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阪哲朗指揮関西フィルによるベートーベン「ミサソレムニス」inシンフォニーホール

ミサ曲は通常〈キリエ〉、〈グローリア〉、〈クレド〉、〈サンクトゥス〉、〈アニュス・デイ〉の5つの部分から成っています。ミサ曲は色んな作曲家の作品を鑑賞して「宗教曲」という制約の中で各々の作曲家がどんなオリジナルな工夫を作曲に施したのかを比較するのが好きです。ミサ曲は<クレド信条>が一番長くて大切な歌詞だと思うのですが、輝かしい響きがする〈グローリア〉と〈サンクトゥス〉を私は特に好んで聴いています。

 ベートーヴェンの〈グローリア〉も例にもれず導入から輝かしく明るい響きがしますが、「憐れんでください miserere」の歌詞が流麗に繰り返し歌われているのが印象的でした。ベートーヴェンはこの句を入念に扱っているようで、重唱と合唱にまず「ああ」(ah, miserere)を、次いで重唱に「おお」(o!, miserere)を付してテキストにない間投詞を導入し歌わせています。

 また、〈グローリア〉の「アーメン(Amen)」は力強いフーガで繰り返し歌われ強調されているのですが、〈クレド〉のアーメンは同じフーガにもかかわらずどことなく流麗な響きがしました。指揮者の方が演奏の仕方を変えたのかなと気になりました。

〈サンクトゥス〉は輝かしさというよりは、ヴァイオリンとフルートのソロがあり牧歌的で包み込むような温かい響きがしました。

ミサソレムニスは、バッハの宗教曲、パレストリーナのルネサンス宗教曲、そしてベートーヴェン自身の交響曲のような力強い響きなど色々な音が混在しているように感じ、何度も反芻してもうすこし深く考えてみたいと思いました。

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