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Special Thanks to Phastos

『Eternals』鑑賞。


土曜日のレイトショー。
予定通り、2回目を観に行ってきた。
もちろん『Eternals』パーカーを着て。
MARVEL実写映画では初めて映画館で2回目を観る。
作品の全体像やストーリーの一貫性よりは、個々の魅力が無限に溢れ出してくる感じがいい。
減点方式ではなく加点方式で評価されるタイプだね、きっと。

2回目もめちゃくちゃおもしろかった。
とにかく情報量が多い作品なので、細かい部分をじっくり楽しめた。
エンドクレジット中、「3回目観たいな」なんて考えていた(笑)

映画が終わりシアター内が明るくなると、どこかで見たことある顔が。
MARVELさん(MARVELのガチファンの方)だ。
映画ファン仲間と映画館で偶然会える幸せ……!!
感想を語り合いながら……というか、MARVEL映画のプロに解説をしていただきながら、しばらく一緒に映画の余韻に浸っていた。

(言うなら今だぞ……)

外は冷え込んでいるのに、映画鑑賞後特有の高揚感も相まって、体が火照っていた。

(カムアウトするなら今だぞ……)

MARVELの映画に、初めてQueerのヒーロー・Phastosが登場する。
こんなメジャーなエンタメ作品で、同性愛者のキャラクターが脇役ではなくヒーローとして活躍している。
マイノリティがいつか夢見た、あるいは、夢見ることすら許されなかった世界が、今、目の前に広がっている。

(大丈夫、Phastosが付いている……)

「あの、一つお伝えしておきたいことがあって」

カムアウトした。
「自分はQueerです」と言いながら「自分もQueerです」と言っている感覚だった。
いくら仲良しだと言っても、最近は全然会っていなかったし、チャットでもほとんどアメコミ映画の話しかしてこなかったので、緊張した。
そして何より、もし相手にLGBTQ+への嫌悪感があったなら、自分は数少ない親友を失うことになる。
それを覚悟の上で勇気を出せたのは、MARVELの、Eternalsの、Phastosのおかげだ。
仮に上手くいかなかったら、「あなたはこれから大好きなMARVEL映画を観れなくなりますが、たとえ観れたとしても心の底から楽しめなくなりますが、それでもいいんですか!?」くらいの気持ちで乗り越えようと思っていた(笑)
さて結果は……

!!!!!!!
(言葉にならない衝撃)

信じられないことに、上手くいったのだ。
ジェンダー・マイノリティにとって、カムアウトという行為は火の中に飛び込むようなもので、傷なしでは帰ってこれないというか、(誤解を恐れずに言えば)自分のようにバカでないとできないというか。
それなのに今……

感動されている!!!???

やっと自分をさらけ出せるようになった気がして嬉しい、というようなメッセージをもらって、かえって戸惑ってしまう。
「そうなんだ〜」くらいは予想していたけど、まさか「ありがとう」と言ってもらえるとは。

生きていると、たまに、映画以上にすごいことが起きたりする。
差別や偏見は容赦なく降りかかってくるど、その先にある小さな小さな虹を見逃したくはない。

カムアウト後、お互いに会話が白熱し、Phastosのどのシーンがどう良かったかとか、今度会った時はこんな話をしようとか、止まらなかった。
自分と同じように、映画に勇気をもらった人が世界中にいるのだろう。
『Eternals』本編で「真実は彼らを自由にする」というセリフがあったけど、確かに今夜、僕らも解放されたんだ。



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