2023.7.16 劇団チョコレートケーキ『ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-』東京千穐楽/ シアタートラム
本日はシアタートラムで公演中の劇団チョコレートケーキ『ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-』の千穐楽に行ってきました。
アフタートーク回を追加したりして、本日で3回目の観劇です。
劇団チョコレートケーキっぽくないけど、やっぱり劇団チョコレートケーキな今作。
例えるなら今までの作品がザッハトルテなら、今回はチョコチーズケーキとでもいいましょうか。一見カジュアルでありながら、濃厚さは変わらないとこが (笑)
だだ、無意識化の差別についてはちょっとモヤモヤした場面も。
古田や岸本が、松村に「いい人いないの?(結婚しないの?)」と言ったことに対しては、脚本内で台詞として<それは悪意のない差別>だと観客に気づかせているのに、森田杏奈が自分のバーターである下野に対する態度(舌打ちや見下すようなそぶり)には触れなかったのがとても引っ掛かりました。
私は性悪説派なので、差別とは<自分と違うものへの恐れ>だけでおこるのではなく、<自分より劣った者を下にみる人間の性質>のせいもあると考えています。なので売れっ子女優が新人や格下のスタッフに対するあの態度も<差別の種>なのではないかと思うのですが……。
「差別されていた側ですら、気づかないうちに差別をしている」
ということの仄めかしなのかもしれませんが、それがプロフェッショナルからくるものだとしても舌打ちはあからさまに悪意があって、後の発言に説得力を感じず「???」と。
(岸本が「女優さんってそういう(気難しい)あるやろ」ってのも一種の<差別の種>であるレッテル貼りなはずなのに、「そうだね」と納得してしまった😅)
とはいえ、それ以外は劇団チョコレートケーキの新境地をみせてもらったと思います。
最後、松村が井川に言う
「お前はロマンチストすぎる」
は、なんだか古川さんご本人のセルフツッコミのような照れを感じましたね。
劇中にもありますが、今後「うまく昇華」されるのを楽しみにしています。
そして、7/1の感想にも書いてますが、
2023.7.1(昼) 劇団チョコレートケーキ『ブラウン管より愛をこめてー宇宙人と異邦人ー』/ シアタートラム|clover (note.com)
演出と音楽・美術・照明と役者は文句なしに素晴らしかったです。
特に照明がすっごい。わかりやすいところだとあの暴動シーンの色は毎回ゾワーーーっとさせられるし、ワンダーマン最終話を見てるときの井川にあたる照明も凄い。
(あれ、どこから当たってるのか不思議だったのですけれど、舞台前方下のライトからでした)
配信映像ではどう見えるのか、アクターズカメラ版はどんな映像なのか、そちらも楽しみです。
映像配信のご案内 | 劇団チョコレートケーキ (geki-choco.com)
で!
千穐楽のお楽しみ。
劇団員の俳優さんが自分で脚本・演出をし更に自ら演じるという、劇団チョコレートケーキ名物・アフターアクト。
今回も各々の個性が光り、おまけに作品世界が更に広がるという大変お得かつ面白いアクトでした😆
【アフターアクト・浅井伸治さん】
『ワンダーマン』最終回から数年経ったお話。
ジャケットは着ていても、小さなテーブルに下はジャージ姿と明らかに狭いアパートの一室であるような雰囲気の中インタビューを受けている。
そこで『ワンダーマン』の思い出を語る佐藤信也
撮影所に通うのに電車に乗っていたら子供たちに「変身してくれ」「なぜ飛ばないで電車に乗っているのか」とか子供に話しかけられたこと、「なぜ同じ宇宙人同士なのに戦うの?」と鋭い質問を投げかける子供もいたことなどを懐かし気に語っている。
そして『空からきた男』の話になり……
カスト星人を演じた下野啓介が有名な賞を取った、そのコメント映像の撮影という設定の浅井さんのアクト。
浅井さんのは私の琴線に触れて毎回泣けてきてしまうのですが、今回もめちゃくちゃ切なかったです……。
今でこそイケメン俳優登竜門な特撮番組ですが、以前は佐藤信也のように番組終了後は細々と俳優をづづけている役者さんも沢山いたのを知ってますし、事実、自分が応援していた役者さん(悪役側ですがw)もいつの間にか姿を見なくなっていたと思ったら裏方にまわっていたりも経験済みですので余計に😣
また、その好きだった役者さん。佐藤信也みたいな熱い熱血男だったんですよね。特撮系雑誌でインタビューを読んだら、全力で真っ直ぐで暑苦しいとこ(笑)も似ていて😢
最終回のセリフを数年経ってるのにそらで言えるという事に切なくなり
(それだけその後大きな仕事がなかったことでもある)
舞台をやるとチラシを渡そうとしたら受け取ってもらえなかった姿に切なくなり
その舞台をやる場所が下北沢や池袋や三軒茶屋ではなく阿佐ヶ谷ってのに切なくなり
出演料の話を持ち出し、2ヶ月後と言われ一瞬がっかりした顔をみせつつも「問題ないです!」と相手に媚びる様に切なくなり
「テツコさんによろしく!!」と何度もスタッフに言う真っすぐさに切なくなり
帰ったあと、おもむろにジャケットを脱ぎ、普段着ているであろうトレーナーに着替え、冷蔵庫から瓶を取り出しコップに注ぎ酒をあおる姿は涙なくしては見られませんでした。
また、BGMがビートたけしの『浅草キッド』なのが。もう、切ないにもほどがある😭
ラスト、テーブルに臥せって寝ていた佐藤信也の元に下野君がお酒をもって訪ねてきたとこでまた涙。
インタビュー内で「また酒でも飲みながら話したい」というのが伝わったんですね。
夢オチじゃない!絶対夢オチじゃないって信じてますよ、私はっ!!!!!(爆)
【アフターアクト・岡本篤さん】
おそらくこちらも『ワンダーマン』から数年後の話。
東特プロに出前でチャーシュー麺をとった松村。その出前を配達した人物をよく見たら、じつは彼の元カレで……
岡本さんのアクトは、ほんと毎回情報量と緩急とサゲが絶妙なのです。
今回も
近くにあるラーメン屋のおいしくないチャーシュー麺の細かい描写から始まり
元カレである彼が女性と結婚し子供がいる設定で同性愛者の生きづらさを語り
彼氏が亡くなっている(多分)事を匂わせ
(本編で「誰かいい人いないの?」という軽い台詞に激高したことが不思議だったのですが、つながりました)
『ワンダーマン』の続編が作られることが決まったこと
監督は自分ではなく、藤原ゆりちゃんなこと
(「佐藤は……。ま、あいつのことはいいや」って、扱い酷い😅)
など、本編の補足になる情報量多い多い。
また、落語もやられてるので一人語りがベラボウに上手いんですよねぇ。
締めは、
「じゃあな、また頼むから」と見送ったあとチャーシュー麺のチャーシューを食べ、スープを飲み、麺を食べて、首をかしげる。
まずかったんですね🤣
サゲも最高でした。
これだからアフターアクト回は逃せません。
東京でのシアタートラム公演は本日で終了しましたが
7月29日(土)・30日(日)愛知県メニコンシアターAoi
8月5日(土)長野県まつもと市民芸術館 小ホール
と公演ありますので是非。