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クラウン*ベスのアメリカ体験記 vol.17

地上最大のショウ、リングリングサーカスに到着!
エリザベスが綴ります。


私にとってのリングリングサーカスの初場所の公演会場は、ワシントンDCのダウンタウンにあるMCIセンター(現在はCapital One Arena)です。
アメリカの首都であるワシントンDCはアメリカ大統領が住むホワイトハウスをはじめ、アメリカ合衆国議会議事堂、リンカーン記念堂、ワシントン記念塔、ナショナルモールと呼ばれる広々とした国立公園など観光名所がいっぱい。MCIセンターの近くにはよく知られたスミソニアン国立自然史博物館、政府関係の建物、綺麗に管理されている公園の数々、ビジネス関係のビル、チャイナタウンなど、ダウンタウンをドライブしているだけで観光客気分になれるエキサイティングな都市です。
そしていよいよMCIセンターに駐車。早速クラウンのリーダー、デビッドに電話し搬入用の出入り口で待ち合わせをしました。私達はグロックとルーシーと共に入り口で待っていると小柄なデビッドがやってきて私達に自己紹介をしました。
「ボスクラウン(Boss Clown)のデビッドです。よろしく。さっそくクラウンアレイ(Clown Alley)に行きましょう。」

この時私達が入団したブルーユニットのクラウンの人数は16名。私とスティーブが加わって18名になります。男子13名、女子5名。Clown Alley とは、クラウン達がたむろしている路地裏、という意味。サーカスではクラウン達全員の総称、もしくはクラウンの楽屋のことです。サーカスのバックステージではキャストの楽屋は通常簡単に組み立てが聞くメタルのポールとスタンドで作られたもので、カーテンで仕切られています。Clown Alleyも男女別々。デビッドはBoy Clownの楽屋の前に来て、「ノックノック」(ドアをノックする音)と呼びかけました。中から、「Come In!」と言う声が聞こえてきます。デビッドはカーテンを開けて中に入りみんなに私たちを紹介しました。「新しく入団することになったスティーブとエリザベスです。スティーブは1987年にリングリングサーカスのクラウンカレッジを卒業して1988年にはブルーユニットのクラウンとして演じた経験豊富なクラウンです。エリザベスは1990年に日本のリングリングサーカスの姉妹校クラウンカレッジジャパンを卒業したクラウンです。」皆一斉に私達の方を見て「Hi Steve! Hi Elizabeth!」と各自声をかけてくれました。私はみんなに簡単に手を振ってそれに答えました。

カーテンの中はまるでおとぎ話の映画の1シーンのような光景。13人のBoy Clown達の他何名かのGirl Clown達もいてジャンプスーツを着てお喋りをしているクラウンや、カラフルな柄のだぼだぼのショーツを履いてリラックスをしているクラウン、本を読んでいたりサンドイッチを食べているクラウン、中には床で昼寝をしているクラウンもいる〜。そしてみんな一人一人トランクを持っています。ここでいうトランクとはスチーマートランク(Steamer Trunk)のこと。元々はスチーマー(汽船、蒸気機関車)での旅行用に作られたもので、長旅のためにたくさんの荷物やスーツなども入るように大きなサイズになっています。日本ではアンティークショップなどで見られるのでしょうか。

リングリングサーカスのクラウンが使っているスタイルのスチーマートランク

このトランクにメイク道具、コスチューム、小道具などのクラウン必需品を収納しています。自分のトランクとパイプ椅子が各自のスペースです。日本でのクラウンの仕事で多数のクラウンと楽屋を共にしたことがありますが、クラウンの楽屋はいかにもショーのための準備場所という雰囲気。Clown Alleyに置かれている13個のトランクとパイプ椅子それぞれに、個性たっぷりのクラウン達が好き勝手に休憩時間を過ごしているシーンはまるでクラウンワールドのテーマパークのよう。ここで新しい生活が始まるなんて楽しそう〜!これが私のClown Alleyの第一印象でした。

私が描いた、この頃のClown Alley のスティーブと青いトランク。このトランクはリングリングサーカスが1年目のクラウン用に用意したトランクで横長の蓋を開けるスタイルのもの。


隣はGirl Clownの楽屋。デビッドに教わった通り私も「ノックノック」と呼びかけ「Come in!」と返事があったのでカーテンをくぐり中に入りました。Girl Clownのクリスティが自分のトランクの場所に座っていて、お互いに笑顔で挨拶をして握手をしました。そして彼女は「私は年長だからわからないことがあったらなんでも相談してね。それからあなたもこの部屋をシェアする一員になるわけだから、何か気になることや不都合なこととかあったらみんなに伝えてね、」と歓迎されました。そしてなんだか気持ちがホッとしてとっても嬉しかったのを覚えています。

私達が入団した時に一緒に演じたクラウン達。(サーカスのパンフレットより)

続く。。。



書いたのは、

エリザベス

1990年CCJ2期卒業生。7年間日本でクラウンパフォーマンス後渡米。アメリカ、カナダで10年間クラウニングを続行。その後10年間マクドナルドのクラウン、ロナルドのアシスタントを務める。現在アメリカ在住。


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