第4回fuzzカップ観戦記ベスト8A
【担当記者:今田孝志】
1年に及ぶ長い戦いもいよいよ最終盤。
ベスト8に残った顔ぶれは、実績・経験豊富な浅井、渋川、市井、小川、二見と、比較的プロ歴の浅い田口、みあ、石井という構図になっている。
ベスト8A卓は元雀王浅井と渋川に、田口とみあが挑む。
順当か波乱か。決勝進出者2名が決まる。
1回戦(浅井-田口-みあ-渋川)
親の浅井がみあから3900、1500は1800とアガって連荘。
東1局2本場には、またしてもみあから18000は18600を出アガリ。
みあは3連続放銃となり、早くも箱下に沈む。
東4局1本場。渋川の手牌。
浅井と田口に仕掛けが入っていて、六萬は自身で捨てていてフリテン。
渋川の選択は打1索。
⑧ピンを引いてテンパイすると、ノータイムでフリテンリーチを敢行。
これを一発でツモアガる。
南3局には決定打となるハネマンが出て、1回戦は渋川が大トップ。
2回戦(渋川-田口-みあ‐浅井)
1回戦で大きなラスを引いたため、大トップがほしいみあ。
大逆転への細い糸を手繰ろうとした懸命な仕掛けを紹介したいと思う。
南1局。ドラ三萬。
場風の南をポンするとして、ドラ三萬がもう1枚あればマンガンになる。そこで一萬二萬三萬、赤五萬の形から、四萬をカンチャンでチー。ペン三萬の形を残して強引にマンガンを作りにいく。
南3局。
下家の浅井が南をポンしてマンズのホンイツ模様。
落としたら終わりの最後の親番で、みあはここから打⑧ピン。⑨ピンが4枚見えていることと、浅井にマンズを鳴かせてしまっては間に合わないとの判断か。
六萬をポン。八萬もポン。さらにここから3索をチー。
シャンテン数の変わらない強引な仕掛けだが、受け入れ枚数が増え、マンズを切らずにテンパイを目指し、他家に圧をかける効果を狙った仕掛けであろう。このあと一萬を引いてテンパイを取りきることに成功する。
みあは1回戦でリーチ負けなどで失点が嵩み、2回戦は非常に苦しい条件を背負っての戦いとなる。
ベスト16まではすべて1回戦でトップを取って有利に2回戦を戦ったが、この試合では苦しい中で最後まで諦めない粘り強い麻雀を見せてくれた。だが挽回には至らず、ベスト8で敗退となる。
1回戦3着の田口は、2回戦トップなら決勝進出。
スターとして数々の大舞台に立ってきたが、麻雀ではまだ華々しい活躍には至っていない。その胸中を想像することは簡単ではないが、初めてのタイトル戦決勝が目前となり、当然期するものはあるだろう。
ともかくこの1戦でトップを取れば決勝である。
小刻みな点棒の動きで迎えた南2局1本場。
田口は4索と西のシャンポン待ちでリーチ。
直前に浅井から暗槓が入り、新ドラ三萬が乗ったところ。
カンがなければ打点を求めて、ドラ待ちカン3索に受けたかもしれない。
新ドラが乗り、裏ドラも期待できることでアガリやすさ優先でシャンポン待ちを選択。狙い通り西でツモアガリ。裏は乗らなかったが、2000オールは2100オールでリードを拡げる。
続く南2局2本場は先制リーチから、4000オールは4200オール。
浅井がイーシャンテンからドラの中を切って勝負し、みあがそのドラをポンしてテンパイしていたが、田口が引き勝った。
この時点で田口の点棒は50000点を超え、他3人は10000点台。かなり優勢だが、浅井もみあもまだ親番を残している。
南2局3本場は浅井が2000-4000は2300-4300のツモアガリで追撃。
田口は残り2局を流せば勝ちだが、逃げる苦しさ、プレッシャーを感じたのではないか。
南3局。浅井が南ポン、七萬ポンと仕掛けてマンズのホンイツ模様。七萬の加槓も入り、すでにマンズが余っている。
田口はこのテンパイから二萬を勝負。
二萬を引いた時点では⑤ピン⑥ピンを落として回ったが、テンパイならと、ここで勝負。
次巡の田口のツモは生牌の白。
前巡二萬を行った以上、ここも行くかとも思われたが、ここでは冷静に打8索としてテンパイを崩す。白は数巡前まで渋川のマンガンの当たり牌だった。(この時点では渋川は危険牌を掴んでテンパイを崩している)
南3局2本場。後のないみあが粘って連荘が続く。
流したい田口は親の第一打の自風の北をポン。
みあの暗槓が入る中、次巡には8索を食い伸ばしのチー。残った形は苦しい。
上家の渋川の援護が期待できるとはいえ、親のみあが絶対降りない状況。かなり怖い仕掛けだが、田口はリスクを背負って前に出る。
そしてみあからの親リーチがやっぱりくる。
それでも田口は怯まず3索をチー。だがまだノーテン。
あと2回アガれば決勝進出。悲願のタイトルに手がかかる。だがこれは前掛かり過ぎか。親リーチに放銃すれば、喜ぶのは浅井。
しかしここから田口が粘る。ペン三萬待ちテンパイが入るが、無筋の7索を掴んでテンパイを崩す。再び6-9索待ちでテンパイするが、今度は六萬を止めてまたテンパイを崩す。
この六萬がみあのアガリ牌だった。
みあが九萬をツモって1300オールは1500オール。
田口は局消化はならなかったが、ここを凌ぐ。
しかし楽に勝たせてはもらえない。
南3局3本場は、当面のライバル浅井がみあから12000は12900を出アガリ。
オーラスを迎えて両者の差は16300点。4000オール一撃でほぼ追いつかれるところまで迫られた。
田口の心中はいかなるものか。
タイトルを獲り、麻雀でもスポットライトの当たるところに駆け上がりたい。
あと一歩のところまで漕ぎつけた。
だが前雀王、逆襲のヘラクレスがすぐ後に迫っている。
恐怖や不安に襲われても致し方ないところである。
しかし田口は最後まで攻めの姿勢を貫く。
南4局。渋川の第一打の八萬をポン。
まっすぐホンイツに向かった。
渋川が絶妙なタイミングで援護の牌を下ろしていく。
五萬チー、白ポン、七萬チーと、田口はなりふり構わず仕掛けていく。
リスクは承知。ギリギリまで踏み込んでこそ、ブチ破れるものがある。
必死の裸単騎發待ちに、渋川が差し込んで決着。
1回戦トップから盤石の試合運びで完勝した渋川と、最後まで攻め抜いて勝利をつかみ取った田口が決勝進出を決めた。
最後に。
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