小説 「 ―いつか、 きみは 」
「幽霊になっても恋がしてみたいと思う?」
そういうとカノジョは少し考えてから、うなずいた。
「また…誰かを好きになればね」
空が茜色に染まっている。
夕焼けに照らされたカノジョの顔は、なぜか悲しそうで、儚げで美しかった。
T公園には幽霊が出るらしい。
そんな話をきかされたのは職場の後輩の弓坂からだった。
「知ってます?あの話」
「あの話って?」
俺はパソコンに商品のプライスカードの値段を打ち込みながらきいた。
「T公園ってもともと小さなアパートが建ってたんですよ」
「ふーん