戦争はアカン
「ひろ君なあ、馬がなあ、とーっと泣きよんねん。涙がとーっと出てきて泣きよんねん。分かるんやろなあ。明日、行かなあかんのやって分かるんやろなあ」
夏の夜、大好きだったおじいさんが布団に寝そべりながら教えてくれた話です。
じいさんはとても背が低かったんです。
だから兵隊として召集されてもまずは戦地に行かされるのでなく、軍馬の世話を担当させられたと言います。
毎日お世話をしていると、かわいくてかわいくて仕方なかったとも。
そしていよいよ戦地出征の馬はその前日に泣くと。
おっきい目ぇからトーッと涙をな、流すねんなあ。
仏様のように優しいおじいさんだったから、戦地に赴く馬たちの運命を悲しく不憫に思い、だから、その目に涙を見たのでしょう。
後日談。馬に優しいじいさんは馬に蹴られて骨折してしまい、邪魔だと家に帰されてそのまま終戦となったそうです。
空襲ですべての財産を焼かれ、本当の裸一環から生きていったそうです。
終戦記念日。
自分も50歳になりました。
残りの生涯を馬道邁進に努めようと決意しています。
戦争、冗談じゃないぞ、邪魔されてたまるものか。
心の奥底のその根っこで、叫びたかった人々があの頃もいたでしょう。
自分の未来に向かって進む子どもが、今日も、馬と共に汗を流していました。
戦争はアカン。
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