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過去の相手と自分を許す

目に入ったものがきっかけで、過去の出来事を急に思い出すことがあります。

先日は、妊娠出産期に元夫に言われた嫌なことを急に思い出してしまいました。

「妊娠中に配偶者に言われた嫌なことは一生忘れない」って言われますが、妊娠出産期は体調も良くなかったり、睡眠不足にもなりがち。
ネガティブになったり、傷つきやすくなるのはある程度仕方がないのかな、とは思います。

でも10年以上前の話だし、うちは相手がもうこの世にいません。
それなのにまだその時の発言を許せていない自分をイヤだなと思っていました。

お金を使う価値が無い?


元夫に言われた、嫌だったこと。
それは、出産を決めた産院の費用が他の候補よりも高かったことに嫌味を言われたことでした。

出産後に無料エステのサービスがついていたので、それを見て私が無駄なことにお金を使っているイメージを持ったようです。
目くじらを立てるほどの金額の違いでもないと思ったし、別にエステなど私はどうでもよかったのだけれど・・・。
初めての出産で怖かったので、少しでも安心できそうな環境で産みたいと思って、自宅や実家からのアクセスの良さや、病院の評判を見て決めました。

でも、その気持ちをわかってもらえなかったのだなと思いました。
そして、私や産まれてくる子供にお金を使う価値が無いと思われてるのだと感じて、悲しくなってしまいました。

相手の立場になってみる

その時、どこまで元夫と話し合うことができたのか、今では覚えていません(悪阻が酷く、十分に話し合いができる状態ではなかったかもしれません)。

この話を思い出す時、いつも私は傷ついたことを悲しく思って終わりだったのですが、今回は相手の立場になって想像してみました。

「これからの自分の役割(夫・父)に対するプレッシャー」があったのかもしれない。

妻が妊娠して会社も辞めることになり、いつ仕事を再開できるかもわからないため、自分が生活費を稼ぐしかない状況。
しかし、自分もメンタル不調で休職や転職を経験しているため、今後の生活に不安がある。

だから妻の何も考えていなさそうな様子を見て苛立つこともあったし、お金に関して過剰に反応することもあった。

これは私の想像なので、「違うよ!」って空の上で言っているかもしれませんが。

相手の立場で考えてみたら、これからのお金のことで不安になるのも仕方がなかったのかも、と思うようになりました。
そして私は出産や育児に対する不安が大きく、相手のことを考える余裕がありませんでした。

どちらも余裕が無くて、相手を傷つけてしまったり過剰に傷ついてしまったりした。そんな私たちだったんだと思いました。

そう考えているうちに、元夫を責める気持ちは消えていました。

過去の自分を許す

逆に、私が元夫を傷つける発言をしてしまったこともあったと思います。

だけど当時はそれに気付かず、気付いたのは夫が亡くなってずいぶん経ってからでした。

気付いたきっかけは、少し前に、息子が「自分はADHDかもしれない」と自分で言ったことでした。
そこから、元夫も(おそらく)ADHDだったということがわかりました。
(とても似た特性を持っていました)

当時の私は元夫を理解しようとしていたけれど理解できず、苦しい気持ちを抱えていました。
今はADHD特性についても勉強してある程度わかるようになり、当時の相手の心理についても少しは理解できるようになりました。

しかし今度は、当時の私が元夫を理解できなかったことについて自分を責めるようになってしまいました。
そして、相手がもうこの世にいないということが、自分を責める気持ちに拍車をかけてしまいました。
「今さら気付いても遅い・・・」って。

ただ、上に書いた出産の話を自分の中で消化できたことで、私は元夫を許すとともに、過去の自分も許すことができました。

相手は妊娠出産に理解が無かったけど、私は相手の抱えている生きづらさに理解が無かった。
でもお互い自分勝手にしていたわけではなく、どちらも相手を理解しようとしていた。
だけど、相手の背景を十分に知ることがなかったため、理解できなかった。
だから意図せず相手を傷つけてしまったんだ、という結論に至りました。

どっちもどっちだな、って気付いたから、もう悩むのをやめることにしました。

答え合わせはもうできないけれど、たぶんこれで良いんだろうと思います。
2人とも未熟だったけれど、一緒に過ごしたことで大事なことに気付かせてくれたと思います。

時間がかかっても

元夫との死別から、もう少しで10年になります。
私が相手と自分を許せるようになるまで、ここまで時間がかかってしまいました。

でも、許せるようになるためにはその後の経験から学ぶことが必要だったので、時間がかかるのは仕方がなかったのかな、と思います。

大事なことに気付くには人によって最適なタイミングがあり、早い方が良いというものではないと思っています。

たとえば、うちの母が祖母(母にとっての母)を許せるようになったのがつい最近のことだと話していました。
自分が歳を重ねることで、ようやく当時の祖母の気持ちが理解できたそうで。
そんな気付き方もあるので、やはり早い遅いは問題ではないのだろうなと思います。

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