なことのように感じてしまうんです。「悩む」よりも「動く」つまり「具体的にどうしたらいいかを考えて実行する」ようにしたいですね。

 例えば「雨が降ったらどうしよう」と悩んで出かけられないよりも、「カバンに折り畳み傘を入れて出かけたらいい」と思える人でありたいです。「雨が降る」みたいに、自分ではどうにもならないことに対して悩んでも仕方がないかなと思います。日常生活でも麻雀でも、それはすべて同じです。

対局中。オレンジ色のカーディガンはお気に入りとのこと。


 麻雀を打っていたら、確かに選択に「悩む」ことはあります。ただ、それは僕にとっては「悩む」のではなくて「どっちが(例えばこの牌を切るか・切らないか)得なのか」を思考する局面なんです。損得について「思考」することは無駄ではないし必要なんです。そう思いながら対局に臨んでいます。

――「明日もA1の対局やねんなー」と言いながら梅田・茶屋町の喫茶店でインタビューに応えてくださった角谷プロ。aikoについて語るときは満面の笑顔で、そして対局の話のときはいつもより真剣な表情で。
 実は角谷プロは雀王を獲得した後、1度A2リーグへの降級を喫している。1年でA1リーグに再度昇級、そして迎えた、再びのピンチ。大きなマイナスを背負いながらも、明日の早朝にはひとり新幹線に乗り込み、戦いの舞台にいざ向かっていくのであろう。
 「原稿いつできるん?待ってるで」すっかり日が暮れた梅田の雑踏の中に消えてゆく角谷プロの背中を見つめながら、私は思った。ひとりの協会員として、ひとりの麻雀ファンとして、そしてひとりの生徒として、「角谷先生」が最も高い舞台で戦う姿を、もっともっと見たいと。

取材・執筆:橋本るみ

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