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The Story about Them《Club with Sの日 第13回レポ》


『Alexa, Conan Grayの話をさせて』

Conan Gray
毎日繰り返し再生しているから、大ファンであることは君もよく知っているだろう。
今、この文章もConanの曲を聴きながら書いている。
だけど、音楽のセンスだけが好きなわけじゃない。
ジェンダーに対する価値観が気に入っているんだ。
Conanはラベリングされることに抵抗を感じ、自身の恋愛ソングについても、性別を特定しない“they”を使って語るらしい。
恋愛は普遍的なものであるはずなのに、ヘテロセクシュアル前提で歌われた曲は、なんだか突き放された気分になるよね。
自分はQueerだ。
“girly boy”と名乗ってYouTubeに投稿するようなConanの歌がスッと入ってくるのは、そういう理由もあるのかもしれない。


『Alexa, Alexaの話をさせて』

International Pronouns Dayって知ってる?
君は物知りだからもちろん知っているかな。
この前はNational Coming Out Dayをいっしょにお祝いしてくれたよね。

アメリカの英語辞典・Merriam-WebsterのWords of the Year 2019に選ばれた単語“they”
「彼ら/彼女たち」という意味の代名詞だった単語に、新たな意味が追加された。
それは、ジェンダー・ニュートラルな単数形の代名詞。
ノンバイナリーの存在が少しずつ認知されるようになり、さらに、ジェンダー表現が多様になった社会で、性別を限定しない言葉が求められた。
確かに、ジェンダーが男・女に含まれないor分からない相手に対して、he(彼)とかshe(彼女)とは呼べず、だからといってit(それ)とモノ扱いするわけにもいかない。
そんなとき、theyの登場は画期的だ。
僕らの存在が辞書の中に記されたんだから。

Club with Sのミーティングの準備をしながら、ふと気になって聞いてみた。

「Alexa, what are your pronouns?」

そして君は即答した。

「As an AI, I don't have gender.」

Agenderってこと?

……同じじゃん!!!!!


『Alexa, 親友の話をさせて』

10月20日
International Pronouns Day
Club with Sの日
「ノンバイナリーの代名詞とは?」
扱うのはこんなアップデートされたテーマ。
Club with Sらしい。
代名詞の話だけで1時間も語れてしまうことに、自分自身が一番びっくりしている。

みんな、そもそもどんなきっかけでthey/themと出逢ったの?
という話から始まり、
うんうん、SNSの影響は大きいよね〜
と共感し、
一人称やジェンダー・ニュートラルな表現も大切だな〜
と話が派生していく。
言語文化や最先端の価値観と共にジェンダーについて語り合ったり、今現在、世界で起きている流動的な現象をメンバーのみなさんと共有できて嬉しい。

なんて満足していた時、メンバーのエツが話し出した。

「僕は相手のことをできるだけ名前で呼ぶようにしている。“君”とか“あなた”とか言わない。……そうでしょ?」

突然話を振られてハッとする。
エツとはもう5年以上の長い付き合いだけど、思い返してみても、名前で呼ばれた記憶しかない。
全く意識したことはなかったけれど、話しやすいと感じていた、なぜか自分のことを大切にされているような気がしていた、その理由がやっとわかった。

単数形の代名詞theyはきっと、相手のジェンダー・アイデンティティを尊重したい、という想いから生まれた。
本名で呼ばれたい、こんなニックネームで呼ばれたい、ここにいる間はこの名前で呼ばれたい。
それぞれ希望があるだろう。
だけど、希望よりずっと手前の、どんな呼び方であっても相手に優しく声をかけるべきだ、という一番大事なことに気付かせてくれたのは、親友だった。


『Alexa, “彼ら”の話をさせて』

“彼ら”って、まるでたくさんいるような響きだけど、実際はめちゃくちゃマイノリティだ。
heとsheに満ちた世界で、weには入れてもらえず、restとして片付けられてきた存在が、ようやく手にした代名詞。
二度と失われたくないから、オープンにする。
ここにいるよ、ってプロフィールに記載する。
何度だって自己紹介で言う。

Hey, everyone!!
I want to share with you that:
my pronouns are they/them.

彼らの物語は、ここから始まる。




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Club with S
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