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【47】 再会は"始まりと同じシチュエーション"で

このお話はセフレだった男女が
結婚するまでの1000日間

赤裸々に綴った超絶ドロゲス
ノンフィクションエッセイです

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前回までのあらすじ

アラサーにしてセフレの"イケチン"に沼った私は、どうにかこうにか交際まで漕ぎ着けるも、度重なる彼の不誠実な言動に嫌気が差し、自ら別れを選ぶ。するとその1ヶ月半後、条件最高で性格のいいハイスペくんと出会ったことで、運命の歯車が回り出す。
しかし彼のあまりにも残念なセックスに交際を躊躇し、迷いながらデートを重ねていたある日、元カレのイケチンから「彼女ができた」という報告が。その結果、自分の中の未練に気付き、ハイスペくんからの告白を断るのだった。



<519日目> 滲んだ夜道

路地裏の神社で泣きながら祈り倒した私は、帰り道の途中で小道を曲がり、自宅とは違う方向へ向かった。

3ヶ月前に何度も通った道。
そこはイケチンのマンションへ続く通りだった。

私は自分の淋しさを埋めるために、彼と歩んだ軌跡を脳裏に浮かべながら、雨の夜道を歩いていた。

連絡手段はない。
こんな夜道で簡単に出会えるはずもない。
彼女がいるから部屋に突撃するわけにもいかない。
そんなことしたって復縁できるはずもない。

これだけ関係がこじれた後で、またやり直す方法なんてあるわけないよ…

そう思いながら、彼のマンションを下からじっと眺めていた。


すると次第に雨足が強くなってきたので、私は雨宿りがてら近くのビルの1階の駐車場に入り、そのタイヤ留めに腰掛けた。

これからどうしたらいいんだろう。
彼が目の前を通るまで、ここで何時間でも待てばいいのか。
でもそんなの完全にストーカーだよな…

そんなことを考えながら、1人ボーッと夜道を眺めていると、突然あることに気が付いた。

あれ、そういえば、LINEとインスタとTwitterはブロックされてるけど、電話番号ってどうなんだっけ。

使ったことはほとんど無かったけど、お互い登録はしていたし、もしかしたら残ってるんじゃ…


電話帳を開いて、イケチンの番号を表示する。

これで掛けてみて繋がらなかったらもう諦める。
いくら未練があるとはいえ、こんな惨めで淋しい行動、もうこれ以上取りたくないし…

最後の賭けだと思って、震える指で通話ボタンを押した。





イケチン「もしもし」

1コール目で出たんじゃないかと思う。

繋がるかどうかも分からない状態で掛けたのに、彼は秒で電話に出た。

震える声を悟られないように、私はゆっくり話し始める。

私「あ…もしもし…急にごめん」

イケチン「いいよ。何かあった?

私「いや、別に…なんか電話番号だけ残ってたから、これはブロックされてるのかなって気になって…」

イケチン「いや、何かあったんでしょ。この状況でこしきちゃんが突然電話してくるなんて、普通じゃないし」

そうだった、彼はこういう人だった。

私が持ってる感情に、私より先に気付く人だった。

こういうところが大好きだったんだ。


私はその日、新年会があったこと、ものすごく楽しかったこと、でもみんな翌日が仕事で22時に解散したこと、その状況に「自分だけが浮世離れしている」と感じてなんだか切なくなったこと、バーに行っても臨時休業で世の中のすべての人から見放されたような感覚になったこと…

そんな話を半分泣きながら電話口で彼に話して聞かせた。

イケチンはうんうんと話を聴いてくれて、時折「俺もそんなときあるよ」と慰めのことばをかけてくれた。

あぁ、これ、私たちの始まりと同じシチュエーションだ。

あのとき私は彼に電話で1時間も愚痴を聞いてもらって、そのあと雨の中 会いに行ったんだったっけ…


1年半前と同じことをやっている


イケチン「少しは落ち着いた?で、今どこにいるの

今回は30分ほど愚痴を聞いてもらった段階で、彼のほうから私の居場所を訊いてきた。

私はイケチンのマンションの真横のビルで雨宿りをしていたから、こんな場所にいるなんて言ったらドン引きされるな…と咄嗟に思い、「なんか雨が降ってきたから屋根がある場所に入ってる」とだけ伝えた。

イケチン「屋根がある場所って、どこ?傘が無いなら持って行こうか?」

私「大丈夫だよ、家の近くだし」

イケチン「あなたの家の近くってことは、俺の家からも近いでしょ」

私「うん、まぁ…いま目の前に〇〇ビルってやつが見えるけど…」

イケチン「は?それ俺のマンションの目の前じゃん

こうしてばっちりストーカー状態であることがバレた私は、「え…あれ、そうだっけ…あなたのマンションこのへんか…」などと無駄な独り言を入れて誤魔化そうとしてみたけど、おそらく彼はそれですべてを察したんだと思う。

イケチン「雨宿りするだけなら、もうそのままうちに入ってきなよ。電話代もハンパないだろうし、直接話そう」

私「あ、そっか忘れてた…もう40分も電話してるから多分2千円くらいいってる」

イケチン「帰りに傘も貸すからさ、ピンポン押して

そうして私はついにイケチンの部屋に入ることになる。

別れて3ヶ月半の出来事だった。

これにより、私は自分でも気付かぬうちに、"とんでもないスピードで上下するジェットコースター"に1年間乗車することになってしまう。


次回、未練たらたらの元カレの部屋からスタート


この連載は、私が夫と出会ってから夫婦になるまでの1000日間を綴ったドロゲス生モノ婚活エッセイです。

あまりに生々しい内容のため、公開して3日が過ぎた記事はメンバーシップに格納するので、最後まで無料で読みたい人は記事が公開されて3日以内に読むようにしてね!(このスタイルも近日中に変わる可能性あり…!)

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-【48】へつづく -

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