都会とローカルが同居する名古屋のムーブメントを残すために―『Touch & Go』NEISHI Bros. インタビュー
Nu Disco、Houseのパーティー『Touch & Go』が、2019年8月24日に名古屋のclub JB'Sにて開催される。今回は3月27日に発売されたYOSA & TAAR初となるアルバム『Modern Disco Tours』のリリースパーティーを兼ねることとなった。
そこで『Touch & Go』主催のNEISHIと、彼の弟であり共に「NEISHI Bros.」としても活動するMarbieのふたりにインタビューを実施。ふたりの音楽ルーツ、主催パーティー、東京でのパーティー『MODERN DISCO』のことなど、『Touch & Go』のパーティーフォトを撮影しているShotaro Shigaが聞いた。
取材・写真:Shotaro Shiga/編集:koharu
洋楽ロックを経てクラブへ足を踏み入れる
―自己紹介をお願いします。
NEISHI:名古屋で『Touch & Go』というイベントを主催しているNEISHIです。今年で27歳、Nu DiscoやHouseのDJを主に名古屋でやっています。ちなみに既婚で8月に第一子が生まれます! よろしくお願いします。
Marbie:Marbieです。愛知県出身で、主に名古屋の栄でDJをしています。NEISHIの弟で、NEISHI Bros. の片割れです。
―学生時代はどんな音楽を聴いて過ごした?
NEISHI:一番聴いていたのは新旧問わずUKロックで、The Stone Roses、KASABIAN、The Kinks、The Beatls、Blur、Arctic Monkeysあたりです。20歳前後のときにはモッズを気取ったりもしていました(笑)。とにかく英国が大好きな人って感じですね。ずっとFred Perryを着ていました……。
もちろんUKロック以外にもUSインディーなんかも聴いていたし、今への影響で考えるとフランスのDaft Punk、Phoenix、Justice、Tahiti 80を聴いていたのも大きいと思います。
Marbie:僕も洋楽ロックばかり聴いていました。主にBeatlesをはじめとする60'sやブリットポップ、2000年以降のガレージロックリバイバルバンドなどです。
―クラブで遊び始めたきっかけのイベントは?
NEISHI:一番最初に行ったイベントは名古屋の『BIRTH』という洋楽ロックイベントで、その日は確かArctic Monkeys & Franz Ferdinand特集という企画でした。どこかで情報を仕入れて、全く知らない場所に足を踏み入れた感覚です。とにかくワクワクで楽しかったのを覚えています! そこからいろいろなイベントに行くようになり友達が増えて、今に至っています。
Marbie:初めての夜遊びは『DANCE CRAZE!』というモッズのイベントでした。その後『OASIS NIGHT』というOASISを中心としたロックを流すイベントに通いだし、その流れで『Beat Fountains』というポップミュージックのパーティーを知り、夜遊びにどハマりしました。
いろいろな音楽に触れ、そこで出会った仲間たちと自分たち色のパーティーがやりたいと思い始めました。
名古屋のクラブシーンと『Touch & Go』
―『Touch & Go』をやろうと思った理由は?
NEISHI:名古屋のNu Discoパーティ『Pacific』のオーガナイザーSHOGOさんの上京です。2017年11月18日のSHOGOさん上京前ラスト『Pacific』があまりにも楽しすぎて、「このムーブメントをここで終わらせるのではなく、次の世代に繋げていかなきゃ絶対にダメだ」という危機感が生まれました。そのパーティ終演後すぐに主催することを決め、2018年3月31日に第1回『Touch & Go』を開催しました。このときのゲストがTOKYO HEALTH CLUBとYOSAさんでした。
―『Touch & Go』というイベント名に込められた思いは? どんな場にしたい?
NEISHI:意味はこれ! と大きな声で言えるようなものではないですが、Ecstasy, Passion & Painの“Touch and Go”という曲から取っています。Touch & Goには危なっかしい、危機一髪といった意味があって、最高のムーブメントの終焉に対する危機感からこの名前を選びました。
―イベントに呼ぶローカルDJは若手が多いけど、どんな人に声をかけている?
NEISHI:楽しくDJをして楽しく遊んでくれるような人たちに声を掛けたいなって思いますね。「楽しくDJをやってめちゃくちゃ音楽が好き!」、それだけでいいと思います。
名古屋でたくさんの若い人がDJを始めている現状は良い流れになっていますね! 『Touch & Go』でDJをしたり遊びに来たりしてくれている若い人たちが『Le Freak』っていうHouseのパーティーを始めていたり、そういう動きがあります。
―お客さんに求めることみたいなのはそんなにないと思うけど、あえて言うとすれば?
NEISHI:あえて言うとすれば「休みながら飲みすぎに気をつけて楽しんでください」って事くらいですね(笑)。「こうあるべき」という決まりはないので、みんなが自由にやっていけたら良いと思っています。
Marbie:とにかくその空間を楽しんでほしい。朝まで踊り倒してほしいです。
―名古屋という土地にどんな印象を抱いていますか? 個人的にはほどよい都会感とローカル感が同居している印象があるのだけど、地元の人から見てそれはどうなのかなと。
NEISHI:これは他の地方都市の方も同じように言うと思いますが、とにかく界隈が狭いです。あたたかい人が多くて最高なのですが、上手くバランスを取らないとすぐに内輪に走ってしまう傾向もあるのでそのあたりは難しいです。でも個人的にはパーティーをやるうえで内輪ノリを大事にしていて、いかにそのノリを外に向けるかというところを常に考えています。
ほどよい都会感とローカル感についてはまさにその通りだなと思います。名古屋は楽しいのでみなさんにも是非来ていただきたいです(笑)。
Marbie:上手く言葉にできないんですが、名古屋は東京や大阪とはまた違う独自の文化があると思います。どちらも遠くはないけど絶妙な距離があるので、なんというか吹き溜まりというか。良い意味で。「東京、大阪に負けじと自分たちで楽しいことをやってやろう」っていう雰囲気を感じます。こじんまりとしていてアットホームな感じも個人的には居心地が良いです。
『MODERN DISCO』を名古屋のフィルターに通して
―今回のリリパを名古屋でやることになった経緯は?
NEISHI:最初にリリパをやろうとYOSA & TAARと3人で決めたのが2018年3月31日の『Touch & Go』後、4月7日に静岡で開催された『OMAKE NIGHT 2』のときでした。おふたりがアルバム作るとラジオで言っていたのを聞いて「こりゃ名古屋でやるしかないな」と、こちらから打診しました。そのときは「やろうぜやろうぜー」ってノリでしたね! ちゃんと実現できてよかったです。
―YOSA & TAARは『MODERN DISCO』のレジデントでもあり、それに行くために名古屋から東京まで度々遠征してたよね。そんな遠くから行くほどのパーティーにある楽しさとは?
NEISHI:『MODERN DISCO』のようなパーティーって名古屋には全くと言って良いくらいないので、東京まで行くという選択肢しかなかったことが大きいですね。とにかくハッピーなパーティーで、初めて遊びに行ったときには『Pacific』と同じくらいの衝撃がありました。「こんなパーティーやりたい!」って目標です!
―YOSA & TAARのリリパを名古屋でやる意味について、思いがあれば聞かせてください。
NEISHI:多分みなさん生きていて名古屋に来ることってなかなかないじゃないですか。まだ見ぬ名古屋のクラブに県外からお客さんが遊びに来てくれる。それだけで『Touch & Go』をやる意味があると思います。『Touch & Go』の過去の出演者と『Modern Disco Tours』の客演アーティストが奇跡的にかなりの割合で被っているところも『Touch & Go』でリリパをやる意味になるのかもしれません。「このメンバーを集めて盛大にやりたい」って思いで必死に頑張りました。
Marbie:SHOGOさんがもともと名古屋で『MODERN DISCO』を布教していて、その影響もあってか名古屋の人たちは音楽的にもパーティーとしても『MODERN DISCO』を好きな人が多くて。僕らもその影響をバチバチに受けて今に至るんです。『MODERN DISCO』に遊びに行くと、名古屋の人たちのバイブスをすごく感じます。これもしょーごさんの影響が大きいと思うのですが(笑)。
そんな名古屋でおふたりのリリースパーティーをすることで、県外から遊びに来てれる方々を巻き込んで大きなうねりが起こると思います。それが見てみたい。県外から来られる方々には名古屋の街や人を知ってもらえるチャンスだとも思っています。名古屋の人たちにとってはある意味おふたりの凱旋パーティーのように感じるはずです(笑)。
―『MODERN DISCO』に遠征していた自分たちが、今回は東京や大阪から遠征してもらう立場になってオーガナイズするわけだけども、そこまでして来てもらう価値って?
Marbie:これまで自分たちが『MODERN DISCO』に遊びに行って感じた興奮や衝撃を僕たちのフィルターを通した形で表現できるので、また違った何かが生まれる気がしています。それが来てくれた方々にとって新たな興奮や衝撃になれば最高ですね。
―最後に、リリパ後のイベントの展望を聞かせてほしいです。
NEISHI:まだまだ『Touch & Go』でご一緒したい方がたくさんいるので、タイミングが合えばいろいろなことをどんどんやっていきたいです。まだまだ先になるとは思いますが、ローカルDJだけの『Touch & Go』を土曜日のJB'Sで開催するというのもひとつの目標ですね。これからもみんなで楽しく頑張っていきます!
YOSA & TAARより、リリースパーティーに寄せて
YOSAコメント
NEISHIが主催する『Touch & Go』の初回に呼んでもらって、そのときに「こんなに良いパーティを作れる子が名古屋にいたんだ!」とすごく感動した思い出があります。それ以来、瞬く間に名古屋で今一番勢いのあるDJ、オーガナイザー、なんて評判をそこかしこで聞くようになって、弟のMarbieとのDJユニットもスタートしたり、今後の名古屋のシーンを引っ張っていく存在になるんだろうなと確信しています。
そんな彼らにオーガナイズしてもらって開催される、僕らYOSA & TAARの『"Modern Disco Tours" Release Party』 in 名古屋。東京でも大阪でもなく、唯一名古屋だけで開催されるリリパです。これを開催実現まで持っていけたという時点で、NEISHIのオーガナイザーとしての手腕が垣間見れるところだと思います。本当にすごい。
ここまでお膳立てしてもらったら、あとは僕らが最高のパフォーマンスを見せるしかないですよね。気合い入ってます。伝説の夜にしましょう!
TAARコメント
多分、YOSAが良い感じのコメント寄せてくれていると思うので、僕は個人的に思っていることを。
『MODERN DISCO』を続けてよかったと思えたことが大きくふたつ、僕らが好きな海外のアーティストを呼び続けた結果、国内盤のリリースに至ったレーベル/アーティストが出てきたこと。もうひとつが東京のイベントって枠を超えて『MODERN DISCO』リスナーの中から賛同し、Neishi Bros. を筆頭に自分たちのローカルに発信してゆくプレイヤーが全国から出てきてくれたこと。
それってつまりは、僕らも彼らも想いは一緒だし、YOSA & TAARは主役じゃない。いつも来てくれる大勢のみんな、興味を持ってこれから来てくれる誰か、家で聴いているだけのアイツも含めて一人一人が主役。そう思える夜をこれからも続けていこうな。
ネイシブラザーズ!! 弟も何かと大変だよな!
本日、7月16日(火)にblock.fmで放送されたラジオ「MODERN DISCO RADIO」で今回のパーティー情報が解禁された。出演アーティストにはアルバム『Modern Disco Tours』の客演からSIRUP、踊Foot Works、向井太一、TARO(from Attractions)が名を連ねる。彼らの語る「名古屋のバイブス」があるからこそ、これだけの豪華アーティストを迎えるパーティーが作れるのだろう。
県外からも注目されるパーティーとなっている『Touch & Go』やNEISHI Bros. の活動を追うと、必ずしも東京のパーティーだけが優れているわけではないことを知ることができる。チケットは現在販売中。取り置き、当日券の販売は予定されていない。今回の『Touch & Go』を機に、名古屋のクラブシーンを覗いてみてほしい。
『Touch & Go "Modern Disco Tours" Release Party』
『Touch & Go "Modern Disco Tours" Release Party』2019年8月24日(土)21:00-morning
@ club JB'S(愛知県名古屋市中区栄4-3-15 丸美観光ビルB1F)
前売り ¥4,000+1drink ¥500
■ SPECIAL RELEASE GUEST
YOSA & TAAR
■ GUEST LIVE
SIRUP
Shin Sakiura
踊Foot Works(Minimal Live Set)
向井太一
■ GUEST DJ
TARO(from Attractions)
■ DJ
Marbie
SHOGO
NEISHI
■ VJ
massy
kezjo
■ PHOTO
Shotaro Shiga
yuki shibata
■ FOOD
YANGGAO
チケット購入フォーム:https://goo.gl/forms/hWVaAr9u9Fu3wK7i1
詳細:https://touchandgo-ngy.hatenablog.com/
Mail:touchandgo.ngy@gmail.com
Twitter/Instagram
YOSA & TAAR『Modern Disco Tours』
YOSA & TAAR『Modern Disco Tours』2019年3月27日(水)発売
01. Take Off
02. Red ft. eill
03. Slave of Love feat. 向井太一 & MINMI
04. Perfect Fire feat. Taro from Attractions
05. Work in Lorsch
06. Dance in Casbah
07. Under Water City
08. Rain Down ft. SNEEEZE
09. Fever feat. SIRUP
10. HIKARI feat. 踊Foot Works
11. Transit
NEISHI Bros.
NEISHI
名古屋のNu Discoパーティー「Touch & Go」主催。Nu Disco,Houseを中心にDJをしています。弟のMarbieとのDJユニット「NEISHI Bros.」としても活動中。
Marbie
2016年名古屋にてDJ活動をスタート。実の兄であるNEISHIが主催するパーティー「Touch&Go」や名古屋栄のclub JB'Sにて定期開催Houseパーティー「CURE」等のレギュラーDJを務める。
NEISHIとのユニット「NEISHI Bros.」としても活動中。
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