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「もぅいっか」

毎日毎日同じように呟いてしまう言葉だった。
別に何が嫌になった訳でもない。何でも無いのに毎日「もぅいっか」と呟いてしまう。
現状に満足しろよ、と言われているような感覚で。
ただ一通りの事が終わっただけで、なにも終わっただけでも無いのに。

自分自身に問いかける事ほど回答は無限大にあるものだ。
例えば好きな食べ物はと聞かれても「料理名」を指すのか「食材」を指すのか、はたまた「果物」「飲み物」「お菓子」なのか…
そんなループな自分に特に満足もしていないのだがカレーなどと答えただけで「もぅいっか」と思ってしまう。

満足しないのにある程度の答えで満足しているかのように思うとき、そんな時に「もぅいっか」と思う事のほうが毎日の大半を占めることが多いだろうかと何気なく考えてみた。

花に水をあげて「もぅいっか」
髪の毛を乾かして「もぅいっか」
ハンカチを忘れて「もぅいっか」
着ていく服が決まらない「もぅいっか」

なんてつまらない「もぅいっか」なんだろう。

満足しているかのように暗示をかけているんだろうか。
それともその後の結果を見越して「仕方がないか」と落胆する気持ちを少しでも軽くしているつもりなのでしょうか。

なのに「欲」に関して人間は「もぅいっか」とはいかない事もあるらしい。
食を満たせないと「満腹になるまで」と食べてしまうからダイエットをやりたがる。
眠れないとあくびをして「眠い」と気付く。
性欲を満たせないと「性犯罪」がおきる。
実に本能で生きている。
面白いじゃないか。

私達は実はギリギリの理性で「もぅいっか」という言葉を使っているんじゃないかとさえ、とりとめのない事さえ考え始めてしまった。
そんな事をふと考えて空を見た。
そしたらどうだろう、すごく澄んでいる青空で鳥の声が聞こえたではないか。
さて、この辺で執筆を終えようか。

もちろんお決まりのこの言葉で。

「もぅいっか」

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