母上の地位奪還の準備(カオールン視点)
3歳から既に周りを圧倒する知識力。きっと第一王子にも出来なかった事じゃないか?イヤ、第一王子には朝飯前だったのかもしれないが。
オレの母上の離宮は何故こんなに人がいないのか。それでいてメイドが使えない。
無能集団の集まりである。
掃除一つに 何故こんなに時間が掛かるのか。コックもコックだ。決まった時間に食事が運ばれない。それでいて量が少なすぎる。
裏でメイドがつまみ食いでもしてるんじゃないかと思うくらいに。なぜこんなに無能なのか。
自分付のメイドにそれとなく話を聞いてみたら、母上が父上に嫁いだ時に連れて来ていたメイドやコック達は王妃であるナルシ―様に全員取り上げられたのだとか。何故そんな事になったのかと聞けば、ナルシー様曰く「即戦力になるから全員寄越しなさい」と私は第一王妃だから言う事を聞けと言う横暴ブリだったそうだ。その発言に対して父上は何も苦言しなかったようで。父上も父上だ。第一王妃に強く言えないなんてヘタレだ‼
3歳の頃から書庫に入り浸っていたオレは城の中の数々の醜聞を耳にしたり資料の中の横領なんて問題も全て自らのノートに書き記した。
きっと近いうち、役に立つであろう。
書庫のどうでもよさそうな棚に、日記を見つけた。誰の日記なのかよくよく読んでいくと、先代の王様の日記だった。
『私の嘆きを記す』著:ツーフ・ジョチ・スーゲ
ビィ歴 774年 私と妻の間に子は居らず、弟のバイヤー・ツーヤ・スーゲの長男であるクーサデインを養子にし義息子として迎えた。当時クーサデインは生後1年。
これから色々学んで行く年頃としては最も最適な年齢である。バイヤーの所の男児は双子で双子は縁起が悪いと言う歴史もあり中々処理に困る家柄。
そんな時に弟夫妻からの提案で双子の弟にあたる方を養子に迎えてはくれないだろうかと。子供を死なすのは親のすることではないと2人の経っての願いであり、我々には子に恵まれなかったと言う事もあり即了承し1歳になるギリギリまでは弟夫妻の所で。
そのあとは 我々が育てる方針で時間が流れて行った。
幾度の季節を越えて ビィ歴798年。王家としては遅いと思われる婚約者との結婚。
少し問題ありの王太子妃になるだろう。悪知恵の働くなんとも醜い嫁を迎えてしまったものか。
侯爵家から来たのは、性格が我儘で我慢のならないお荷物みたいな女だった。
侯爵も手を焼いて居た様で、なんとクーサデインが惚れて嫁にと・・・・クーサデインよ。。顔か顔なのか。顔に惚れたんだな・・
せめて中身に惚れて相手を連れて来てくれ・・・・
ビィ歴 799年 クーサデインに私から娘を一人紹介する。
中身良し、顔良し、家柄良し。文句の付け所のない可愛らしい女性だ。
一夫多妻の我が国。それでも25歳を越えて結婚したクーサデインでも迎えられるのは2人が限界だろう。
なんだ?これは。もしかしてこれを読み続けた先に何かヒントになるものが出てくるかもしれない。 先代王の日記なんて誰も気にも留めないだろうとオレは部屋に持ち帰る書物の中にそっと忍ばせて今日はこれで止める旨をメイドに伝える。書物数点を部屋に持ち帰り、明日はこの日記を読みながら一日を部屋で過ごそうと心に決めたのだった。
登場人物(追加)
先 代 王 ツーフ・ジョチ・スーゲ
先代王妃
先代王弟 バイヤー・ツーヤ・メーダ(メーダ公爵当主)
先代王弟妻 マリーナ・ランプ・メーダ
フリスギ侯爵家 当主 モノタリー・ナタフ・フリスギ
妻 メリーナ・ナタフ・フリスギ
長女 フーリン・ナタフ・フリスギ
長男 イゲール・ナタフ・フリスギ
イジ―侯爵家 当主 ムールン・サクラ・イジ―
妻 ミリアリナ・サクラ・イジー
長男 ノア・サクラ・イジ―
次男 ノワール・サクラ・イジ―
長女 ワール・サクラ・イジー