イツミ

あ、から始まり、んに終わるもの。 それはアイン。 本を書いて製本するのが趣味です。 僕の書いた文章は基本0円です。どうぞ使ってください。 小説。論考。言葉でできることならなんでも。

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あ、から始まり、んに終わるもの。 それはアイン。 本を書いて製本するのが趣味です。 僕の書いた文章は基本0円です。どうぞ使ってください。 小説。論考。言葉でできることならなんでも。

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小説 「夏の 朝の 庭の 」

 ―1954年、8月。…夏の盛り 夜。まだ空には星が見えるくらいの明け方近く…。 山のなかにある一軒家の広い庭を背広姿の少年と、それに続く紫陽花柄の地味な和服をきた女が歩いていた。 少年の年は十代後半で髪は短髪で颯爽としており、女の方の全体的な容姿は、三十路を少し過ぎたあたりの落ち着きのあるまとまりをしている。 「ほんとうにまあ、よくお越し下さいました。お坊っちゃま」 「十年ぶりだね。菊…」 「ええ。…おみ大きくなられまして…。あ、お持ちしますよ」 そう菊と呼ばれ

    • 小説「“雪女” /アゲハ蝶の雪 」

        第二章 そして雪の日、お前と出会った… ―そして雪の日、お前と出会った…。 菊太はかじかんだ手で木戸をあけた。 もう季節は年の暮れだ。 ふわりと雪混じりの北風が顔にあたる。 そして、ほのかな雪の香りがする。 家の外の庭先は一面の雪景色だった。 菊太は納屋から予備の火鉢を取るため外に出た。今日はあまりの雪のため猟は休みだ。 わらじを履いた足の半分が埋まり、冷たさが足裏から響く。 「寒…」 思わず誰もきいていないのに声を出す。 今日の夜は山菜とシシ肉の鍋にでもしよう…。

      • 人間は神秘の水のなかをただ漂う1本の葦だ。

        • ただで文を書きます。著作権は放棄です。0円で、あなたが読みたい物語、歌詞、セリフ、朗読台本、あるいは商業用の文章作成もします。もちろん、0円です。製本が必要な場合、製本して差し上げます。ご質問あればどうぞ。過去作閲覧はマイページで 問い合わせ先 praiwe@gmail.com

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        小説 「夏の 朝の 庭の 」

        • 小説「“雪女” /アゲハ蝶の雪 」

        • 人間は神秘の水のなかをただ漂う1本の葦だ。

        • ただで文を書きます。著作権は放棄です。0円で、あなたが読みたい物語、歌詞、セリフ、朗読台本、あるいは商業用の文章作成もします。もちろん、0円です。製本が必要な場合、製本して差し上げます。ご質問あればどうぞ。過去作閲覧はマイページで 問い合わせ先 praiwe@gmail.com

          不安定ななかで見る夢。 夜見る夢だけが確かなときはあるよね。 息をしている 偶然性と不確かさをかみしめる夜 そしてときに不確かさ(-)に 不確かさ(-)をかければ確かさ(+)になるときがある。

          不安定ななかで見る夢。 夜見る夢だけが確かなときはあるよね。 息をしている 偶然性と不確かさをかみしめる夜 そしてときに不確かさ(-)に 不確かさ(-)をかければ確かさ(+)になるときがある。

          万葉集を読むのに読解力は必要なのか?と考えれば、読解力があれば言葉の意味は分かるだろう。でも、肝心のなぜそれが書かれたのか?や、歌のなかでなぜある言葉が使われているのか?は理解することは別の理解力を要する。万葉時代の生活が頭に描けなければ、本当の意味で理解できないのではないか。

          万葉集を読むのに読解力は必要なのか?と考えれば、読解力があれば言葉の意味は分かるだろう。でも、肝心のなぜそれが書かれたのか?や、歌のなかでなぜある言葉が使われているのか?は理解することは別の理解力を要する。万葉時代の生活が頭に描けなければ、本当の意味で理解できないのではないか。

          俳句 一句

          俳句 一句

          その人の喜びをその人と共に喜びあえる人は、その人の悲しみを知っている人だ。その方が人生は2倍に喜びが増えるであろう?

          その人の喜びをその人と共に喜びあえる人は、その人の悲しみを知っている人だ。その方が人生は2倍に喜びが増えるであろう?

          [メルカリ] ハンドメイド小説 【  きのうを咲く花  】 ¥1,760 https://jp.mercari.com/item/m94296466344?utm_source=android&utm_medium=share&source_location=share

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          小説 「 空の下、海の彼方、 」

          私の前には海がある。 青い…海が。 ―この海には穢れがない 気がつけば、私はまた月の浜辺を歩いていた。 波が足にかからないように波打ち際のへりを歩く。 …もっとも波がかかっても私の足は今、裸足だ…。 まだ私は世界の端の小さな島に暮らす女子高生で、たまにこんないい月夜には、家の近くの浜辺に遊びにくる。 ちなみに家から浜辺まで歩いて五分だ。 勉強もしなくちゃいけないのだろうけど、勉強嫌いな私は夜の時間を学校の課題に費やさず、こうして月の光と波と戯れることに使っている。 そり

          小説 「 空の下、海の彼方、 」

          東北の人とふれあうなかで生まれた物語。 「謙吾。人と人が一緒にいるってどういうこと?」 触れたいのに触れられない。 抱きしめたいのに、抱きしめられない。 人はみな孤独だから。 https://note.com/clover_libra/n/ne68aadd529c9

          東北の人とふれあうなかで生まれた物語。 「謙吾。人と人が一緒にいるってどういうこと?」 触れたいのに触れられない。 抱きしめたいのに、抱きしめられない。 人はみな孤独だから。 https://note.com/clover_libra/n/ne68aadd529c9

          「ねぇ、謙吾。お互い触れられない恋愛は純愛になるのかな?」 3.11に際して書き上げた一献。 この世界から優しさがなくならないことを祈りつつ。 10年向き合った問いの回答。静かな讃歌。 https://note.com/clover_libra/n/ne68aadd529c9?sub_rt=share_b

          「ねぇ、謙吾。お互い触れられない恋愛は純愛になるのかな?」 3.11に際して書き上げた一献。 この世界から優しさがなくならないことを祈りつつ。 10年向き合った問いの回答。静かな讃歌。 https://note.com/clover_libra/n/ne68aadd529c9?sub_rt=share_b

          小説 「 ―いつか、 きみは 」

          「幽霊になっても恋がしてみたいと思う?」 そういうとカノジョは少し考えてから、うなずいた。 「また…誰かを好きになればね」 空が茜色に染まっている。 夕焼けに照らされたカノジョの顔は、なぜか悲しそうで、儚げで美しかった。 T公園には幽霊が出るらしい。 そんな話をきかされたのは職場の後輩の弓坂からだった。 「知ってます?あの話」 「あの話って?」 俺はパソコンに商品のプライスカードの値段を打ち込みながらきいた。 「T公園ってもともと小さなアパートが建ってたんですよ」 「ふーん

          小説 「 ―いつか、 きみは 」

          幽霊滝の伝説 ― THE LEGEND OF OKATSUSAN ―

          その昔。 伯耆の国、黒坂村の近くに、美しく流れる一筋の滝があった。 幽霊滝と云うその名の由来を、私は知らない。 滝の側に滝天命神と云う氏神の小さい社があって、社の前に小さい賽銭箱があった。 その賽銭箱について物語がある。 今より三十五年前、ある冬の寒い晩。 黒坂の麻取場に使われている娘や女房達が一日の仕事を終ったあと、炉のまわりに集って、怪談に興じていた。 怪談話が十余りも出た頃にはだいたいの者はなんだか薄気味悪くなっていた。 その時その気味悪さの快感を一層高めるつもり

          幽霊滝の伝説 ― THE LEGEND OF OKATSUSAN ―

          たぶん、ぼくにとって大切なものの守りかたがこれしかわからないんだと思います。 そういう自分を殴る。 オリジナル小説「いしの女の詩うウタ」 いしの女の詩うウタ ③|イツミ #note https://note.com/clover_libra/n/n2b55d7a76b01

          たぶん、ぼくにとって大切なものの守りかたがこれしかわからないんだと思います。 そういう自分を殴る。 オリジナル小説「いしの女の詩うウタ」 いしの女の詩うウタ ③|イツミ #note https://note.com/clover_libra/n/n2b55d7a76b01

          いしの女の詩うウタ ③

          https://note.com/clover_libra/n/n67470385d123 カチャリ、とマンションの部屋のドアノブを回す。 きららかなブレスレットが手首から、こぼれる。 彩は一瞬さっきの夢のことを思いだしそうになったが、目をつむって、こらえて玄関の扉を開ける。 そこには相変わらず、午後だというのに日照の乏しい薄暗い、さびれたマンションの小汚ない部屋が広がっており、突き抜けでみえる散らかったリビングに、黒いパーカーを深くかぶった顔立ちのよい男がチューハイの空き

          いしの女の詩うウタ ③